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2009年5月

ブログ執筆 今日で丸2年に

 ついに「あおぎりカイロプラクティックの施術日誌+α」の執筆も、今日5月31日で丸2年に。書いた記事は、昨年がうるう年だったので、731通です。何とか、途中で挫折することなく、ここまでたどり着くことができました。

 もともと自分の覚書としての部分が多いので、第三者が読んでもあまり面白くない記事が、ほとんどだと思います。そのためか、リピーターは、訪問者の5%くらいです。自己満足と言われれば、それを否定することはできません。

 相変わらず、ネタ探しに苦労する毎日です。書くことは、苦しいのですが、それでもやめることができない、この矛盾、ジレンマ。書き上げることで味わう解放感が、癖になってしまったのかもしれません。

 このところ、ゴールデンウィークをキッカケに、3通くらい先行して書くようにしています。毎日書いているのは同じことなのですが、1日、2日くらい跳ばして休んでも、何とかなると思うと、少しだけ余裕が持てます。

 次は、1000通が目標です。あと269通、1日1通のテンポでいくと、9ヶ月くらいの期間が必要です。このまま店を続けることができたら、来年の2月頃になる予定。どうなるか、先が読めませんが、続けられる時まで、書き放題書きますぞ。

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妊婦への施術は、特別な注意が必要

 「あおりぎカイロプラクティック」では、妊娠している女性に対しては、関節矯正の施術は行なわないことにしています。但し、中国整体については、妊娠の経過期間と施術法によっては、適用できる場合があります。『クリニカルマッサージ』のテキストを見ていると、「特別な配慮が必要な患者」というテーマの中に「妊婦」に関する解説がありました。手技療法としては共通している部分があるので、参考のためにチェックします。

 妊婦は体重が増え、身体バランスが悪くなるため、かなりの組織痛を覚える。特に腰、股関節、脚の組織痛は顕著で、マッサージ治療から得るところは大きい。しかしある種の予防措置は必要であり、特別な要件に対する配慮も必要である。
 妊婦の腹臥位は望ましくない。また妊婦にとって長時間背臥位の姿勢でいるのも辛い。施術部位によるが、妊婦には座位か側臥位が適している。枕を用いるのであれば腹臥位も可能である。治療家よりも患者自身が必要な物をわかっているので、枕については妊婦自身の選択に任せるべきである。適当な物が市販されている。ボディ・クッションを使用すれば、妊婦でも腹臥位が十分可能である。体位に関する問題点は、患者と協力し合うことで乗り越えることができる。
 身体には指圧師が陣痛を誘発すると考えている経穴が存在する。こういった見方を肯定する学術文献はほとんどないが、それらの経穴への施術は避けるのが賢明である(略)。またその他ではアメリカ産科婦人科大学(American College of Obstetrics and Gynecology)がガイドラインを出している。それによれば次のカテゴリーに該当する妊婦は、かかりつけの医師の同意を得て施術を受けるべきである。

  • 不妊治療を受けた、あるいは自然に妊娠するのが難しかった妊婦
  • 妊娠第1期での流産経験のある妊婦
  • 心臓病あるいは呼吸器疾患をかかえている妊婦
  • 妊娠異常を経験した妊婦
  • 多胎妊娠(双子、3つ子など)
  • 20歳以下ないし35歳以上の妊婦
  • 喘息にかかっている妊婦
  • 違法薬物に手を出したことのある妊婦

 妊婦に対して施術してならない経穴としては、肩井、合谷、三陰交、崑崙、臍より下にあるすべての腹部の経穴、次髎および他の仙骨上の経穴が指摘されています。

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電気も1億ボルト(雷)になると質が変化する 注意しろ!!

 先日5月24日のこと。兵庫県芦屋市の遊歩道をジョギングしていた40代の男性が、雷の直撃を受けて亡くなったそうです。地図を見ると、事故現場は沿岸部の埋立地につくられた平地です。平地でも落雷するのですから、低いとはいえ山を歩くときには、なおさら注意が必要です。

 ネットで検索していると、『山歩き、山登り』というサイトがありました。落雷による人体への電撃を研究している北川信一郎・元埼玉大学工学部教授(高電圧工学)の安全対策を紹介しています。
http://www.tees.ne.jp/~oriental/ogura/nobori/chisiki3.htm

  1. 鉄筋の建物や電車、自動車内は安全。
  2. 外にいるときは、姿勢と低くし、合間を見て、安全な場所に避難する。
  3. 大勢でいるときは、ただちに散らばる。
  4. 釣りざお、かさ、バット、ゴルフクラブ、ピッケルなどを頭より高くかざすことを避ける。
  5. 木の下の雨やどりは危険。山の頂上、岩場、水辺は特に危険。

 雨がっぱやゴム長靴をつけていても絶縁効果はまったくなく、雷放電の通り道になりやすい。体につけている金属片は、体表面の空気の絶縁破壊を助長し、やけどの原因となるが、致命傷にはならない。地上における人体の姿勢そのものが落雷の誘因となり、金属類を取り去っても安全にならない。

 北川信一郎氏の別のサイトを見ると、日常生活で使われている100~6000ボルトの電気と違って、雷の電圧は1億ボルトになるらしく、通常は絶縁体として働く空気が、瞬間的に破壊されて電気を通すようになるということです。北川氏は、哲学者ヘーゲルの言葉を引用して、「量の差は質の差に転化する」と、この変化の本質を的確に指摘しています。

 2002年の3月23日・24日に開催された「雷サミット」での、北川氏の報告が掲載されたページを見ると、もっと詳しくかつ科学的に雷のことを知ることができます。
http://www.kaminari.gr.jp/summit/summit.html
http://www.kaminari.gr.jp/summit/kitagawa.html

 山歩きをするときは、天気予報と空模様に注意して、雷が発生しそうな気配があるときには、無理をしないことが一番。そんな日は、はじめから中止、もしくは途中でも引き返す英断が求められます。雷は侮れません。

 よく「日射しが強く、蒸し暑く、半日も無風状態が続くと、雷かガスが発生する」といわれています。ですから、逆に、夏、日射しが強くても、空気が乾燥し風があれば、雷は発生しないものと考えてよいでしょう。
 一般的に、朝早くからむしむしし、太陽が照りつけている日は、下層の水蒸気を含んだ空気が、上昇気流によって上空に運ばれ、ガスとなったり雷になったりします。
 また、上空に冷たい空気が流れ込んできたり、日本列島付近に寒冷前線があるような日は、積雲が急に雷雲に変身することもあります。
 積雲はまた、綿雲ともいわれ、雲の底が水平で、上のほうに頭をもたげたようにムクムクと発達し、これがどんどん発達すると、一般的に入道雲といわれている積乱雲になります。この雲が出てきたら雷雨が近づいている、と考えたほうがよいでしょう。

 雷撃を受けやすい場所は、尾根道、ことに岩尾根、大木の下、湿ったくぼ地などですが、ゴルフ場や川原でも落雷事故が起こっています。
(『山歩き、山登り』のサイトより)

 もう一つ。『参考資料 「安全登山ノート」の内容から』というサイトです。重複するところもありますが、山登りに特化した雷対策。やはり北川氏からの引用です。
http://homepage3.nifty.com/canoeing/Thunderstorm1.htm

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何も良いことないのに、明かりに群がる虫たち

 これから夏になると、日が暮れると昆虫が明かりに集まるようになります。最近の住宅では網戸があるため、さほど鬱陶しく感じることはありませんが、ときどき、いつのまにか入り込んだハエなどが飛びまわって、ウルサイことがあります。

 考えてみれば、何のために虫が明かりをめざして飛んでくるのでしょう。子どもの頃、不思議に思っていましたが、今でもはっきりとした理由を知りません。そんな時、たまたま目にした『南日本新聞ウェブサイト』(2005年4月23日)に、とても説得力のある「虫が光に集まってくるのはなぜ」という記事がありました。

 電灯に集まる虫をよく観察(かんさつ)してみると、電灯のまわりをぐるぐる飛び回ってぶつかったり、近くに止まって一晩中(ひとばんじゅう)じっとしていたり、ときにはあお向けにひっくり返って苦しそうにバタバタしたりしています。それどころか、ろうそくやたき火の光だと、飛び込んで焼け死んでしまうことさえあるのです。たとえば光で体を温めるとか、明るさを利用して何かを探しているかというと、そのようなことは全くありません。虫にとっていいことは何もないのです。
 それなのになぜ光に集まるのか。科学者(かがくしゃ)は次のように考えています。
 夜に活動する夜行性(やこうせい)の昆虫も、光が全然ないところでは何も見えません。このような虫たちは、月や星などの光を見ながら飛んでいます。
 でも、電灯が近くにあると今度は月や星の光よりももっと明るい電灯の光を見て飛ぶことになります。
 月や星の光も電灯の光も放射光(ほうしゃこう=一点から四方八方に広がる光)ですが、月や星の光はとても遠くから地球に届くので、ほとんど広がらない平行光(へいこうこう)になっています。ところが、電灯の光は近くにあるために放射光のままです。
 虫が月や星の平行光の中でまっすぐに飛んでいるとき、月や星は常に同じ方向から虫を照らしています。言いかえると、虫は、月や星がいつも同じ方向に見えるように飛べばまっすぐ飛べるわけです。
 しかし電灯の放射光の中ではそうはいきません。まっすぐに飛んでいるとだんだん光の当たる方向が変わっていきます。そこで虫は、電灯の光がいつも同じ方向に見えるよう、少しずつ体の向きを変えながら飛びます。すると、まっすぐに飛んでいるつもりでもいつの間にか電灯に向かって飛んでしまいます。つまり、虫が光に集まるのは人間が作る光の「落とし穴」にはまって出られなくなってしまうのだと考えられます。

 確かに、「虫にとっていいことは何もない」ですね。それにもかかわらず、本能的に集まってくるのは、平行光と放射光の違いが原因のようです。月や星の光は平行光、人工の光は放射光。虫にとっては、光を見ながら平行に飛んでいるつもりが、放射光の場合はどんどん光源に向かってしまうようです。

 人工の光には、虫が好む波長の光があるとか紫外線があるから、虫が惹かれていくという説もあるようですが、紫外線が原因なら昼間は、太陽の方へと、どんどん向かっていくことになってしまいます。ただ、特定の波長の光や紫外線を出さないようにした「虫除けライト」が有効なようですから、平行光や放射光というのは、それらを含む光であると考えても矛盾はしないでしょう。
詳しくはhttp://373news.com/_nie/qa/050423.php

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ネジを巻く人間と巻かれる人間

 陳舜臣氏の作品に取り掛かっています。いずれも長編ばかりです。はじめて読むので、『阿片戦争』から、興味をもって読めるかどうか確かめながら、ゆっくりとすすめています。

 まだ、初っ端のところですが、ちょっと気になるところがありました。それは、主人公のひとりと思しき「連維材」が考えていることを、作者が代弁しているところです。

 彼は時代の要求を、全身でうけとめている人間なのだ。彼の行動は、時代の波を原動力とする。しかもまさに疾風怒濤の時代であった。そのエネルギーは底知れぬ威力をひめていた。
 そのうえ、彼自身がそのことを、明確に意識していたのである。これはおそるべき自身をうむ。
 光栄ある先駆者!
 使命感といえるだろう。そのまえには、こどもたちのことも、些細な問題にすぎなかった。
「統分か。・・・・・・あれも囮にしかならぬかつだ」
 統分とおなじ系列の人間を、維材は幾人も頭に思いうかべることができる。
 たとえば、余太玄もその一人だった。道具にしかならぬ男だ。つまり自らのエネルギーをもたず、連維材のような人間の巻くネジで、はじめてうごく。

 「統分」は、連維材の長男。「余太玄」は連維材の食客、中国拳法の使い手です。

 人間というのは、本来、独立していながら相互に依存し、刺激しあって生きていますから、他人の影響を受けたり、あるいは逆に与えたりすることがあるのが自然だと思います。したがって、生きていくエネルギーも、ひとりだけでうみ出すものではないでしょう。

 しかし、ただ、ネジを巻く人間と巻かれる人間というのは、個人のすべての生活態度がはっきりと、いずれかに分けられるということはないにしても、主要な傾向としてふたつの極があるような気がします。

 他人にネジを巻かれて動く人間。みずから課題をつかみ取って切り開くことこうとはせず、外からプッシュされてはじめて動く人間になっていないかどうか。座して何かを待っているのではないか。相変わらず不景気が続く中で、自問自答するこの頃です。

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洗濯して一度止まった時計を再び動かした思いつき

 先日、洗い終わった洗濯機の中の、妻のズボンに懐中時計が着いているのを見つけました。20分以上洗剤の溶けた水の中で、他の洗濯物といっしょにグルグル回っていましたので、当然秒針は止まっていました。

 電子製品は水に弱いと言われていますから、「もはや、なすすべはない」とすぐに諦めました。しかし、その後、横になって何気なく考えていると、「時計の中に入った水分を取り除いてみたら何とかなるかもしれない、今ならまだ間に合うかもしれない」と頭の中に閃き。時を移さず早速、時計の裏フタを開けて、ドライアーで温風を当ててみました。

 しばらくして、時計の文字盤の方を見ると、秒針が動いているではありませんか。家族からは「すごい!」と称賛と感謝の声、自分で自分を褒めてやりたくなる瞬間です。後日、インターネットで検索してみると、時計を水につけただけのときには、水分を飛ばすことで、修復できることがあるらしい。

 今回は、水につけただけでなく、洗濯機でかなりの時間回してしまいましたが、ケースバイケースのようです。とっさの思いつきでしたが、動けば儲けもの、ダメ元でやってみるものですね。日常生活の中では、案外「思い込み」という固定観念に囚われていることが多いような気がします。ときには、ちょっとだけ型破りで、自由な発想が必要かもしれません。

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「新型インフルエンザ」対策で試されている?

 『厚生労働省崩壊』(木村盛世著)という本を読みました。ショッキングな見出しですが、副題も「『天然痘テロ』に日本が襲われる日」。現役の医系技官である著者が、「天然痘テロ」や「新型インフルエンザ」に対する厚生労働省の体質をはじめ、あるわが国の防疫体制の弱さを鋭く指摘しています。

 第1刷が2009年3月30日となっていますから、今回の新型インフルエンザ騒動が起こる前に出版されたものです。本書に取り上げあられている「新型インフルエンザ」は、鳥インフルエンザを想定しているようですが、現在進行形で行なわれている新型インフルエンザ対策の進行と対比しながら考えてみることができます。

 感染症対策の問題点として、著者が一番に取り上げていることに、「公衆衛生をしらない医系技官」のことがあります。第4章の冒頭部分を引用してみます。

 厚生労働省には医系技官という集団がいます。医師でもある行政官(役人)が約600人います。私もその中の1人です。厚労省は国民の健康問題の唯一の省庁ですから、国全体から見た医療についての専門家が必要です。
 そのため、医系技官に求められるものは、医学の知識とともに公衆衛生の専門家であることです。病院で働く医師は、診た患者一人ひとりの命を救うことが使命ですが、これと違い、大多数の国民を健康問題の脅威から守るのが公衆衛生の基本です。
 ですから、公衆衛生は国防のひとつと言えます。(略)
 さて、この公衆衛生の専門家であるべき医系技官なのですが、日本では特別なトレーニングを経て医系技官になるわけではありません。大学を出て厚労省に入りたいという人が試験を受けて入ります。
 日本での公衆衛生学は欧米からかなりおくれをとっていますから、医学部を出た段階で、公衆衛生の専門知識を十分身につけている学生はほとんどいないのが現状です。(略)
 厚労省に入った医系技官たちは、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)という形で仕事を学びます。2004年からは2年間の臨床実習を行なってドクターとして働くことが義務づけられているのですが、ほとんど医療現場を知ったことにはなりません。(略)
 こうして医系技官は、運転免許証は持っているけれども運転したことがないペーパードライバーと同じように、医学の、そして公衆衛生の専門家という肩書きからはあまりにも隔たりのある集団と化してしまうのです。
 実際、現在の医系技官は文科系の学部を出た事務官と何の違いもなくなっています。違いがあるとしたら将来つくポストくらいでしょうか。

 それだけではなく、著者が「はじめに」のところで述べていることは衝撃的です。

 驚きはそれだけではありませんでした。医系技官の知識の少なさもさることながら、「国民の医療・健康問題を自分たちが担っている」という意識があまりにも薄いのです。それどころか、彼らの目的は自分たちの時代には問題が起こらず、平和に天下りしたいという自己防衛だけなのです。
 医療の専門家である医系技官の意識がこのようなものですから、他の職種の人々も同様のものでした。

 ひょっとしたら、感染症対策だけでなく、介護保険にしても、後期高齢者医療制度にしても、はたまた医療制度そのものの行き詰まりにしても、国民の状態や医療・介護現場の現状にそぐわないという批判が出てくるのは、こういうところにも、問題のひとつがあるのかもしれないと思ってしまいます。

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山歩き 下りのときに脚が痛くなるメカニズム

 山歩きをしていると、下りで膝がガクガクしたり、痛くなったりすることがありますが、その原因について調べてみたところ、「安全登山のためのマニュアル(基礎編)」というページを見つけました。トップは「学習院大学ワンダーフォーゲル部OB&OGのHP」のようで、山を登る時の歩き方や注意点、トレーニングの方法などが書かれています。http://www.geocities.jp/gwvuno2004/anzentozan.htm

 最も重要な働きをする筋肉は、やっぱり太股前側の大腿四頭筋です。それが登るときには、収縮力を抵抗よりも大きくして、縮みながら力を発揮する短縮性筋活動。下りるときには、収縮力よりも抵抗の方が大きくなり、伸ばされながら力を発揮する伸張性筋活動を行ないます。

 ところで大腿四頭筋にとって、短縮性収縮は自然な収縮形態であり、伸張性収縮のほうは不自然な収縮形態という。そして筋力不足の人がこの不自然な伸張性収縮を行うと、たくさんの筋細胞が壊れてしまう。筋細胞が壊れると、筋力は大きく低下する。短縮性収縮をしたときも筋力は低下するが、その低下率は小さく、元に戻るのも早い。しかし伸張性収縮をすると、筋力は運動前の半分くらいまで低下してしまい、しかも数日経っても元に戻らない。

 登山の場合に当てはめてみると、登っているときは短縮性収縮が行われているので、筋力はそれほど低下しない。しかし下りにかかると伸張性収縮が繰り返されるので、脚力の弱い人では筋力が急激に低下してしまう。一般的に最終日の下りに事故が多いとされるのは「気のゆるみ」といった精神的なものより、筋肉に疲労が蓄積した結果として起こった「筋力の低下」が事故の要因として考えられる

 登った後で下りることがほとんどで、脚の疲労はたいてい下りのときに出てきますから、すべての行程で疲労が溜まるものと考えてしまいます。そうではなくて、ふだんあまり使わない大腿四頭筋の伸張性筋活動が原因とは・・・。下りのときの、後方の脚の筋活動です。しかも、足が地面から受ける衝撃が平坦な道を歩くときとは異なります。「マニュアル」では、登りの2倍としていますが、勾配によってはもっと荷重が掛かるような気がします。但し、これは前方の脚です。なお、短縮性収縮とは短縮性筋活動のことで、伸張性収縮とは伸張性筋活動のことです。

「筋力の低下」とともに、足が地面から受ける衝撃力のことも考慮しておく必要がある。登りの場合、体重とほぼ同じくらいの力がゆるやかにかかるだけだが、下りでは登りの2倍(つまり体重の2倍)もの力が、着地した瞬間に一気にかかる。当然の事ながら、ザックを背負っていればこれよりさらに大きな衝撃力がかかることになる。体重が50キロの女子が25キロのザックを背負っているとすると、下りでは150キロもの衝撃が瞬間的に片足にかかることになる。急斜面を勢いよく下っていれば、衝撃はより増大する。

大腿四頭筋は、この着地衝撃に対抗して体重を支える役割を果たしている。ところがこの筋は下りにかかると伸張性収縮の繰り返しによって、筋力が大きく低下してしまっている可能性がある。下りでは、脚筋力の低下と強い着地衝撃との相乗作用によって、特に転倒がおきやすい状況にあるのである。このことを理解せずにただ注意するだけでは転倒を防ぐことはできない。
(引用:
「安全登山のためのマニュアル(基礎編)」)

 そして、大腿四頭筋の短縮性、伸張性筋活動双方の理想的トレーニングとして、スクワットが紹介されています。膝を伸ばすときが短縮性筋活動で、曲げるときが伸張性筋活動。確かに日常的なトレーニングとしては、階段の上り下りよりも手軽で、膝や腰への負担が少ないでしょう。但し、フォームに気をつける必要があります。

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山道で出会ったヘビ

 先日歩いた武田山の憩いの森登山口に、「マムシに注意」という看板がありました。しかし、マムシの特徴をよく知らなかったので、ヘビ全般、とにかく長くてうねっているものに気をつけて歩きました。

 これから夏に向かい、近郊の山を歩くと、おそらくヘビに出くわす機会が多くなると思うので、少し調べてみました。すると、一般的に見られるヘビは、マムシ、ヤマカガシ、シマヘビ、アオダイショウの4種で、そのうち毒を持っているのは、マムシとヤマカガシらしい。

 毒は、マムシの方が強く、ヤマカガシは牙が奥にあるため、咬まれても毒がまわることは少ないということです。参考に生物図鑑のサイトを見てみましたが、どれも同じように体が長くて区別できません。とりあえず、一番危険なマムシの特徴(頭が三角形、身体は茶色でまだら模様、胴は比較的太くて短い、トグロをまいていることが多い)だけでも、頭に入れておきたいと思います。

 実は、立専寺方面へ下山するときに、ヘビに出会ってしまったのです。結構大きくて、体の色はグレーだったように思います。林道の脇にある岩の上にいましたが、向こうのほうからそろそろと逃げていきました。おとなしいので、おそらくアオダイショウだろうと素人判断をしました。

 それと、宗箇山に行ったときにも、尾根道で小さくて細いヘビに会いました。茶色でシマがあり、すばしこく身体をくねらせて藪へ逃げていきました。シマヘビの可能性が大きいと思いますが、おぼろげな記憶ではヨコジマ模様だったような気もするので、ひょっとしたら、ヤマカガシかもしれません。頭が三角だったような覚えも・・・。

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クジラがクジラなら、ゴジラはゴジラか

 このタイトルでは、同語反復で何のことやら分からないと思いますが、言いたいのは「ジラがクジラなら、ジラはゴジラか」というアクセント(文字)の問題です。中国地方では、鯨のことを「クジラ」と「ク」にアクセントを置くのが一般的だったと思います。ところが最近、このアクセントに変化が生じてきています。

 家族の中でも、「ジラ」と正統に発音するのは私だけで、「クジラ」という言い方が幅を利かせています。「そう言うのなら、『ジラ』は『ゴジラ』と言うべき」と反論するのですが、あまり相手にされず、こちらもときどき、不覚にも「クジラ」と言ってしまう始末です。おそらくテレビなどによる「東京言葉」の影響でしょう。

 ところで最近、ニュースなどで、アナウンサーの話す単語のアクセントが平板化していて、耳につくことがあります。例えば、このたびの新型インフルエンザに関する報道でも、その警告段階を示す「フェーズ」という言葉。原語は「Phase」ですから、本来なら「フェィズ」と言うべきではないかと思いますが、ほとんどのアナウンサーはアクセントを付けずに「フェーズ」と言っているようです。

 アクセントの平板化について、「国立国語研究所」のホームページに面白い解説http://www.kokken.go.jp/kanko/kokken_mado_mt/09/04/
があったので、引用してみます。

平板化はなぜ起こるのか
 東京の言葉を中心に,アクセントの平板化は大きな流れとなって進行しています。それでは、このような変化はなぜ起こるのでしょうか。難しい問題ですが、まず考えられるのは、記憶の負担や発音の労力を軽減して、「コスト削減」あるいは「省エネ」で行こうということです。起伏式の場合、個々の単語ごとに下がり目の位置を覚えなければなりませんが、平板式はその必要がありません。また、下がり目が無ければ、発音の労力もその分だけ減って楽になるということでしょう。

平板化アクセントの印象は
 ところで、「サーファー」「モデル」「バイク」「ビデオ」といった外来語のアクセントの平板化については、「専門家アクセント」という面白い指摘があります。平板化がいち早く起こるのが、その単語を普段からよく使う人たちの間であり、ある種の単語のアクセントを平板化することが、その分野によく通じていることの目印になるというのです。また,例えば「バイク」を平板式で発音する人たちの間には、仲間意識が育つことにもなるといいます。
 起伏式アクセントは、平板式に比べて確かに際立って聞こえます。それを平板化して滑らかに発音すれば,どこか特別扱いを解除したような気分になるのでしょう。ある種の単語を発音の面でも自明のようにさらりと扱うことが、自分が専門家であるとアピールすることにつながる、そんな意識が働いているのかもしれません。

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「あおぎりカイロプラクティック」の新型インフルエンザ対策

 新型インフルエンザの感染が各地に広がりつつあります。予想通り感染力が強いようで、広島に到達するのも、そんなに先のことではないでしょう。幸いなことに、今のところそれほど重篤な症状は出ていないようですから、あまり神経質になることはないかと思われますが、施術者がインフルエンザ・ウイルスを媒介することのないように、対策を検討しておくことにしました。

  1. インフルエンザに感染している方や感染が疑われる症状のある方のご来店は、お断りさせていただきます。本来、感染症は、民間療法では治療・改善することはできません。禁忌症のひとつとして扱われていますので、悪しからずご了承ください。
  2. 施術者のマスク着用。マスクによる予防効果については、科学的な検証ができていないそうですが、セキやくしゃみなどによる飛沫を防ぐため、施術中もその前後も、お客様の感染の有無に関係なく、着けさせていただきます。
  3. 施術台とツールの払拭・消毒。これまでもアルコール剤を用いて行なってきましたが、より丁寧に、顔や頭のあたる部分、手があたる部分などを重点に、全体にくまなく払拭、消毒します。
  4. 部屋の換気。施術の後、窓を開け、換気扇を回して、空気が滞留しないようにします。夏に向かう季節ですから、その方がおそらく快適でしょう。
  5. 施術後の入念な手洗いと消毒。お客様に触れますので、本来なら手袋の使用が一番なのですが、そうすると指の感覚が鈍くなって、検査に差しさわりが出てきます。そのため、しっかり手洗いをして、さらに消毒することで代行します。

 これらの対策を行なった上でも、万が一、施術者が感染した場合は、完治するまで休業させていただきます。これはこれでご迷惑をおかけすることになりますし、経営面でも大変ですが、無理をして、ウイルスをまき散らすことがないようにしたいと思います。その時は、どうかご容赦ください。

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この樹何の樹? ベニハナトチノキ

 広島市中区中島町、平和大通りの南側歩道に、数年前に造られた「平和の門」というモニュメントがありますが、そのすぐそばに、ピンクの花がまっすぐ上に向かって咲いている樹がありました。その葉は、まるで紫蘇のオオバようです。

 ホームページのインデックスに載せようとしたのですが、何という樹か、名前が分かりません。インターネットであちこち探してみると、少し苦労しましたが、「ベニハナトチノキ」」ということが分かりました。「栃もち」の材料になる実が取れる「トチノキ」の赤バージョンということです。

 この「ベニハナトチノキ」は、「アメリカベニハナトチノキ」と「セイヨウトチノキ(マロニエ)の雑種にあたり、ときどき街路樹として植えられるということです。そう言えば、「あおぎりカイロプラクティック」のあるコートヤードというビルの1階にあるケーキ屋さんが、「マロニエ」という名前です。

 樹の名前だったんですね。「マロニエ」何を意味するのか、これまでまったく知りませんでした。花の色は、白がベースで少しだけピンクが混ざっているそうです。この「ベニハナトチノキ」のように、さぞかし美しい花を咲かせるのでしょう。さすがに洒落た名前をつけるものです。 Imgp2794_edited   
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新型インフルエンザウイルスに突破されてしまった水際作戦

 新型インフルエンザがついに水際を突破し、この記事を書いている時点で、国内の患者数は173人に達しています。国立感染症研究所の専門家は17日に、感染者数は1000人レベルを超えている可能性があることを指摘していますが、今日19日にはもっと増えているかもしれません。

 厚生省が水際対策に力を入れている様子は、連日ニュースでも報道されているのでよく分かりますが、インフルエンザの発症までの潜伏期間を考えると、感染しても症状が出るまでに検疫を通過してしまうことは容易に考えられます。専門家からも、水際対策よりも医療機関の感染症対策の体制整備に、お金や人材を振り向けるべきだという意見が出されているようです。

 「JMM Japan Mail Media」(5月6日発行)に、東京大学医科学研究所の上昌宏准教授の「新型インフルエンザ対策を考える ~検疫よりも国内体制の整備を!」という、なるほどと思わせる興味深いレポートが掲載されていましたので、一部抜粋して紹介します。

【水際対策は本当に有効か?】

 厚労省が水際対策と称して検疫に力を入れていることは、皆さんも報道からご存じでしょう。ゴールデンウィークの帰国ラッシュには検疫官を普段の3倍に増員したと言われています。このような報道が繰り返されることにより、厚労省の懸命な努力により、新型インフルエンザが水際でくい止められているという印象が国民の中に形成しつつあるように感じます。しかし、あの報道や映像を見て、専門家は疑問を感じています。

 テレビでは、検疫官たちがものものしい防護服でチェックに向かう姿が報道されています。あの防護服は、医療関係者が未知の病原体と対峙するとき、空気感染、飛沫感染、接触感染によって自らが感染しないこと、および医療関係者を介して患者間の感染を防ぐことが目的です。しかし、それなら、違う患者・乗客に接するたびに防護服を使い捨てにして着替えなければ意味がありません。着替えないまま走り回っているということは、もし、本当に新型インフルエンザ感染の患者がいたら、乗客にもふりまいてしまうことになります。

 新型インフルエンザの潜伏期間は長く見積もって約10日間ですが、空港利用者の大部分が短期間の旅行や出張から帰ってくる人でしょうから、ほとんどがこの期間中にあると予想できます。空港に着いた時に症状がなければ、どんなに検疫を強化しても発見できませんから、すり抜けて国内に入っていることになります。ちなみに、米国テキサス州で死亡したメキシコ人患者も潜伏期に国境を通過しています。このように、厚労省が主張する検疫強化によって水際で食い止める考え方は、医学的には妥当ではありません。

 また、テレビでご覧になった方も多いでしょうが、厚労省は乗客の体温を検知するサーモグラフィーを大量に整備しました。しかしながら、サーモグラフィーでの有症者発見率は0.02%すなわち1000人に2人で、99.8%はすり抜けます。サーモグラフィーは意味がないことは、SARSの際の経験からも知られています。一方、サーモグラフィーの価格は1台約300万円です。費用対効果が極めて悪い投資です。

 おそらくサーモグラフィーも、発熱によるインフルエンザ発症の疑いの有無がわかるだけで、感染・非感染の区別はできないのでしょうから、確かにあまり当てにはできないようです。レポートの全文はhttp://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_1617.htmlをどうぞ。

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肩甲骨を寄せ肩を固定して行なう「上級者のベンチプレス」

 『使える筋肉・使えない筋肉』(谷本道哉著 石井直方監修)という本に、「初級者のベンチプレス 上級者のベンチプレス」というコラムで、ベンチプレスのフォームに関する注意点が紹介されていました。ポイントは、肩のうごきに関してです。肩をすくめることが良くないと聞いたことがありましたが、肩の固定については新しい知見です。

 上級者のフォームは肩を引いて(肩甲骨を寄せる)固定して安定させることで大胸筋の力発揮に動作を集中しやすくなります。また胸を張って大胸筋をストレッチした状態にすることで、筋肉の力-長さ関係で有利な位置にできると考えられます。ストレッチされることで大胸筋を運動に動員させやすくするという要素もあるでしょう。「肩を引いて上腕を押し出す」。このフォームが身につくだけで、挙上できる重量がずいぶん変わります。

 これに対して、「初級者の場合は肩を前面に突き出しながらプレス動作を行な」うということで、肩への障害の可能性や挙上重量の点で、否定的に説明されています。これまで、肩の動きについては、あまり意識していませんでした。肩で押し出すことにはなっていなかったと思いますが、かといって、肩甲骨を背中側で意識的に引き寄せてはいませんでした。

 そこで早速、肩甲骨の引き寄せと固定を意識してベンチプレスを行なってみました。ところが、そのことを意識しすぎたためか、腕の角度が広くなりすぎてしまい、いつもより力が入りません。大胸筋に、集中的に負荷が掛かる状態になったのか、残念ながら、半分くらいのレップ数しか挙がりませんでした。

 本来、ベンチプレスは、大胸筋の他に、三角筋前部と上腕三頭筋なども鍛える種目です。そう考えると、肩甲骨を引き寄せ、肩を固定して大胸筋に負荷を集中しすぎることが果たして適切なのかどうか・・・。そうは言っても、まだフォームの取り方に問題がある可能性もありますから、もう少しこの「上級者フォーム」にチャレンジしてみて、その上で是非を検討したいと思います。

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QOLを高めるために行なうレジスタンストレーニングの安全性は

 このところ非活動的なライフスタイルを改善して、生活の質(QOL)を高めるために、レジスタンストレーニングによる筋肉強化の必要性が重視されているようです。レジスタンストレーニングの安全性について、『運動療法と運動処方』を見ながら考えていきます。「Ⅴ.運動の種類と指導方法・注意点」の「レジスタンス(筋力)トレーニング」という項に、適切な説明がありました。

 レジスタンス運動は安全かという質問をしばしば受ける。レジスタンス運動では、血圧が亢進することや循環器障害などをきたすことへの憂慮から、本邦では運動を敬遠する医師、指導者が存在することも少なくない。一方、アメリカのクーパーエアロビクスセンターとフロリダ大学運動科学センターでは、レジスタンストレーニングを積極的に取り入れてきたが、整形外科的な問題や循環器系への障害や事故はほとんど観察されていない。Gordonの(1992)報告によれば14,000人(20歳以上、160/90mmHg以下の者)を対象にベンチプレス、レッグプレス、ニーイクステンションの最大筋力(1-RM maximal strength test)を行なってきたが心臓血管系の障害は皆無という。さらに、最近の研究では心疾患者において1-RM の60%またはそれ以上のレジスタンストレーニングを行なってもダブルプロダクト(収縮期血圧と心拍数の積、心筋の酸素消費量と相関)は漸増負荷による最大酸素摂取量測定時の85%以下であった。不整脈や憂慮される虚血状態は全く生じていない。あるいは拡張期血圧は高くなるが、収縮期血圧の特別な亢進はないなどが報告されており、安全性の高いことが認められている。
 息こらえを行なった高強度運動と呼吸を取り入れた場合に収縮期血圧がどの程度異なるかというNarlochとBrandstater(1995)の実験によれば、ダブルレッグプレスにて最大筋力時でバルサルバを伴う形で運動を行なうと若年者で血圧は311mmHg(収縮期)、284mmHg(拡張期)を示したという。一方、同じ負荷で呼吸を完全に行なわせた場合には198mmHg(収縮期)、175mmHg(拡張期)と大きく減少したという。このようにレジスタンス運動では何よりも息こらえをしないという指導が重要なものといえる。いずれにしても運動すれば安静時よりも危険性が高まるのは事実であるが、重要なことは効果を得るためにいかに行なうかという方法論上の課題であると思われる。

 レジスタンストレーニングというと、ウェートリフターやパワーリフターが行なう最大重量の挙上を追求するハードな運動というイメージを持ちがちですが、軽い負荷を用いて反復回数を多くするものや、マシーンやゴムバンドを用いるもの、自らの体重を利用するもの、ゆっくりを動作を行なうものなど、目的によって様々な方法があります。

 それにしても、レッグプレスでは、呼吸をしていてもなお、かなりの血圧になるようです。あるいは、ウェイトが最大重量に近い場合は、普通に息をしているつもりでも、瞬間的に止めた状態になるのでしょうか。この数値では、閃輝暗点が見えても不思議ではないような気がします。

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レジスタンストレーニングが中高年男性の脂質異常症改善にも有効

 脂質異常症(高脂血症)は、ライフスタイル特に食生活の欧米化によって、日本人の間にも急激に広まってきました。高血圧、肥満、糖尿病とともに生活習慣にかかわる疾患であり、年齢(男性は45歳以上、女性は閉経後)、喫煙などとあわせて、動脈硬化性疾患のリスクを高める要因となっています。

 運動療法としては、特に心肺機能を高める有酸素運動が、脂質代謝改善に有効であることは、よく知られていますが、無酸素運動であるレジスタンストレーニングにも好転させる効果があることが、『運動療法と運動処方』(佐藤祐造編著) Ⅳ生活習慣病の運動療法「高脂血症」の項で述べられています。

 アメリカスポーツ協会(ACSM)の提言によれば、健康の保持・増進にレジスタンストレーニングが欠かせない要素として、トレーニングプログラムのなかに織り込まれている。われわれは中高年のボディビルダーの持久性能力と血中脂質プロフィールについて、一般中高年者との対比で検討した。
 ボディビルダーのレジスタンス運動は低強度・高頻度でインターバルの短いものであり、ウエイトリフターが行なう高強度・低頻度でインターバルの長いトレーニングとは著しく異なっている。対象とした中高年男性ボディビルダーは一般中高年者に比べて体重は著しく重いが、体脂肪率は一般人よりもやや低く筋肉質であり、有酸素性能力は有意に高い水準であった。ボディビルダーの結成TG(トリグリセリド-引用者)は一般人よりも著しく低い水準であった(80±36vs121±47㎎/dl)。また、TC(総コレステロール-引用者)値は両グループの間に顕著な差はなかったが、ボディビルダーのHDL-C値は一般人の値よりも著しく高い水準であり(63±15vs46±10㎎/dl)、ボディビルダーの動脈硬化指数(TC/HDL-C)は一般人よりも明らかに低値であった(3.4±0.9vs4.3±0.8㎎/dl)。
 以上の結果は、中高年男性のレジスタンストレーニングが身体組成、呼吸循環機能を改善し、血中脂質・リポ蛋白プロフィールを好転させる効果があることを示唆している。

 疫学的な研究報告のみで、なぜ効果があるのか、その医学的根拠については明らかにされていません。レジスタンストレーニングでも、「低強度」=軽めの重量で、「高頻度」=挙上回数を多めに、そして「インターバルの短い」=セット間の休みをできるだけ短く行なうトレーニングが適しているようです。但し、糖尿病または高血圧症を併せ持っている場合は、無酸素運動はあまり適さないようですから、いずれにしてもメディカルチェックを受けてからにした方が良いでしょう。

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不思議な脳の働きのひとつ 長期記憶のメカニズム解明

 記憶というのは、考えてみれば不思議な脳の機能のひとつですが、長期記憶のメカニズムを示した「シナプスタグ仮説」が実証されたようです。「記憶を正確に保存する神経細胞の仕組みを解明(記憶の正確さに関わる精神疾患の治療やリハビリテーション効率の改善に期待)」というプレスリリースが、科学技術振興機構 三菱化学生命科学研究所から5月15日に発表されました。本文はちょっと難しいのですが、その中の「研究の背景と経緯」以降に、いくぶん分かりやすい説明があったので引用して、勉強してみます。

 ある出来事を経験して記憶が形成される時、シナプスを介した神経細胞間の情報伝達効率が変化することが知られています。この変化はシナプス部にあるたんぱく質の修飾によって起こり、数分から数時間で消失します。一方、強烈な経験では長期記憶が形成されますが、この時はシナプスを介した情報伝達の効率変化も数日以上にわたって維持されます。この時に細胞体で遺伝子発現の変化が起き、そこで合成されたたんぱく質が樹状突起を経由してシナプス部に配達されて働くことで、伝達効率が長期的に変化します。これらの記憶関連たんぱく質は、その記憶に対応した特定のシナプスだけに配達され、そのシナプスの伝達効率のみを長期的に変化させることで、長期記憶を正確に保存すると想定されます。
 ところが、1つの神経細胞には数万個のシナプスがあるため、どのような仕組みで特定のシナプスだけに配達されるのかが未解決の大きな問題でした。たとえて言うなら、東京の中央郵便局(細胞体)から北海道・稚内(特定のシナプス)宛に配達される郵便物が、沖縄や大阪には配達されずに、どのようにして稚内という目的地に正確に配達されるのかという疑問です。郵便とは異なり、たんぱく質自体には配達先情報は含まれていません。
 この疑問に対する答えの1つとして、シナプスタグ仮説が提唱されています。それによると、初めに出来事を経験した時に活動した特定のシナプスにシナプスタグと呼ばれる目印が付きます。一方、細胞体で合成された記憶関連たんぱく質はいったん全てのシナプスに輸送されますが、目印が付いたシナプスに配達されたものだけが目印に捕捉されて機能するという考えです。すなわち、郵便物は稚内にも沖縄や大阪にも配達されますが、稚内の郵便局だけがそれを開封するキーを持っているので読むことができるわけです。シナプスタグ仮説は、覚えた時と同じ内容の記憶を保持する、すなわち記憶の正確さと安定性に関わる仕組みをうまく説明していますが、この仮説が正しいかどうかは実証されていませんでしたし、その目印の実体も不明でした。

 今回の研究で、「シナプスタグ」がたんぱく質の取り込みを制御していることを実証し、記憶を正確に安定して保持する仕組みを明らかにしたようです。そして今後のこととして、記憶に限らず、脳の働きを解明する次のような展望をしています。

① シナプスタグに生じる異常は、トラウマ記憶をそれとは無関係な種々の状況と結びつけてしまうPTSDの症状に関わると想定されるので、シナプスタグ機構を制御することによるPTSD治療法の開発への展開が期待されます。
② 異なる出来事の複数の特徴を1つにまとめて覚えることにより連合記憶ができますが、シナプスタグ機構は連合記憶の保持に必要と思われます。統合失調症などの精神疾患の症状には、記憶の連合が不正確になり事実と異なる組み合わせで記憶をつなぎ合わせることが原因となっていると想定されるものもあるため、シナプスタグ機構を制御する薬を開発することにより、統合失調症などの改善薬になる可能性があります。
③ 脳卒中などで脳細胞が損傷を受けた時、生き残った他の脳部位や再生した末梢に連絡する脳部位が機能を代替することが知られています。この時、リハビリテーションで体を動かすことにより新規の機能部位でシナプス伝達の改善が起きると考えられています。シナプスタグ機構を適切に制御する方法の開発が、リハビリテーションの効率を改善するのに役立つ可能性があります。
④ シナプスタグ機構の制御の仕組みを記憶素子とその制御演算に応用すれば、記憶の連合をコントロールして、人間のように発想することのできる新しい脳型コンピューターなどの「考える機械」の開発へと展開できます

 PTSDや統合失調症、脳卒中後遺症の治療に役立てられるのは素晴らしいことです。しかし、④の人間のように発想する「脳型コンピューター」というのは、子どもの頃に見たSFドラマを思い出してしまい、少し怖いような気もします。でも、今やそういうことが現実に展望できるようになったのですね。
 プレスリリースの詳細はhttp://www.jst.go.jp/pr/announce/20090515/をどうぞ。

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斜角筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 斜角筋は胸郭出口症候群に関連する筋肉です。『クリニカルマッサージ』では、胸郭出口症候群の原因を、もっぱら斜角筋の硬結に求めているようです。

 胸郭出口に含まれるのは、斜角筋と第1肋骨、または前斜角筋と中斜角筋との間の通路部分である。腕へと流れていく途中、腋窩動脈と腕神経叢は、前斜角筋と中斜角筋の間を通り、次に第1肋骨と鎖骨との間を通る。この通り道のどこかに前斜角筋と中斜角筋の硬結が存在すると、血管や神経は圧迫されてしまう。斜角筋による関連痛と腕神経叢が圧迫されてしまったことによる痛みの識別は、難しい場合がある。

ストリッピング
・患者は背臥位とする
・術者は患者の頭側に立つ。一方の手を頭の下に差し入れて頭を保持する。
・もう一方の手の指を患者の頚の下に置き、母指を斜角筋の上部に当てる
・しっかりと組織に圧をかけながら、筋肉に沿ってゆっくりと母指を動かす。できるだけ遠くまで指を運び、鎖骨後側の窪みに指がくい込むようにする。同プロセスを繰り返す
・次に中斜角筋を探し出し、同じプロセスを繰り返す
・最後に後斜角筋を探し出す。後斜角筋に続いて、僧帽筋の縁部の前の窪みにできるだけ指がくい込むように母指を動かす
・反対側も同様に行なう
・上記のプロセスは、母指ではなく四指を用いて行なってもよい

深部圧迫
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の頭側に立つか座る。首の付け根にある斜角筋に指先を当てる。患者の反対側の胸部に向かって斜めに、深く圧をかける。筋肉がリリースしたと感じられるまで待つ

圧迫
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の横、頭のそばに立つ。患者の首の付け根に手を置く。手根を僧帽筋と肩甲挙筋に当てる
・僧帽筋上で指を丸めて、首の付け根で斜角筋をつかむ
・はじめはやさしく、徐々に圧を強くかけながら、斜角筋がリリースしたと感じられるまでもむ

ストリッピング(2)
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の頭側に、患者の頭の方を向いて立つ
・一方の手で患者の頭をしっかりと保持する。もう一方の手の母指で中斜角筋の上部を探し出す
・僧帽筋の縁のすぐ前の組織をしっかりと押圧しながら、前斜角筋に沿って母指をできる限り遠くまで滑らせる
・後斜角筋に対しても同様に行なう
・上記プロセスは、指関節を用いて行なってもよい

ストリッピング(3)
・患者は座位をとる
・術者は患者の背後に立つ
・母指を中斜角筋の停止部に置く
・しっかりと組織に圧をかけながら、筋肉に沿って起始部まで母指を滑らせる
・前斜角筋、後斜角筋に対しても同様に行なう

 それぞれのストリッピングは体勢が異なるだけで、基本は前・中・後斜角筋に圧をかけて母指を滑らせる手技です。但し(1)(2)が停止部から起始部へ向けているのに対し、(3)のみ停止部から起始部へと逆方向になっています。しかしテキストにある写真をみると、どうも起始部が出発点になっているように見えますが・・・。

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バランス能力は改善できる

 何年か前、バランス能力をチェックする「閉眼片脚立ち」のテストを受けたことがありますが、何回やっても10秒ともたないため、該当年齢「70歳代」という評価を受けていました。しかし、日常生活では別段困ったこともなく、自転車にも何不自由なく乗れるので、これまであまり気にしていませんでした。

 ところが、たまたまトレーニングジムにバランスディスクがあるのを眼にしたので、少しでも改善できればと思い、ディスクの上に乗って開眼片脚立ちをするトレーニングを週1回程度行なってきました。自己流であまり確信はないのですが、このトレーニングを行なうと、ふだんあまり使わないような下腿部の諸筋群が緊張しているのが分かります。

 そんなとき、『運動療法と運動処方』(佐藤祐造編著)という本に、バランス能力のことが書かれているのを見つけました。「バランスディスクとコア・トレーニング」という項。上位中枢をバランスディスクを使ってトレーニングすることで、下位中枢が支配する静的バランス機構も改善することができるようです。

 人は、加齢により筋力が低下するとともにバランス能力も衰える。すなわち、高齢者は転倒しやすい身体になっている。また高齢者は骨密度が低下しており、転倒が骨折を引き起こす原因となっている。ただ骨密度は容易に改善できないものの、バランス能力や筋力はトレーニング次第で改善できることがわかっている。

 バランス能力とは、静止状態で(静的バランス)でも動的状態(動的バランス)でも姿勢と維持する能力のことをいう。
 静的バランスとは、重心位置が移動しない状態を指す。例えば、普通に両足や片足で動かないで立っている状態などがある。また、スポーツでは弓道やダーツなどの種目で要求される能力である。
 一方、動的バランスとは重心位置が移動したり、静止していても外からの力で不安定な状態を指す。例えば、歩行活動やふいにつまづいたりする状態などがある。スポーツではスキーや柔道など多くの種目で要求される能力である。

 バランスは、耳にある三半規管などで受け取る頭部の変化状況、皮膚や筋の感覚受容器および関節受容器などの体性感覚および視覚による相対的な位置変化情報が、脳の中枢神経へフィードバック(反応)されることによって保持される。例えば、下位中枢である脳幹、脊髄および小脳は、静的バランス機構に関与している。この調節は自分の意志とは関係なく起こる反射的な調節機能で伸張反射などがある。
 また動的バランス機能では、上位中枢である大脳皮質や基底角に関与されている。これらは、あらかじめ予測をした調節機構である。しかしこの調節機構は何度もトレーニングをすると、無意識に起こる下位レベルを中心としたバランス機構が制御できるようになる。そうなると動的バランス機構が素早くできるようになる。

 (略)以上から、バランスディスクに乗った後は、平坦な場所で片足立ちした時よりもたくさんの筋肉が大きく収縮していることがわかる。しかし、その後、平坦な床で片足立ちすると、バランスディスクに乗る前の筋収縮よりは少なくなっている。このことはバランスディスクに乗ることで脊髄運動神経が抑制され、その運動に必要な筋だけが活動するようになったため、効率的な運動が遂行できるようになったのである(馴化という)。

 そういえばロコモーティブシンドロームの改善にも、ダイナミックフラミンゴ療法というバランス能力を鍛える体操がありました。ひょっとすると、上位中枢をトレーニングすることで下位中枢を制御することができるようになるというのは、バランス能力に限らず運動能力全般に言えることかもしれません。

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国家レベルの「貧困ビジネス」 戦争まで民営化したアメリカ

 最近のアメリカ社会の状況を知りたくて、『ルポ 貧困大国アメリカ』(堤未果著)を読んでみました。前に読んだ『世界がキューバの高学力に注目するわけ』のなかで紹介されていた本です。それにしても、アメリカ社会の格差と貧困層の広がり、教育・医療・戦争の民営化にみられる実態は、考えていた以上にすさまじい。アメリカ国民が意を決して、オバマ氏を大統領に選んだ気持ちが何となく分かりました。

 かつて「市場原理」の導入は、バラ色の未来を運んでくれるかのようにうたわれた。競争によってサービスの質が上がり、国民の生活が今よりもっと便利に豊かになるというイメージだ。
 だが、政府が国際競争力をつけようと規制緩和や法人税の引下げで大企業を優遇し、その分社会保障費を削減することによって帳尻を合わせようとした結果、中間層は消滅し、貧困層は「勝ち組」の利益を拡大するシステムの中にしっかりと組み込まれてしまった。
 グローバル市場において最も効率よく利益を生み出すものの一つに弱者を食いものにする「貧困ビジネス」があるが、その国家レベルのものが「戦争」だ。

 しかし、これが決して海の向こうの話ではなくなって来ているのが心配です。世界の中でも、アメリカの模倣をするのが得意な日本、「戦争」を除いて公共機関の民間への移行がすでに進められているではないですか。「構造改革」というのは、新自由主義に基づく路線と聞いたことがありますが、新自由主義「先進国」アメリカが陥っている状況を見て、その是非をもう一度よく考える必要があるようです。

 かつてのアメリカがそうであったように、日本でも中間層のサラリーマンが国を支えていた時代には、大学を出れば就職、そして結婚し、家庭をもってマイホームを購入、退職したら年金暮らしが待っているという「一億層中流の人生計画」が存在した。だが「規制緩和」「民営化」「自己責任」などのキーワードと共に加速していった流れの中で、日本の中間層にいた人々は過労死やリストラの犠牲となり、「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」「医療制度の崩壊」「派遣社員」『教育格差」などの言葉がメディアにあふれるようになったのだ。

 日本も小泉、安部内閣の下で民営化が進められ、社会保険庁や介護施設、刑務所などが次々に民営化の流れに組み込まれている。だが「役所がひどいから民営化」という安易な考えが危険であることを、取材した多くのアメリカ人から警告された。アメリカン・ドリームという言葉に非常に弱いアメリカ人は、自由や競争=誰にも与えられる機会の平等だと思い込むふしがある。安易に民営化を支持したために、決して手をつけてはいけない医療や暮らし、子どもたちの未来にかかわる教育が市場にひきずり込まれてゆくことにブレーキをかけられなかったのだ、と彼らは言う。国が国民に対して持つべきこれらの責任を民間にスライドさせてしまうことが、いかに民主主義を破壊するかに気がつかなかったのだ、と。

 二〇〇六年七月に公表された対日経済審査報告書(OECD)のデータによると、「OECDにおける相対性貧困率ランキング」において、日本はアメリカに次いで第二位になっている。相対的貧困率とは、すなわちその国の格差レベルを指す。国内に中間層が厚く存在していれば、この数字の上昇にはブレーキがかかる。だが、アメリカの後を追った結果、日本の中間層は貧困層に転がり落ち、格差は急激に拡大しつつあり、さらにこの先「教育格差」が進めば、国内は一部のエリートとスペシャリスト、低賃金労働者という三層に分かれ、この所得格差は強固に固定されていくだろう。
引用:『ルポ 貧困大国アメリカ』(堤未果著)

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梨状筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 梨状筋は、その緊張によって「梨状筋症候群」という、坐骨神経の障害を引き起こすことがある筋肉です。『クリニカルマッサージ』「股関節の外旋筋」の項を見ていきます。

 梨状筋は、股関節の主要外旋筋であり、同時に股関節の主要固定筋である。その臨床的意義は大きい。
 坐骨神経は、個人差はあるが、梨状筋の上または下を走り、場合によっては貫通(または一部貫通)する。このため梨状筋の緊張は、その固有の関連痛パターンだけでなく坐骨神経の障害によっても痛みの原因になることがある。この障害を梨状筋症候群という。梨状筋の障害は、バレー・ダンサーには、恒常的にバレーの「ターンアウト」(股関節の外旋)が要求されるため、梨状筋の障害がよく見られる(ママ)。また梨状筋の股関節を固定する役割が原因となる障害もごく一般的である。

圧迫
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の横、腰の位置に立つ
・母指または両手の母指を重ねて大転子と仙骨間の中間点に置く
・しっかりと組織を押圧し、圧痛領域を探す。押さえてリリースする
・このようにして、仙骨縁から大転子への付着部まで筋肉全体を調べる

 これは、圧痛領域を探す検査を含んだ手技のようです。

圧迫とストレッチ
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の腰の位置に立つ
・片方の手の指関節を臀部上、大転子のすぐ内側に置き、前内側方向にしっかり押圧する
・反対の手で患者の足首をつかみ、膝を90°屈曲させる
・梨状筋に対して指関節をしっかり押し当てながら、患者の足を術者の方向に引っ張り、股関節を内旋させる

 このストレッチは、「梨状筋のパッシブ・ストレッチ」とも呼んでいるようです。股関節を内旋させて、梨状筋を伸展させることがポイントになっています。

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橈側手根屈筋起始部付近に慢性的な痛みがある「ゴルフ肘」

 ゴルフ肘は、上腕骨内側上顆炎と言い、テニスのフォアハンドを行なうことで発症することもあります。フォームに問題があることを指摘されることが多く、手首や指を曲げる前腕屈筋群と手首を内側にひねる回内筋群のオーバーユースによって起こります。

 上腕骨内側上顆には、円回内筋、長掌筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋などの付着起始部がありますが、筋肉を酷使することによって、内側上顆部で腱や滑膜が炎症を起こすことが原因になります。また、そのために上腕骨と尺骨との腕尺関節に後内方変位が生じていることがあります。

 趣味でゴルフをしているといわれるIさん(60代 男性)が、「半年ほど前から右肘の内側が痛み出した。ゴルフをするとき以外にも、寝起きに顔を洗うときや手を伸ばして壁を押したりしたときに痛む」と訴えて来店されました。

 右肘をチェックしてみると、痛みがあるのは、上腕骨内側上顆そのものではなく、その少し手前のようです。押さえてみると示指と中指が屈曲、橈側手根屈筋の付着部付近にトリガーポイントがありました。安静時には痛みはないようです。

 そのため、主に屈筋群のリリースに重点を置いて、トリガーポイントに母指推法などでアプローチ。また動きの制限はほとんどないようなのですが、念のため腕尺関節後内方変位の矯正を行ない、肘関節の可動性を高めるとともに筋群をストレッチする伸法・屈法などの施術を加えておきました。

 さらに内側上顆炎に対応するキネシオテーピングを貼付しましたが、Iさんの場合、発症してかなりの期間が経過していますから、改善には時間が必要かと思われます。

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大腰筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 大腰筋の障害は、骨盤の前上方変位に関係し、様々な症状を引き起こします。『クリニカルマッサージ』の「骨盤部・大腰筋(腸腰筋)」の項を勉強していきます。

 腰筋は腰椎に付着し、腹腔を通って鼠径部まで下り、そこで腸骨筋と結合し、腸骨の前縁を通って斜め下後方向に走り、大腿骨の小転子に付着する。このように腰筋は腸骨の前縁を滑車として利用して、腸骨に下後方の力を及ぼす。こうして腰椎を前方に引っ張り、腸骨の下前部で下後方に押圧することによって、腰筋は骨盤を前傾させ、腰椎を前弯させる。この作用は、著しい傾斜姿勢と脊柱前弯の傾向がある子供には容易に観察される。一般にこの姿勢傾向は、大人(軽度ではあるが観測可能)になるまで持続する。骨盤前傾の結果の1つとして、腹腔内容の重量が前方に移動し、腹部がせり出すことがある。またこの傾斜によって股関節が後方に押しやられ、膝と足首を制御する筋肉に圧力がかかる。過大な腰椎前弯は、その上に存在するすべての構造の位置補正をしなければならなくなる。
 腸腰筋の臨床的重要性には、間接的なものと直接的なものがある。間接的には、上記の姿勢に影響し、直接的には腰部、腹部、鼠径部、および大腿上部に痛みを起こす。腸腰筋の関連痛パターンには、臓器も含まれる。このため、腸腰筋障害は内臓原発性と同様の痛みを伴うことがある。

 仙腸関節の腸骨前上方変位では、股関節の可動制限、鼠径部、大腿上部、膝などの痛みをチェックしますが、その主な原因と考えられる大腰筋の障害には、内臓への関連痛も含まれることがあるようです。

圧迫
・患者は背臥位をとる。治療する側の股関節と膝関節を約45°屈曲させる
・術者は患者の横、腰の位置に立つ
・患者に近い方の指先を術者に近い方の腹部上、臍の下外方4~5cmに置く
・腹部をゆっくりとしっかり押圧し、円を描くように指先を移動し、臓器をそっと押しのける
・腰筋に触れたら筋肉を押圧して、圧痛領域を探す。押さえてリリースする
・指先が前回の治療スポットのすぐ下に来るように手を下方に移動する
・鼠径靭帯に達するまでこのプロセスを繰り返す
・鼠径靭帯の下の鼠径部に同じプロセスを繰り返す(ここでは円を描く必要はない)
・この腰筋の治療は、患者の反対側から、患者に座位、あるいは立位をとらせてテーブルの方に身体を曲げて実施することができる

付着部の圧迫
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の横、膝の位置に立つ
・重ねた両手の母指を鼠径部から約5cm下、大腿直筋内側の大腿前部に置く
・しっかりと組織を押圧し、小転子への付着部を探す。圧痛点があれば、押さえてリリースする。

 いずれも、漫然と大腰筋に圧をかけるのではなく、圧痛領域、圧痛点を探し出してリリースすることがポイントになっています。「圧迫」の手技に関しては、座位もしくは立位の方が、大腰筋に直接触れやすいようです。

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労働に8時間、後は自由な16時間

 『日経メディカルオンライン』に、「たくさん眠れば眠るほど健康、というわけではありません」という、睡眠願望の意表を突くような記事が掲載されていました。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cadetto/0901-t2/200905/510512.html

 一日24時間を3等分して、労働に8時間、睡眠に8時間、後は自由な8時間という労働者の権利を主張した歌があったような記憶がありますが、労働時間はともかく、疲労を回復して健康を維持していくのに必要な睡眠時間には個人差があるようです。しかも、齢を重ねるほど、睡眠に必要な時間は短くなってきます。

 記事では、「床の中に9時間いるのに、5~6時間しか眠れない」という睡眠薬を多用している人の例を出して、「こういう人にいくら薬を出しても効きません。生理学的な睡眠に対する欲求を超えて眠らせるのは難しいし、かつ健康にも良いことがない」と指摘しています。

 多くの人は「たっぷり眠って、すっきり目覚めることが健康の証し」と考えがちですが、朝起きるなり、はつらつとしてやる気に満ちているというのは、体内時計の仕組みを考えるとあり得ません。寝る前にはぼんやりしているクールダウンの時間、起床後には徐々に活動性が上がっていくウォームアップの時間が1~2時間あるものです。朝起きて「もう少し寝たいな」と思うくらいがちょうどいい。

 確かに、「眠りの要求水準が高すぎる」ということは言えるかもしれません。決めた時間に眠らなければならないと思えば思うほど、それがプレッシャーになって、ますます眠れなります。本当に眠りが足りないと体調が良くないこともありますが、あまり神経質になりすぎるのも良くないようです。

 睡眠時間まで自らにノルマを課さないで、労働に8時間、後は自由な16時間くらいのゆったりした気持ちの方が、心と身体には良いかも。

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葛藤をコントロールする不思議な脳内タンパク質の発見

 理化学研究所のサイトに、「葛藤を処理する脳基盤の発達に脳内タンパク質『X11L』が関与 -意欲や社会性を制御する神経機構の解明に新たな道筋-」(2009年5月6日)というプレスリリースが発表されています。http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2009/090506/index.html

 彼女(彼)と友達になりたい、だけど恥ずかしくて声をかけづらい。相反する感情そのものである葛藤は、日々の生活の中でさまざまな行動を生み出します。この葛藤を処理する脳のメカニズムは、まだ十分に分かっていません。そもそも感情がどのように生まれるのか?葛藤はどのように処理されるのか?その結果どういう行動を決定するのか?などといった疑問の解明は、脳科学の大きな挑戦の一つです。これまで作製された、感情制御に異常を引き起こすモデル動物の多くは、「不安・恐怖心が強く、うつの性格を示し、社会行動が低下、自発的な行動量も下がる」といった具合に、複数の感情異常が混同し、ある特定の感情に限定した研究ができませんでした。

 脳科学総合研究センター行動遺伝学技術開発チームは北海道大学薬学研究院の研究グループと協力し、遺伝子欠損マウスを用いて、新たな行動試験を含めさまざまな試験を行いました。その結果、タンパク質「X11L」が、葛藤を処理する脳基盤の発達で大きな役割を担っていることを発見しました。このタンパク質が欠損すると、葛藤下では消極性は変わらず、積極性だけが低下することが明らかとなりました。例えばこのマウスは、自分の縄張りに入ってくる侵入者を探索する行動が少なくなり、競争に負けやすくなりました。X11Lを欠損させた脳に、遺伝学的手法を使って発達期にX11Lを補ってやると、失った積極性や社会性の低下が回復し、X11Lが葛藤処理をする神経機構の発達にかかわっていることが裏づけられました。

 意欲や社会性を制御する脳機構の解明に新たな道筋を与えると期待されるとともに、自閉症や統合失調症などによる社会行動の低下や興味の喪失に対する治療戦略の探索に有効と注目されます。

 脳内タンパク質「X11L」ですか。葛藤のメカニズムにまで、科学の眼が入っているようです。まだマウスでの研究段階のようですが、近い将来、人間への適用も当然視野に入っているのでしょう。自らの感情をコントロールするのならまだしも、他人に感情を管理されることになると、あまり良い気持ちではないですね。でも、社会行動の低下や興味の喪失を伴う病気の治療法開発としては、期待したいと思います。

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南区から安佐北区まで広島市の街並みが展望できる武田山

 武田山411mを歩いてきました。週間天気予報では好天だったのに、昨夜の時点では「曇り一時雷雨」の予報、場合によっては諦めなければならないかとも思っていたのですが、予想に反して快晴、気持ちのいい風が吹く一日でした。

 観音から自転車で太田川放水路河川敷を通って長束へ、さらに旧国道を北上。JR下祇園駅に見当をつけて西へ曲がりましたが、すぐには見つからず。結局駅の周りを大きく一回まわって、なんとか到着しました。そこへ自転車を置いて、2キロメートル近く歩いて登山口へ。

 「まむしに注意」とあったので、気を引き締めて山に入りました。馬返しの一部と山頂付近には、かなり急な斜面も。ロープの代わりに、木の根が都合よく手すり状になっているので、つかんで登ります。みんな同じ気持ちでつかむのか、根っこは年季の入った色に。

 もう少しで山頂というところに千畳敷という城跡、銀山城の本丸があったということです。それにしても、よくこんなところに住んでいたものですね。日常的に上がったり降りたりするのは、相当な苦労があったでしょうに。少し手前の「馬返し」までは、馬を使ったようですが、さらにそこから上には、険しいところも何箇所かあります。

 武田氏の治世は1221~1541年、どんな政(まつりごと)をして、どんな暮らしをしていたのでしょうか、改めて郷土の歴史を考えてみたくなります。天守台として使われていた山頂は、大きな岩がニョキニョキとむき出しになって並んでいるため、広島市の沿岸部から山間部まで見渡すことができます。下界の動きをいち早くつかむのには好都合だったのでしょう。

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想定外にハード 鬼ヶ城山・鈴ヶ峯縦走

 広島市西区の海に比較的近い山々を歩きました。鬼ヶ城山282m、鈴ヶ峯東峰312m、西峰320mを歩きました。標高からして、箸休めならぬ足休めのつもりで歩いたのですが、登山用のロープが張ってある難所もあったりして、思いもよらぬハードな道のりした。

 しかも、広電古江駅まで自転車で行き、そこから美鈴が丘のトンネル入り口にある登山口まで歩いたものですから、それだけでも結構、距離と勾配がありました。周辺の平地の部分は何度も行ったり来たりしているのですが、この山間部を歩くのは初めてです。

 少し苦労して登った甲斐があって、さすがに山頂からの眺めは素晴らしい。特に、鬼ヶ城山と東峰、樹木があるので360度とまでは行きませんが、広島市街から、瀬戸内海の島々、佐伯区の団地まで、300度くらいは見渡すことができます。

 毛虫が多いのには閉口しましたが、また自転車で気軽に行ける山を見つけました。思いもしなったところに自然を満喫できるところがあるものです。帰りにはいつものように、左膝が少し痛くなってきましたが、季節が変わった頃、また歩いてみたい。

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三角筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 三角筋の手技療法はストリッピングのみなのですが、『クリニカルマッサージ』の三角筋の「概要」にちょっと興味深い記述があったので取り上げることにしました。

 三角筋の3部は、上腕骨頭部の上で肩を覆い、腕の屈曲、伸展および外転運動を開始する力の大部分を担っている。この3部配列により、三角筋の互いに拮抗する前部と後部が形成されている。三角筋中部は、外転に関して棘上筋と密接に協力する。三角筋は一般に障害を起こしやすい部位であるが、ストリッピング・マッサージによって簡単に治療できる。三角筋のトリガーポイントは、滑液包炎(筋肉の下でクッションの働きをする液体が詰まった滑液包の炎症)と解釈されることが多い。

 肩の痛みに関しては、記述のように「滑液包炎」を疑うことが多いのですが、「三角筋のトリガーポイント」の場合もあるようです。回旋筋腱板にばかり目を向けていましたが、三角筋も障害を起こしやすい部位ですか。しかも、その場合は、「ストリッピング・マッサージによって簡単に治療できる」らしい。

ストリッピング
・患者は背臥位をとる。術者は患者の頭側に、治療する側の肩の方を向いて立つ
・指関節、四指、または母指を三角筋前部の最上面、その内側縁の上に置く
・深く押圧し、上腕筋の付着部に到るまで、筋肉上の手を下向きに滑らせていく
・手を外へ向けて同じプロセスを繰り返し、三角筋中部に移動し、必要に応じて手を回旋させる
・手を肩の下へ三角筋後部に向けて移動させ、すべての三角筋の治療が完了するまで宇佐向きに押圧する
・三角筋後部の治療は、患者を腹臥位にして行なうこともできる

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インフルエンザウイルス 「弱毒型」・「強毒型」の意味

 新型インフルエンザA/H1N1は、「弱毒型」と言われています。「弱毒型」と聞くと、何となく感染してもそれほど重症にはならないようなイメージを持ってしまいますが。そういうことではないようで、インフルエンザの場合、その分類は少し複雑になっているようです。

 「弱毒型」と「強毒型」について、様々な解説がなされていますが、「BIGROBE なんでも相談室」に、専門知識を持っている方からの最も適切と思われる説明があったので、そのまま引用します。少し長文になりますが、素人が下手にまとめるよりも良いでしょう。http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa4920360.html

獣医師でウイルスに専門知識を有する者です。

 強毒や弱毒というのは病原性を表現する言葉ですが、「病原性」と「感染力」は同じではありません。感染力の弱い強毒ウイルスや感染力が強い強毒ウイルスといったものは普通にあり得ます。
 そこを間違うと、今回の新型インフルエンザについて弱毒型であるという報道を受けて「感染力が弱い」という大誤解をしかねないので注意して下さい。

 普通、弱毒や強毒という表現をする際は、単に発病率や症状の重篤性、致死率などで分けるのですが、インフルエンザの場合は少々難解です。

 インフルエンザの「毒性」はvirulenceではなく、pathogenicです。強毒型インフルエンザはhighly pathogenicです。そもそもvirulenceは通常"病原性"と訳します。"感染力"という意味合いはないと思うのですが・・・まあこれは別にどうでもいい話ですが。

 インフルエンザの「強毒型」とは、正確に定義を述べるとかなり複雑になるので簡単に書きますと、「鶏の全身臓器に感染するタイプ」ということになります。
 以下、もっと詳しく書きます。

 インフルエンザウイルスは、通常は気道と腸管粘膜でしか感染、増殖することができません。それはウイルスが細胞に感染するためにトリプシンという酵素が必要なためで、そのトリプシンは気道(鼻孔から気管支、気管等)か腸管内にしか存在しません。
 ですが、希にトリプシンなしでも細胞に感染可能な変異を起こすことがあり、この変異を遂げたインフルエンザウイルスは全身の臓器に感染して増殖することが可能になります。
 これを「高病原型」と定義しているわけです。高病原型と強毒型は同義です。


 肝心なのは、この定義は鶏のインフルエンザに対する定義だということです。
 現在のところ、「高病原変異」は鶏でしか起きたことが報告されていませんし、H5とH7の2つの亜型しか高病原変異したという報告がありません。

 ちなみにこの「高病原型」は、インフルエンザウイルスの遺伝子のどの部位がどのように変異すればそうなるのか、詳細に判っています。
 そして高病原変異を起こすのはH5とH7だけなので、鳥インフルエンザについては国際的な基準では実際に高い病原性を示さないと「高病原性鳥インフルエンザ」とは定義しないのですが(感染実験をして75%以上の致死率が基準です)、日本ではH5とH7の2つの亜型については無条件に「高病原性鳥インフルエンザ」と定義しています。
 ですから、「低病原型(弱毒型)の高病原性鳥インフルエンザ」というような、一見不思議な言葉が存在するわけです。今年の春に愛知県で出たウズラのインフルエンザがそうでしたね。

 この言葉がなぜヒトの世界の方で盛んに聞かれるようになったのかというと、近年インドネシアやベトナム等の東南アジアで"高病原性鳥インフルエンザ"が蔓延しており、その"強毒型"のウイルスがヒトに感染して既に300人近い方が亡くなっている、ということがあるからです。
 このアジアの鳥インフルエンザ感染では、致死率は60%近く極めて強い病原性を持っていますが、ヒト→ヒト感染はまだほとんど起きておらず「感染力はほとんどない」状態です。鶏→ヒトの感染力もそれほど強くありません。もし強ければ今頃何千人という人が犠牲になっているでしょう。

 で、このアジアの鳥インフルエンザ感染で亡くなった人々ですが、さすがにそこまで詳しくないのですが、今まで伝え聞いたところによると必ずしも「全身感染」していたということはないようです。あくまで重篤な呼吸器症で亡くなっていると読めます。
 鶏で強毒性(全身感染性)を持っているウイルスでも、ヒトや他の動物種に感染したときにどうなるかは、また別の話、というわけです。


 もうひとつ例を挙げると、つい昨日ですが、インドネシアで豚からH5N1ウイルスが検出されたというニュースがありました。400頭あまりの調査をしたところ、1割以上の豚からH5N1が分離されたということです。
 このH5N1は紛れもない「高病原型」のウイルスなのですが、豚に対しては「調べて判った」ということなので、おそらく致死率の高い病気は起こしていなかったのでしょう。鶏に対しては全身感染性を持つ強毒型のウイルスでも、豚に対しては全身感染は起こしていない可能性が高いです(詳報を得ないと断言はできませんが)。

 ということなので、インフルエンザウイルスに限っては「強毒型」とは、「鶏の全身臓器に感染性を持つウイルス」という定義です。この「鶏の」が肝心な点です。

 むろん、鶏に対して強毒型(全身感染型)のウイルスがヒトで流行した際にも強毒型(全身感染型)である可能性もあるわけで、それが最も恐れられているわけです。

 念を押しますが、これまでH5とH7以外に「強毒型」を示したウイルスは見つかっていません。これからも絶対にH5とH7以外は強毒型に変異しないという保証もないのですが、今回のH1N1が弱毒型なのは言わば"当たり前"の話で、これから強毒型に変異する可能性もまずないと思います。強毒変異すれば世界中のウイルス学者がひっくり返って驚くでしょう。
 もちろんスペイン風邪も、アジア風邪も香港風邪も、全て弱毒型で誰も異論は唱えていません。遺伝子の塩基配列も確定して、紛れもない弱毒型だったことが判っています。

 ですが、スペイン風邪も弱毒型で1000万人の方が亡くなっているわけですから、ことインフルエンザに関しては、ウイルスの型の分類である「弱毒型」あるいは「強毒型」と、ヒトに対する病原性の強さは別の話です。東南アジアで問題になっている以外の高病原性鳥インフルエンザの発生例でヒトに感染した事例はいくつかあるのですが、軽い呼吸器症で終わった事例や結膜炎程度で済んだ事例、あるいは抗体検査によって感染が判明したものの、まったく無症状だった事例も多くあります。

 というわけで、インフルエンザに関してはとりあえず「強毒型」や「弱毒型」という表現と、ウイルスのヒトに対する病原性は無関係、と覚えて下さい。
 それはつまり、今回の"メキシコ風邪"のウイルスが弱毒型であったとしても、それで安心するわけにはいかない、ということでもあります


 もうひとつ。
 「感染力」については、通常「どのくらいのウイルス量で感染が成立するのか」という数値で識別されます。
 少ないウイルス量で感染が成立するウイルスは、「感染力が強い」と言います。
 むろんそれは、「患者がどのくらいの量のウイルスを排泄するか」という数値にも関係してくるわけです。ウイルス100個で感染が成立するウイルスでも、患者が10個くらいのウイルスしか排泄しないのであれば、現実問題として「この疾病は感染力が弱い」ということになりますし、感染にウイルス100万個が必要でも、患者が普通に10億個のウイルスを排泄するのであれば、「極めて感染力が強いウイルス」ということになります。

 別に法則があるわけではないのですが、ごく一般的には、病原性が強いウイルスほど感染力は弱いです。というより、病原性も感染力も強いウイルスが存在すれば、人類はとっくに滅亡しているでしょ、という話なのですが・・・

 というわけで、「感染力と病原性は別」ということも記憶しておいてください。

 アンダーラインは、引用者が行ないました。「弱毒型」、「強毒型」というのは、あくまでウイルスの型の分類であって、その言葉から受ける印象と、「ヒト」に対する病原性は、違うものであるということがよく分かりました。そうすると、毒「性」ではなく、毒「型」と呼ぶ方が正確なようです。「弱毒型」が感染を繰り返すことで「強毒型」に変異するということはないにしても、そのことが、感染してもそんなに重症にはならないという根拠には、まったくならないということですね。

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後頚部筋群のクリニカルマッサージによる手技療法

 後頚部の筋肉にアプローチする手技療法を学びます。主に頚部のコリ、緊張型頭痛への対処に用いられます。環椎後頭関節および環軸関節の検査・矯正を行なった上で、痛みなどが残る場合に補足的に行ないます。出典は、『クリニカルマッサージ』です。

ストリッピングと圧迫
・患者は背臥位をとる。
・術者は患者の頭のそばに座る。患者の頭に近い方の手を、患者の頭の下に入れて頭を支える。もう一方の手を患者の頚の下に置く。母指は術者側、他の指は遠い側面に置く
・後頚部、頸椎上部棘突起のすぐ外側に当たる頭蓋底に、母指を押し込む
・組織にしっかりと圧をかけながら、体幹に向かって母指を滑らせる。硬結部または圧痛点を感じたら、そこで指を止め、リリースしたと感じられるまで待つ。首の付け根に沿って、快適に母指を動かせる限り、押圧し続ける
・圧をかけながら頭蓋底まで同じ経路を戻る。硬結部または圧痛点を感じたら、そこで指を止めて、リリースしたと感じられるまで待つ
・母指を外側、つまり術者の方へ移動させ、斜角筋後面までの後頚部全体をカバーするように、同プロセスを繰り返す
・頭蓋底で母指を押し上げるように、かつ後頭下筋に押し込むように深く押圧する
・リリースしたと感じられるまで待つ

四指での移動圧迫
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の頭側、中央に座る。両手を平らにして、四指が胸椎の両側に届くまで肩の両側下に押し入れる
・四指を曲げて、脊柱の両側の筋肉に圧がかかるようにする
・手を自分の方へゆっくりと引く。曲げた四指が脊柱両側の筋肉に圧を加え続ける。指先が頭蓋底に達するまで行なう

クロスファイバー・ストローク
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の頭側に、患者の方を向いて立つ。片方の手を患者の首の下、後頭底部におく。指先を曲げて、後頚部の筋肉の側方に押し当てる
・組織を押し上げるように、かつ組織に押し込むように曲げた指先でしっかりと圧をかけつつ、指先を自分の方に引く。指先が脊柱に達したら止める
・手を首の付け根に向かって下行させる。これを繰り返す
・反対側も同様に行なう

母指によるクロスファイバー・ストローク
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の頭のそばに、首の方を向いて立つ。患者の頭を片手でしっかりと安定させる
・もう一方の手の四指を患者の首の遠い方の側面に置き、母指の先を頭蓋底の頸椎に置く
・首の筋肉にしっかりと圧をかけながら、母指を治療手の四指に向かって動かす(注意:頭蓋底では圧の一部を後頭骨に振り分ける)
・手を首の下方にやく2.5~5cm移動させる。同プロセスを繰り返す。首の付け根に届くまで同様に行なう
・術者は患者の反対側に移動し、反対側にも同様に行なう。

 クロスファイバー・ストロークで、指先を曲げるのは母指以外の四指です。この4つの手技を行なえば、後頚部の硬結はかなり和らぐでしょう。

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僧帽筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 肩こりの主要な筋肉である僧帽筋、その付着部と作用および関連痛については、頭痛に関連する筋肉のところで取り上げましたので、ここでは『クリニカルマッサージ』で紹介されている手技療法について勉強してみます。

 僧帽筋は非常に大きな筋肉で多様な機能を有する。僧帽筋は重要な後頚筋であると同時に、肩部と上背部の筋肉でもある。この筋肉に問題があると、非常な痛みと不快感が生じる。(略)多くの人にとって、僧帽筋は日々の緊張のたまり場となりやすい。
 僧帽筋は後頚部、肩部そして上背部にある他の筋肉に比べると浅層に位置する。そのため、この位置にある他の筋肉の検査ないし治療をしたい場合、おのずと僧帽筋の検査と治療が含まれることになる。上半身の痛みや機能障害の場合、僧帽筋の役割は大きいので、僧帽筋の付着部、作用、関連痛のパターンなどを知っていることが大切である。
 一般に、僧帽筋の頚部の検査と治療は、他の後頚筋の検査と治療を介して行なわれる。肩甲骨周辺の僧帽筋中部についても同様のことが言える。

手技治療
ストリッピング
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の頭側に立ち、患者の肩の首付け根部分に一方の手掌を平らに置く。指は下方を指す
・自分の体重を利用して、組織にしっかりと圧をかける。手は脊柱と肩甲骨の間を通り、第12胸椎まで下行する。体重は主に手根を介して患者に伝える
・同じ手、またはもう一方の手を再び開始点に置く(使いやすい方で構わない)
・同様に体重を利用して圧をかけるが、全体重が手にかからないように足の位置を替える。手は上背部を斜めに下行する。肩甲骨の内側縁の内側を通り、肩甲骨下角を過ぎるまで押圧する。
・先ほどの手から、もう一方の手に替え、替えた手の手根を頸椎下部の外側に置く
・肩甲骨の上縁から肩峰まで、しっかりと圧を加える
・反対側も同様に行なう

ペトリサージュ
・術者は、腹臥位の患者の横、肘の辺りに、患者の頭の方を向いて立つ
・両手を患者の肩(術者の近い方の肩)、僧帽筋上部に置く
・両手を交互に使って組織を握ってはつかみ上げる。始めはやさしく、組織がリラックスしてきたら次第にしっかりと揉みほぐすようにする
・筋肉を片手でつかみ、数回振るわせて終える
・患者の反対側に移動し、同様に行なう

二指圧迫法
・術者は腹臥位の患者の横、肘の辺りに、患者の頭の方を向いて立つ
・患者の肩上部、首の付け根に手を置く
・その部分を、母指と四指でしっかりとつまみ続ける(ホールドする)。やさしく始め、組織の状態を評価する。組織がリリースするにつれて、つまむ力を次第に強くする
・組織のホールディングと、母指と四指で組織を前後に振るわせることを交互に行なう

 ペトリサージュと二指圧迫法は、皮膚を摘み上げる整膚、もしくは筋肉を対象にした中国整体の拿法によく似ていますが、最後に振るわせるところが異なっています。また母指と四指を使うのに「二指」となっているのは、主に示指の指節関節を使うからでしょうか。

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