何年か前、バランス能力をチェックする「閉眼片脚立ち」のテストを受けたことがありますが、何回やっても10秒ともたないため、該当年齢「70歳代」という評価を受けていました。しかし、日常生活では別段困ったこともなく、自転車にも何不自由なく乗れるので、これまであまり気にしていませんでした。
ところが、たまたまトレーニングジムにバランスディスクがあるのを眼にしたので、少しでも改善できればと思い、ディスクの上に乗って開眼片脚立ちをするトレーニングを週1回程度行なってきました。自己流であまり確信はないのですが、このトレーニングを行なうと、ふだんあまり使わないような下腿部の諸筋群が緊張しているのが分かります。
そんなとき、『運動療法と運動処方』(佐藤祐造編著)という本に、バランス能力のことが書かれているのを見つけました。「バランスディスクとコア・トレーニング」という項。上位中枢をバランスディスクを使ってトレーニングすることで、下位中枢が支配する静的バランス機構も改善することができるようです。
人は、加齢により筋力が低下するとともにバランス能力も衰える。すなわち、高齢者は転倒しやすい身体になっている。また高齢者は骨密度が低下しており、転倒が骨折を引き起こす原因となっている。ただ骨密度は容易に改善できないものの、バランス能力や筋力はトレーニング次第で改善できることがわかっている。
バランス能力とは、静止状態で(静的バランス)でも動的状態(動的バランス)でも姿勢と維持する能力のことをいう。
静的バランスとは、重心位置が移動しない状態を指す。例えば、普通に両足や片足で動かないで立っている状態などがある。また、スポーツでは弓道やダーツなどの種目で要求される能力である。
一方、動的バランスとは重心位置が移動したり、静止していても外からの力で不安定な状態を指す。例えば、歩行活動やふいにつまづいたりする状態などがある。スポーツではスキーや柔道など多くの種目で要求される能力である。
バランスは、耳にある三半規管などで受け取る頭部の変化状況、皮膚や筋の感覚受容器および関節受容器などの体性感覚および視覚による相対的な位置変化情報が、脳の中枢神経へフィードバック(反応)されることによって保持される。例えば、下位中枢である脳幹、脊髄および小脳は、静的バランス機構に関与している。この調節は自分の意志とは関係なく起こる反射的な調節機能で伸張反射などがある。
また動的バランス機能では、上位中枢である大脳皮質や基底角に関与されている。これらは、あらかじめ予測をした調節機構である。しかしこの調節機構は何度もトレーニングをすると、無意識に起こる下位レベルを中心としたバランス機構が制御できるようになる。そうなると動的バランス機構が素早くできるようになる。
(略)以上から、バランスディスクに乗った後は、平坦な場所で片足立ちした時よりもたくさんの筋肉が大きく収縮していることがわかる。しかし、その後、平坦な床で片足立ちすると、バランスディスクに乗る前の筋収縮よりは少なくなっている。このことはバランスディスクに乗ることで脊髄運動神経が抑制され、その運動に必要な筋だけが活動するようになったため、効率的な運動が遂行できるようになったのである(馴化という)。
そういえばロコモーティブシンドロームの改善にも、ダイナミックフラミンゴ療法というバランス能力を鍛える体操がありました。ひょっとすると、上位中枢をトレーニングすることで下位中枢を制御することができるようになるというのは、バランス能力に限らず運動能力全般に言えることかもしれません。
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