勉強になります 『暖簾』の精神
山崎豊子全集も残すところ後、第1巻のみです。はじめは長編をアトランダムに、終盤は山崎氏が書いた時間を逆に読みました。特に目的意識をもっていたわけではないのですが、結果的にそうなってしまいました。
『花紋』あたりから大阪が中心に、『女系家族』より前になると、船場が舞台の中心になってきます。それぞれ、違う展開があって面白いのですが、『花紋』や『女の勲章』、『ぼんち』は、われわれの実生活からは計り知れない男女関係が前面に出てきて、少し違和感がありました。
しかし、山崎氏の処女作である『暖簾』の主人公吾平と息子の孝平の物語は、商売一筋です。そんなところに、共感できることが多いようです。カイロプラクティックは「民間療法」ですから、商売そのものとは少し違うと思いますが、経営的な要素はあります。そういうことから、ろくな資産もないのに、先物取引とか、株とかいろいろ誘惑をかけられることが多いのです(すべて断っていますけど・・・)。
「孝平は、新円階級はやっぱり新円階級らしい金の蓄め方をしよると思った。昆布の商いで儲けたものは、昆布の商売にだけ使って利益を産む、株券や信託などという消極的な蓄積には使わないというのが孝平の考え方であった。それだけに孝平は大阪の商人の間を吹きまくった株式暴落には、躓かなかった」
そうしながら、孝平は10年先を見越して、昆布屋を再建して行くのですが、つねに昆布の質を高めていくことに専念しています。父の吾平を拾い上げた「浪花屋」の旦那は、「商売人というもんは、何事堪忍やぜェ」と言っていましたが、なかなか含みのある言葉ですね。
『暖簾』は50年前の作品ですが、勉強になります。「民間療法」でも、やっぱり基本は、来店される方の痛みや苦しみを改善することのできる技術だと思います。目先のことに眼を奪われて、これをおろそかにするようなことがないようにしたい。
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