施術研究

過外転症候群の「過外転」の意味

 「胸郭出口症候群」の中に、小胸筋が関与する「過外転症候群」があります。この「過外転」とは、どの関節に起きるのか。胸郭出口症候群は、肩の挙上を続ける作業によって起こる筋肉疲労や関節の変位が原因となることが多いため、肩関節の過外転と考えがちですが、「過外転症候群」の場合は少し違うようです。

 小胸筋は、大胸筋の深層、胸郭のすぐそばに位置していて、筋線維が第3~5肋骨を起始に、肩甲骨の烏口突起を停止部として付着しています。そのため小胸筋が硬結することによって、烏口突起のすぐ下を通っている腕神経叢、腋窩動脈・静脈などを圧迫し、肩から腕にかけて神経症状などを引き起こすことがあります。

 小胸筋の作用には、肩甲骨を下げる。肩甲骨を外転させる。肩甲骨を前方へ傾けさせる。肩甲骨を固定しているときには強制的吸気を助けるなどの働きがあります。ところが、肩関節(肩甲上腕関節)の運動には、外転も水平外転含めて、ほとんど直接的な関与はしていません。

 「過外転症候群」の「過外転」はおそらく、肩甲骨の外転運動を指しているものと思われます。肩甲骨の外転は、左右肩甲骨を外側へ拡げて、肩を前方へすくめるようにする動作です。そう言えば、先日来店されたHさん(40代 男性)、患側の小胸筋が硬くなっていましたが、両腕の前腕を机の上に置く、肘つき姿勢を続けたときに、チリチリしたシビレの症状が出てくるいうことでした。まさに肩甲骨の外転姿勢です。

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「爪揉み療法」は結果を急いではいけない

 自分ひとりでできる自律神経調整法に、「爪揉み療法」があります。手指の末節骨の遠位指節間関節に近い、少しくぼんだ部分。爪の付け根の少し近位になりますが、ここを両側から、もう一方の手の指で押します。押し方にも、痛みを感じるほど強く押したり、やさしく押したりとか、あるいは、一定の圧を加えるとか、揉んで強弱をつけるとか、さまざまなやり方があるようです。

 交感神経の過緊張を抑えて、副交感神経を活性化する効果があると言われています。しかし、これまで、夜眠れないときに何回か試してみましたが、効果があるようなないような、もうひとつ釈然としない感じでした。

 そんなとき、『日経メディカルオンライン』に「侮れない爪もみの効果 慢性不眠、私はこれで治しています~漢方・爪もみ~」(2009.6.12)という記事を見つけました。示唆に富むところがあったので、関係する部分を抜粋してみます。

爪の両脇にはツボがあり、軽く刺激することで自律神経のバランスを整える。「強く揉み過ぎると交感神経を刺激するので、優しくやるのがコツ」と水嶋氏。1本10秒程度、全ての手指と、入浴時に足爪も揉む。

 水嶋氏は、爪もみ健康法を紹介する本の著者だが、実は「一般の人の健康法としてはいいが、不眠患者の症状を改善するほどの効果があるとは思っていなかった」と打ち明ける。

 しかし、ある不眠の女性患者が「爪もみを続けていたら、2カ月目に睡眠薬なしで眠れるようになった」と報告してきた。それ以来、即効性はないが、手軽に簡単にできるので、患者にも薦めるようになったという。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cadetto/0901-t2/200906/511099.html

 一般に、薬指は交感神経を刺激することになるということから、爪揉みの対象からはずすと考えられています。しかし、水嶋氏は、「強く揉み過ぎる」ことが、「交感神経を刺激する」ことになるという考え方らしく、薬指も含めたすべての指に行なっているようです。

 また、注目するのは、「2ヶ月目に睡眠薬なしで眠れるようになった」女性患者の報告。すぐに効果が現れないのに、よく2ヶ月も粘り強く続けたものです。薬を使わずに体質を改善するのですから、やはり結果を急がず、じっくり気長に待つことが大切なのかもしれません。

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妊婦への施術は、特別な注意が必要

 「あおりぎカイロプラクティック」では、妊娠している女性に対しては、関節矯正の施術は行なわないことにしています。但し、中国整体については、妊娠の経過期間と施術法によっては、適用できる場合があります。『クリニカルマッサージ』のテキストを見ていると、「特別な配慮が必要な患者」というテーマの中に「妊婦」に関する解説がありました。手技療法としては共通している部分があるので、参考のためにチェックします。

 妊婦は体重が増え、身体バランスが悪くなるため、かなりの組織痛を覚える。特に腰、股関節、脚の組織痛は顕著で、マッサージ治療から得るところは大きい。しかしある種の予防措置は必要であり、特別な要件に対する配慮も必要である。
 妊婦の腹臥位は望ましくない。また妊婦にとって長時間背臥位の姿勢でいるのも辛い。施術部位によるが、妊婦には座位か側臥位が適している。枕を用いるのであれば腹臥位も可能である。治療家よりも患者自身が必要な物をわかっているので、枕については妊婦自身の選択に任せるべきである。適当な物が市販されている。ボディ・クッションを使用すれば、妊婦でも腹臥位が十分可能である。体位に関する問題点は、患者と協力し合うことで乗り越えることができる。
 身体には指圧師が陣痛を誘発すると考えている経穴が存在する。こういった見方を肯定する学術文献はほとんどないが、それらの経穴への施術は避けるのが賢明である(略)。またその他ではアメリカ産科婦人科大学(American College of Obstetrics and Gynecology)がガイドラインを出している。それによれば次のカテゴリーに該当する妊婦は、かかりつけの医師の同意を得て施術を受けるべきである。

  • 不妊治療を受けた、あるいは自然に妊娠するのが難しかった妊婦
  • 妊娠第1期での流産経験のある妊婦
  • 心臓病あるいは呼吸器疾患をかかえている妊婦
  • 妊娠異常を経験した妊婦
  • 多胎妊娠(双子、3つ子など)
  • 20歳以下ないし35歳以上の妊婦
  • 喘息にかかっている妊婦
  • 違法薬物に手を出したことのある妊婦

 妊婦に対して施術してならない経穴としては、肩井、合谷、三陰交、崑崙、臍より下にあるすべての腹部の経穴、次髎および他の仙骨上の経穴が指摘されています。

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緊張型頭痛を引き起こす筋肉

前頭筋
 付着 起始:眉上の皮膚ならびに部分的に眼輪筋および鼻根 停止:帽状腱膜
 作用 眉を引き上げ、額にシワを寄せる。後頭筋とともに、頭皮を後方へ動かし、額の皮膚を持ち上げ、髪を逆立たせる。
 関連痛領域 痛みは局所的で額に放散する。

後頭筋
 付着 起始:後頭骨の上項線 停止:帽状腱膜
 作用 帽状腱膜を固定し、頭皮を後方へ引っ張る。
 関連痛領域 頭の後面と上面に局限して痛みを発する。同側の目に関連痛を引き起こす。

眼輪筋
 付着 起始:内側眼瞼靭帯、前頭骨および上顎骨、ならびに瞼の組織 停止:眼窩
 作用 意識的に瞬きをし、素早く瞼を閉じる。目を細める。
 関連痛領域 目の上から鼻の横。

側頭筋
 付着 起始:側頭窩の骨と筋膜 停止:下顎の筋突起と下顎枝の前縁
 作用 顎関節を上げる。側頭部と下顎骨をつなぐ。
 関連痛領域 側頭部、眉の部分、頬、門歯および臼歯の全部または一部。

胸鎖乳突筋
 付着 起始:胸骨頭は胸骨柄の前面。鎖骨頭は鎖骨前面の内側3分の1
     停止:後頭骨の乳様突起の外側と上項線の外側半分
 作用 両側:頭と頚を安定させる。頚の過伸展と頭の後方への動きを阻止する。頚を屈曲させる。嚥下や呼吸にも関係する。
     片側:反対側に顔を回旋させる。顔を上に向ける。僧帽筋とともに、頭や頚を横に向かせる。
 関連痛領域 胸骨頭:後頭部、目の上の弓、頭頂、頬、顎および額の下。鎖骨頭:耳および耳の後方、前頭部。

僧帽筋
 付着 僧帽筋上部 起始:上項線、項靭帯と第1~第5頸椎の棘突起 停止:鎖骨の外側3分の1 僧帽筋中部 起始:第6頸椎~第3胸椎の棘突起と靭帯 停止:肩甲骨の肩峰と肩甲棘の上面 僧帽筋下部 起始:第4~第12胸椎の棘突起と靭帯 停止:肩甲挙筋の起始部に近い肩甲棘の内端
 作用 肩甲挙筋とともに肩甲骨を上げる。肩甲骨を上回旋させる。肩甲骨を引く。肩甲骨を下げる。両側:頭頚部を伸展させる。片側:頭頚部を回旋させる。
 関連痛領域 肩に位置する僧帽筋上部のトリガーポイントは、首から乳様突起、耳から側頭部にかけて痛みを生じさせる。また、下顎角の方へも痛みを生じさせる。僧帽筋中部と下部のトリガーポイントは、上背部を超えて頭蓋底の後頚部に、また左右の肩甲間に痛みを生じさせる。僧帽筋中部、特に肩峰近くの外端にかけてのトリガーポイントは、腕(近位と肘下部分)の外側に痛みを生じさせる。

頭半棘筋、頚半棘筋、頭最長筋
 付着 起始:第1~第6胸椎(頭半棘筋はさらに第3~第6頸椎)の横突起 停止:頚半棘筋は第2~第5頸椎の棘突起。頭半棘筋は後頭骨底部。頭最長筋は頭半棘筋の外側。
 作用 頭半棘筋および頭最長筋:頭部を伸展する。頚部を同側、側曲させる。頭が前傾した場合、頭を支える。頚半棘筋:頚部を伸展させる。頚部を側曲させる。頭部を反対側に回旋させる。
 関連痛領域 頭半棘筋および頭最長筋:側頭部、特に側頭部の前部。頚半棘筋:頭部後面(典型的な緊張型頭痛)

頭板状筋、頚板状筋
 付着 起始:第3頸椎~第6胸椎の横突起 停止:頚板状筋は第1頸椎、第2頸椎の横突起。頭板状筋は乳様突起と乳様突起近くの後頭骨の一部。
 作用 頚を伸展させ、同側に頭を回旋させる
 関連痛領域 頭板状筋:頭頂部 頚板状筋:目、側頭部、耳から後頭部、首の顎角部。

後頭下三角(上頭斜筋、下頭斜筋、大後頭直筋)
 付着 上頭斜筋 起始:第1頸椎横突起 停止:後頭骨下項線 下頭斜筋 起始:第2頸椎棘突起 停止:第1頸椎横突起 大後頭直筋 起始:第2頸椎棘突起 停止:後頭骨下項線外側部
 作用 頭を伸展かつ回旋させる。頭を同側に傾ける。
 関連痛領域 後頭部。側頭部から目にかけた部分。

参考:『クニリカルマッサージ』、『ボディ・ナビゲーション』

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首・肩こり、頭痛などが発生する構造的なメカニズム

 緊張型頭痛、首・肩こりの発生には、姿勢が大きく関与しています。解剖学的にみたそのメカニズムについて、『クリニカルマッサージ』に述べられていることから、学んでいきます。

 われわれの観察するところ、頭痛は頚部の筋肉のトリガーポイントに起因することが多い。そういった頭痛は、トリガーポイントを治療することで、「完全に治る」とは言わないまでも、頭痛の起こる回数や痛みの度合いを減らすことができる。われわれは、矢状正中線よりも前方へ耳が出てしまっている人をよく見かける。このような姿勢は、往々にして後頚部に筋筋膜トリガーポイントを形成する。Simonsは「頭を体幹より前に突き出していると、後頚部はリラックスする暇もなく、絶えず緊張していなければならない。そのため、そのような姿勢は、後頚部の筋筋膜トリガーポイントを活性化させてしまう」と述べている(David G. Simons, MD、2001年9月23日付私信)。しかし後頚部に現れたトリガーポイントだけを治療しても、痛みはめったに止まらない。長期にわたって痛みのない健やかな生活を送るには、姿勢ミスアライメントを引き起こしているもとを全身的に正さねばならない。

 頭が体幹より前に突き出した姿勢を続けていると、本来あるべき頚部の前弯が失われた「ストレートネック」という状態をつくりだしてしまうことがあります。パソコン操作や編み物などをする人で、首の細い、頚部の筋群の弱い人に多く見られます。そして、その前傾姿勢には、あまり日常的な意識にのぼりませんが、大胸筋が大きくかかわっているようです。

 大胸筋は姿勢アライメント、特にChapter 3で述べた「顔を前へ突き出した」姿勢に関して重要な役割を果たす。Simonsは次のように述べている。「顔を前へ突き出した姿勢は多くの場合、肩甲骨を前方に引っ張り、頭を前に猫背姿勢を取らせる大胸筋筋膜トリガーポイントによってもたらされる」(同上)

 大胸筋に拮抗して、肩甲骨を後内側に引く役割を果たしているのが菱形筋です。これは姿勢を正すときに意識する、上部胸椎から肩甲骨の内縁に付着する筋肉です。

 菱形筋は大菱形筋と小菱形筋があり、上背部の痛みの主原因である。肩甲骨を回旋させて肩関節を下げて、肩甲骨を内側に引く。菱形筋は、肩を前方に引っ張る胸筋の力により常に緊張状態にあることを忘れてはならない。このため、菱形筋の緊張は、常に大胸筋の緊張を関連している。

 姿勢が悪くなるのは、直立姿勢をとるヒトの身体構造そのものに原因があり、その中で行なう日常的な作業が筋肉の緊張を引き起こしているようです。

 脊柱を体全体との関連で考察するときには、以下の2つの事実を認識しておく必要がある。
・身体の重心は脊柱よりもかなり前方の骨盤部にある。
・(略)、腕と肩の構造は唯一の関節、胸鎖関節によって骨格に付着している。この付着も脊柱よりかなり前方である。
 この2つの事実は、前方への強い引っ張り力に対して、脊柱とそれに付着する筋肉が、姿勢を維持しなければならないことを示唆している。目の位置と腕の構造のため、実質的にヒトが行なうすべての作用は、頭、腕、および体幹を前方、下方、内方へ動かすことである。このような作用でわれわれの均衡を保つのは、(腰の筋肉に沿った)脊柱の浅筋の仕事である。悪い姿勢、すなわち頭が矢状正中線より前にあり、肩が内側に回旋しており、前肋間筋と腹筋が常習的に短縮している姿勢は、脊柱と後頚部に多大な緊張を与え、結果としてトリガーポイントを活性化させ、痛みを引き起こす。David G. Simonsによれば「筋筋膜トリガーポイントがいつ、いかにして引き起こされるかに関しては確実な科学データはない」とはいえ、「姿勢の問題を矯正することにより、筋筋膜トリガーポイントは解消するか治療が容易になる」ことは周知の事実である。

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解剖学の学習⑦ 大腿部の筋肉

 今度は、大腿部筋群の構造と作用について、『クリニカルマッサージ』の「大腿部の治療に当たって」という総論部分から学んでいきます。

 大腿部の強靭な筋肉は、前面(大腿四頭筋縫工筋)、後面(ハムストリングス筋)、外側(大腿筋膜張筋腸脛靭帯)、および内側(股関節内転筋)の4つの基本グループに分類される。大腿部の痛みは、骨盤内やその周囲の上層筋や下腿が原因であることもあるが、大腿部の筋それ自体が痛みの源である場合もある。

 大腿部の筋肉は、その主要機能が膝関節の運動や固定であることから、膝の痛みの主な原因となる筋である。膝をコントロールすることと大腿直筋と股関節内転筋が骨盤の位置に影響を及ぼすという2点から、姿勢の維持にとって大腿部筋は非常に重要である。

 大腿直筋は、上前腸骨棘(ASIS)に付着し、長内転筋短内転筋恥骨筋、および薄筋はすべて恥骨前面に付着する。このため、これらの筋肉はすべて骨盤の前方回旋に寄与している。一方ハムストリングス筋は、坐骨結節に付着し、骨盤を引っ張って後方回旋させることができる。大腿四頭筋とハムストリングス筋が互いに拮抗筋であるという場合、膝関節の屈曲と伸展におけるその反対の機能を念頭に思い浮かべているが、この2つの筋肉は骨盤の位置決めにおいても拮抗筋である。

 大腿部筋群の相対的な緊張は、寛骨臼内にある大腿骨頭の位置も決定し、それによって立位や歩行時の位置や動きも決定する。また大腿四頭筋群は、膝蓋骨を取り囲む共通腱によって脛骨に付着するので、これらの筋肉は膝蓋骨の位置を決定する。大腿四頭筋とハムストリングス筋はともに、膝関節にかかるストレスの位置とバランスを制御する。

 引用文の段落の一部を引用者が変更しています。なお、大腿直筋の付着部(起始)は、少し下にある突起、下前腸骨棘(AIIS)の間違いです。この後の大腿四頭筋の各論部分では、正確に記述されています。

 大腿部の筋群が、膝関節と大腿骨頭、さらに骨盤の位置にも影響を与えるということです。これまで、骨盤の位置にかかわる筋群として、脊柱起立筋群、腰方形筋、腸腰筋、股関節外旋筋、臀筋などを見てきましたが、大腿筋群もその一翼を担っています。特にその中でも、付着部と作用から、大腿直筋と股関節内転筋群が前方回旋に、ハムストリングス筋が後方回旋に関与しているようです。

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解剖学の学習⑥ 股関節の外旋筋群

 股関節の深部外旋筋には、梨状筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋があります。梨状筋は、臀筋の深部、かつ坐骨神経の浅部にありますが、それ以外は、坐骨神経の深部に位置します。

梨状筋
 付着 起始:骨盤の前仙骨孔の縁と腸骨の大坐骨切痕
     停止:大転子の上縁
 作用 股関節を外旋。股関節を屈曲したとき大腿部を外転させる。
 関連痛領域 坐骨神経絞扼により脚の後部から足まで全体、ならびに腰部、股関節、鼠径部、会陰部、および直腸にかけて。

大腿方形筋
 付着 起始:坐骨結節の外側縁
     停止:転子間稜(大転子と小転子の間)
 作用 股関節を外旋させる
 関連痛領域 外閉鎖筋とともに、大転子下部のすぐ内側

内閉鎖筋
 付着 起始:閉鎖筋膜と骨盤表面
     停止:大転子の内側面
 作用 股関節の外旋

外閉鎖筋
 付着 起始:恥骨の上棘と下棘
     停止:大腿骨の転子窩
 作用 股関節の外旋

上双子筋
 付着 起始:坐骨棘と小坐骨切痕の縁
     停止:内閉鎖筋の腱を経て、大転子の内側面
 作用 股関節を外旋させ、関節を固定する。
 関連痛領域 なし

下双子筋
 付着 起始:坐骨結節
     停止:内閉鎖筋の腱を経て大転子の内側面
 作用 大腿を外旋させる
 関連痛領域 なし

 ここで、注目されるのは梨状筋です。他の外旋筋と異なり、坐骨神経の浅部を横切るように付着しているため、その過剰な収縮が坐骨神経を圧迫して、梨状筋症候群と呼ばれる神経障害を引き起こすことがあります。

 梨状筋が過剰収縮することで、股関節および坐骨(寛骨下部)が内方へ引き寄せられ、仙腸関節を支点にしてテコの原理で、寛骨上部にあたる腸骨が外方変位を引き起こすものと思われます。

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解剖学の学習⑤ 臀筋

 臀筋には、大臀筋、中臀筋、小臀筋の3つがあり、臀部脂肪組織の下にあります。大臀筋は、3つのうちで最も浅いところにある大きな筋肉で、線維が斜めに走っています。中臀筋は、臀部の外側面にあり、後部は大臀筋の深部に重なっていますが、前部は浅いところにあります。大臀筋、中臀筋ともに臀部の強靭な筋肉です。小臀筋は中臀筋の深部にありますが、大転子前面に停止しているため、少し違った動きをします。いずれも腰痛に関連している筋肉で、とくに大臀筋は腸腰筋の拮抗筋とされています。

大臀筋
 付着 起始:腸骨背面の後臀筋線、仙骨と尾骨の後面、および仙結節靭帯
     停止:腸脛靭帯(表面の4分の3)と大腿骨の臀筋粗面(後外側上方約4分の1)
 作用 股関節の伸展、外旋、外転および下線維による股関節の内転。
 関連痛領域 臀部全体、大腿後面上部へかけて。

中臀筋
 付着 起始:腸骨の前後臀筋線の間
     停止:大転子の外側面
 作用 股関節の外転、伸展、および内旋・外旋に寄与。歩行時に骨盤を固定する。
 関連痛領域 臀部を覆う領域。仙骨を覆う領域。内側腰部にかけて。大腿後面上部にかけて。

小臀筋
 付着 起始:腸骨の前および下臀筋線の間
     停止:大腿骨の大転子
 作用 股関節の外転、内旋、屈曲。
 関連痛領域 臀部および腰後部。大腿後面。下腿後面。大腿外側。下腿外側から足首へかけて。

 臀筋の付着部分から考えられる力の作用方向、特に大臀筋が腸腰筋(腸骨の前上方への動きを促す)との拮抗筋であることや関連痛領域をみると、臀筋の障害が腰痛によくある「腸骨の後下方変位」を引き起こす原因のひとつとして考えらるようです。

 しかし、臀筋と腰痛というとすぐに結びつかないような感じもしますが、腰痛で来られる方には、腸骨稜外側のすぐ下あたりに痛みを訴えられていることが多いようです。そこは、ちょうど大臀筋の起始部にあたる後臀筋線です。そういう場合は、臀筋全体にも拘縮がみられます。

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解剖学の学習④ 筋肉の障害と骨盤の変位との関係

 これまでいくつかの主要な筋肉の障害と、骨盤の変位との関係をみてきましたが、どちらがより根源的な原因となるのかという問題について考えてみます。カイロプラクティックのテキストには、なぜサブラクセーションが起こるのかということについては、ほとんど述べられていないように思います。

 『カイロプラクティック概論』には、骨盤ではなく脊柱の椎骨の場合ですが、筋肉との関係について次のように書かれています。
 一般にサブラクセーションのある椎骨付近の筋肉や靭帯は固くなっている。この収縮は、内臓筋肉反射のために起こっているもの、またサブラクセーションのために起こっているもの、この二通りが考えられる。回転があれば側面に収縮、硬結がみられる。P-GリスティングでいうPL、PR、PLS、PRS、PLI、PRI等がこの状態である。また両側同時に収縮している場合は、リステリングのP.A.S.Iが考えられる。サブラクセーションが長時間続くと、かなりの硬結となり、生体自体の回復能力では椎骨がもとの生理的位置にもどらなくなる。ここに外部よりの物理的、機械的刺激による調整が必要となる。

 『クリニカルマッサージ』には、骨盤と筋肉の関係が次のように述べられています。
 骨盤は単一の臓器とみなされる傾向があるが、実際は、後面を仙腸関節で、全面を恥骨結合でそれぞれ結合された2つの寛骨からなる。骨盤は全体として前後回旋、または左右に傾斜させることができる。ただし、各寛骨を他方に対してより大きく、またより小さく前後回旋させることができるため、いわゆる骨盤のねじれが生じることがある。各寛骨は、大腿骨頭を受容する寛骨球の場所であるため、寛骨の位置は股関節と対応する脚の位置に影響する。全体としての骨盤の前後回旋も腰椎の正常弯曲に影響し、その結果、上体全体の姿勢にも影響する。
 2つの仙腸関節の相対位置によって決定される骨盤の外側傾斜により、脚にかかる体重の分布が不均等になることがある。それにより、胸郭とその付着構造の位置を変える代償作用が必要となる。前額面と矢状面の傾斜または回旋、あるいは寛骨のねじれが組み合わされる結果、姿勢のミスアライメントが生じ、さまざまな筋筋膜障害を下肢と上体全体に引き起こすことがある。姿勢の問題のほかに、骨盤の筋肉の緊張やトリガーポイントは、生殖機能や排泄機能を妨げ、内臓に傷みを起こす原因となる。
 どのような問診や検査でも、必ず骨盤の筋肉を考慮に入れて対処する必要がある。・・・

 ここでは、筋肉へのアプローチが主体となるテキストですから、最後に抜かりなく「筋肉を考慮に入れて対処する必要」性を強調していますが、下線(引用者)で示したように、骨盤のねじれによって、姿勢が崩れ、筋筋膜障害がもたらされるとしているようです。しかし、ここでも、そのねじれが何によって起きるかということについては、触れられていません。

 単純に筋肉の障害が先か、関節の変位が先か、いづれかに決めてしまうのではなく、それぞれケースによって異なると考えるのが妥当かもしれません。例えば、ケガやスポーツなどで外部から大きな力が加わる外部要因と、筋肉の硬結や退行性萎縮がある内部要因とに分けてみたりするとヒントになるような気がします。さらに、慢性的に不健康な姿勢を続けるなどの要因についても、考えてみる必要がありそうです。

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解剖学の学習③ 腸腰筋

 大腰筋と腸骨筋からなる腸腰筋と、腸骨の変位の関係をみるために、『クリニカルマッサージ』から該当部分を引用します。

 腰筋は腰椎に付着し、腹腔を通って鼠径部まで下り、そこで腸骨筋と結合し、腸骨の前縁を通って斜め下後方向に走り、大腿骨の小転子に付着する。・・・腰筋は腸骨の前縁を滑車として利用して、腸骨に下後方の力を及ぼす。こうして腰椎を前方に引っ張り、腸骨の下前部で下後方に押圧することによって、腰筋は骨盤を前傾させ、腰椎を前弯させる。
 この作用は、著しい傾斜姿勢と脊柱前弯の傾向がある子供には容易に観察される。一般にこの姿勢傾向は、大人(軽度ではあるが観測可能)になるまで持続する。骨盤前傾の結果の1つとして、腹腔内容の重量が前方に移動し、腹部がせり出すことがある。またこの傾斜によって股関節が後方に押しやられ、膝と足首を制御する筋肉に圧力がかかる。過大な腰椎前弯は、その上に存在するすべての構造の位置補正をしなければならなくなる。
 腸腰筋の臨床的重要性には、間接的なものと直接的なものがある。間接的には、上記の姿勢に影響し、直接的には腰部、腹部、鼠径部、および大腿上部に痛みを起こす。腸腰筋の関連痛パターンには、臓器が含まれる。このため、腸腰筋障害は内臓原発性と同様の痛みを伴うことがある。

 大腰筋の起始は第12胸椎から第5腰椎、そして腸骨筋とともに大腿骨小転子に停止します。腹部の深いところにある筋肉ですが、その拘縮によって、腰椎が過剰に前弯し、骨盤が前傾するようです。関連痛パターンは、「腸骨の前上方変位 AS」という仙腸関節の変位でみられる鼠径部の痛み、大腿四頭筋の痛みなどの症状とほぼ同じ徴候を示しています。仙腸関節の変位では、痛みだけでなく、脚の可動域にも制限が出てくることがあります。また、両側の腸骨が同時に前上方変位している場合には、お腹がせり出した姿勢になります。

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解剖学の学習② 腰方形筋

 腰方形筋は、腰部の最深層筋ではなく、後腹壁の一部を構成する腹部の最深層筋(腹筋)として扱われています。その内側部分は胸腰筋腱膜、脊柱起立筋や横突棘筋の下層に位置し、外側は体側部からアクセスすることができます。

 脚部を動かさずに上半身のみ作業をするといった複雑な作業をするときに、動きを調整をする作用をします。股関節を引き上げる作用があるので、「股関節挙筋」とも呼ばれています。また、筋・筋膜性腰痛を起こす中心的な筋肉のひとつであると言われいます。

 付着―起始:後腸骨稜、腸腰靭帯 停止:第12肋骨 第1~4腰椎横突起
 作用―股関節を上げる。脊柱を外側に屈曲させる。脊柱の伸展に関与する。
 関連痛領域―臀部へかけて。腰を覆う領域。脚の背側を下へ。腸骨稜を覆う領域。鼠径部へ、場合によっては睾丸へ。
(参考:『クニリカルマッサージ』、『ボディ・ナビゲーション』)

 関連痛領域を見ると、カイロプラクティックのリスティングでいう「腸骨の内方変位」で現れる症状に酷似しています。腰方形筋の拘縮と仙腸関節における腸骨の内方変位、おそらく筋肉が拘縮した結果、関節にサブラクセーションが生じてくるものと思われます。その他にも、腰部の脊柱起立筋群と仙骨の関係、臀筋と腸骨の関係、大腰筋と腸骨の関係、さらに梨状筋と腸骨の関係などを見ていくと面白いかもしれません。

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解剖学の学習① 脊柱の筋肉

 脊柱の筋肉は、一般に背筋といわれていますが、左右対になった1種類の筋肉ではなく、それぞれの微妙に異なった付着部と作用をもつ多様な筋肉が集まったものです。急性腰痛のかなりの部分を占める、筋・筋膜性腰痛を研究するために、腰部を含めた脊柱から骨盤にかけての筋肉の状態を見てみます。『クリニカル・マッサージ』と『ボディ・ナビゲーション』を参考にしました。

浅傍脊柱筋=脊柱起立筋群
 脊柱を伸展させ、同側へ外側屈曲させる。脊柱と胸郭とのバランスを維持する。咳や排便時の緊張で強く収縮する。腸肋筋、最長筋、棘筋の3つのグループに分けられる。

腰腸肋筋・・・起始:仙骨と腸骨 停止:下位6個の肋骨下縁
          関連痛領域:腰部全体から臀部中心まで
 胸腸肋筋・・・起始:下位6個の肋骨下縁内側 停止:上位6個の肋骨下縁
          関連痛領域:肩甲骨の下角、肩甲骨の内側縁の内側から上角にかけて、胸骨角と肋骨弓を覆う胸部前面。腰部から側胸部へ、肩甲骨を超えて上方まで、同側の下腹部。
 頚腸肋筋・・・起始:上位6個の肋骨の上縁 停止:中部頸椎の横突起      

頭最長筋・・・起始:第1~5胸椎の横突起 停止:側頭骨の乳様突起
  頚最長筋・・・起始:第1~5胸椎の横突起 停止:頚椎の横突起
   胸最長筋・・・起始:総腱 停止:下位9~10個の肋骨、胸椎横突起
          関連痛領域:腰部から上臀部にかけて、下臀部全体

頚棘筋・・・・・起始:項靭帯、第7頸椎の棘突起 停止:第1頸椎を除く頸椎の棘突起
   胸棘筋・・・・・起始:上部腰椎の棘突起と下部2個の胸椎の棘突起
           停止:中部および上部胸椎の棘突起

脊柱の深筋=横突棘筋群
 
脊柱起立筋群の深層に位置して、脊柱の全長を走行する。脊柱起立筋のタテに長い線維に対して、横突棘筋は多数の短い斜線維からなる。線維は目の込んだ網目状で、椎骨をつないでいる。

多裂筋―頚部から脊柱基部まで、すべての脊柱に沿って存在。仙骨から腰椎までの下位区分に属する部分は、非常に強力で重要であり、ヨットのマストの支柱に相当する。多裂筋は身体の中で最も強靭な筋肉のひとつで、腰部で直接アクセスできる。
 起始:仙骨と仙腸靭帯、腰椎の乳頭突起、胸椎の横突起、および下位4個の頸椎の関節突起
  停止:軸椎を含むすべての椎骨の棘突起
 作用:脊柱を伸展、回旋、固定させる。
 関連痛領域:脊柱と肩甲骨内側縁の間。第12胸椎と第1腰椎の少し外側の領域、腰部、同側の上腹部。仙骨上、臀裂部、臀部の下の大腿後部、同側の下腿部。尾骨の周囲。

回旋筋―3層の横突棘筋群の中でもっとも深部にある、おもに胸椎で発達した筋肉。
 起始:脊椎の横突起
 停止:上記脊椎に隣接する2~3個上の脊椎の棘突起付け根
 作用:脊柱の伸展。脊椎の一方向の回旋。
 関連痛領域:脊柱の中心線に沿って。

半棘筋
 起始:胸椎の横突起、下位頚椎の関節突起
 停止:上位4個の胸椎と、軸椎をのぞく頸椎の棘突起、後頭骨の上項線
 作用:脊柱・頭部の伸展。

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カイロプラクティックの歴史②

 ハービーリラードの脊柱矯正にいたるまでを、もう少し詳しくみていきます。

 D.D.パーマーは、磁気治療を行なっている頃より、人体に対する多くの疑問を抱き、「病気の真の原因」について深く考えるようになっていった。このことは、はからずもヒポクラテス(Hippokrates)の考え「病気の原因は何かをみつけることが将来の医学の道である」を実践したことになる。そのような考察・研究を9年間続け、彼はある一つの結論(臨床仮説)に達したという。その結論とは、「病気は、椎骨の変位によって神経が圧迫されている(この状態を彼はサブラクセーションと表現した)ために起こってくる」というものであった。
 その結果、「その変位椎骨を、もとの正常な位置にもどし、正常な脊柱の状態にするためには、どのようにしたらよいのだろうか」という疑問を生み、その次の課題に取り組み、その具体的な変位椎骨復位方法の考察も続けていった。
 このような、考察作業中に例の「ハービー・リラード」事件に出会うのである。つまり、その出来事以前に脊柱と疾病との関連について深く考え続けていたからこそ、脊柱を調べることになった、と考えられる。背椎骨の隆起が難聴の原因ではないかと、彼が今まで考えて得ていた結論を30分間かけて説明し、ハービー・リラード氏の了解を得て、彼が考えついた技術(棘突起をテコとしてその隆起のあるところを、もとの位置にもどすつもりで押す(thrust)を行なった。その結果、難聴が治った。
 この劇的な出来事以前に、彼の問題提起と、その解決への努力という前提作業があったことを見落としてはいけない。
 この試みの成功は、彼の仮説の一種の証明となり、彼のカイロプラクティック哲学観と、その理論と一般原則を構築していく大きな力になった。
(引用:鈴木正教著『カイロプラクティック概論』)

 ニュートンがリンゴが樹から落ちるのをみて万有引力を発見したという逸話がありますが、リンゴを落ちるのは誰しもが目にすることができる現象です。それから、万有引力に思い至るということになるまでには、日頃から問題意識を持って、研究を深めていないとできない話です。

 同じように、D.D.パーマーの場合も、難聴と脊柱の変位との関連について、日常的に問題意識を抱いていないと見過ごしてしまっていたかもしれません。後から聞くとたまたま遭遇したラッキーなハプニングのように見えますが、よく考えてみると、そこに至るまでにはかなり研究をすすめていたことがうかがえます。

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カイロプラクティックの歴史①

 これまで、ギリシア時代までさかのぼって、カイロプラクティックの源流をみてきましたが、今度はカイロプラクティックそのものの創始過程です。

 ヒポクラテス以後は、わずかにガレン(B.C.199~129年)が、指の痺れを頸椎のアジャスト(矯正)で治したなどの話があるくらいで、脊椎手技(spinal manipulation)は、学問と技術の面でほとんど発展せず、その技術がヨーロッパで家庭療法的に伝承されていたにとどまる。
 この技術の一部が、アメリカ大陸に移住していったヨーロッパ人とともに、彼らの新天地・アメリカ大陸に渡った。
 この渡米技術とアメリカインディアン(大陸の先住民)に伝承されていた骨格治療技術が、一つの医学形態をとって史上に再登場する(1874年)。その医学体系名がオステオパシーであり、その主役がDr.アンドリュー・テイラー・スティール(Andrew Taylor Still)という外科医であった。

 オステオパシーは、現在でもカイロプラクティックとは、別の体系として生きつづけています。

 このDr.スティールのオステオパシー発表より21年後、ダニエル・デビット・パーマー(Daniel David Palmer)によって、カイロプラクティックという医学が世に発表されるのである(1895年)。
 D.D.パーマーは、1845年3月17日にカナダのオンタリオに生まれ、成人後蜂蜜の製造や食料品の販売などをやって生計を立てていたが、1885年にアメリカアイオウ州のダベンポート(Daven Port)に移住し、そこで磁気治療を行ない出した(この療法はDr.ポール・カストロより学んだという)。彼は磁気療法を行なうかたわら、手掌療法(ハンドセラピー)やオステオパシー、ベサリウスの解剖学なども研究していたと思われる。
 建国後の歴史の浅い当時のアメリカでは、種々の事情で医師が不足し、そのために大衆の必要性によって多くの民間療法家が活躍したと想像されるが、D.D.パーマーもその中の一人にすぎなかった。

 D.D.パーマーは、はじめから医学一本ではなく、生きるために、いろんな仕事をしていたようです。

 D.D.パーマーが脊椎矯正の治療法に興味を抱いたそのきっかけは、次のような経験だったといわれている。
 ・・・・・彼の召使いのハーベイ・リラードが仕事で重荷をかつごうとした時、突然背部に異常な音を感じた。そしてそれ以来聴力が低下して遂に難聴となっていた。D.D.パーマーが、彼の背中を調べていると、ある部位の変な隆起に気づいた。それで彼はこれが難聴と何らかの関連があるのではないかと考えて、その椎骨を正常位にもどすように工夫して施術し続けたところ、予想通り、否、予想以上の成果を得た。つまり数回の施術でこの異常隆起は正常にもどり、それと共に聴力もしだいに回復してしまった・・・・・。
 この事実は彼の心をひどく動かしたらしく、その後、彼は生命と健康を哲学的に思考したり、脊椎の異常と疾病との関係を科学的に研究することに没頭したといわれている。
(引用:鈴木正教著『カイロプラクティック概論』)

 難聴には、様々な原因がありますが、ハーベイ・リラードの場合、たまたま背部に異常音がするほどの荷重によって、脊椎に不整列が生じたことで起きた症状だったのでしょう。しかし、その原因が脊柱の異常隆起にあるかもしれないと仮定するまでには、かなりの準備がなされていたようです。続きは次回に。

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カイロプラクティックの源流②

 引き続き、『カイロプラクティック概論』を読みながら、カイロプラクティックの源流をたどっていきます。

 前記の古代エジプトやメソポタミアなどの医術がB.C.2000年頃にギリシアに渡ったと伝えられている。
 そのギリシアには医術の神とされるアスクレピオスが現れる。彼の父であるアポロ(Apollo・ギリシア神話に登場する神で音楽・弓術・予言・医術の神)は、かつて居住し古代ギリシア人に神託を与えていた場所といわれるデルフォイ神殿をアスクレピォィアと改称し、ここを主院とし、ギリシア各地にその分院を設置して、医療活動を行なったと伝えられている。
 このアスクレピオス(Asklepios医術の神、起始回生の術をよくしたと伝えられている)の子孫が、B.C.1200~700年頃各地にアスクレピオス寺院を建てて、そこで医療活動を行なった。中でも、西アジアのコス島やクニドウス島のアスクレピオス寺院が有名であり、医学校も設立されたといわれている。

 ここまでは、どこまでが神話で、どこまでが現実にあった話か区別がつきません。神の子孫は、人間になったのでしょうか。

 その設立地の一つであるコス島に、後世「医学の父」とか「医聖」と尊称されるヒポクラテス(Hippokrates B.C.460~375年頃)が誕生する。
 ヒポクラテスは、やがてエジプトのアレキサンドリア医学校で、迷信を排して観察や経験を重んじたところの医学を樹立する。古来の治療の中より呪術的要素や空想的理論の部分を排除し、事実直視(観察)によって病気の症状や経過を記録し、それに基づいて研究し、新しい独自の医学観を構築し、現代医学の基礎を樹立した。

 古来の治療法にあった呪術的要素や空想的理論を排除して、事実の観察から医学を出発させたわけですね。

 ヒポクラテスは「人間には、自ら病を癒やし、健康を復元し、その健康を維持していく生命力(ポノス Ponos)があり、医師はその自然の力(ポノス)を補佐するのが本来の仕事である」とし、病気の状態から健康体へ回復しようとする力をフィジス(Physis)と呼び、病気の治療には、このフィジスの働きを妨げないことを治療の原則とした。

 このフィジスの働きを生かすかどうかという点については、病気の原因への攻撃が、自己回復力を抑えることになることもあるようで、簡単ではないようです。

 また病気に対してはその原因を探求すること、その病気の本態を知ることが、将来の医学のあるべき姿とし、彼自身病気の原因を見出すべく数多くの研究を行なった。その研究を記録した彼の医学書の中に、カイロプラクテイコス(手の医学)に関して多くの記載があり、骨格の異常によって、いろいろな病気が生ずることが述べられている。

 ヒポクラテスが書きのこしたと言われる骨格の異常が病気をもたらすという考え方は、どのようなものなのでしょう。椎骨の変位による神経圧迫によって病気になるとするカイロプラクティックの哲学とよく似ていますが、どういう関係になっているのか、興味が湧いてきますね。「医学の父」と呼ばれるヒポクラテスも、そうはいっても2400年近く前の人ですから、当時の医学をそのまま受け入れるわけにもいかないでしょう。

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カイロプラクティックの源流①

 カイロプラクティックの歴史と基礎理論について、鈴木正教著『カイロプラクティック概論』にそって学びます。

 人類最古の文書といわれるパピルス(B.C.2500年~1500年)の中に、手を用いて背骨を刺激して病気を治療する術のことが記載されているといわれ、古代エジプト人、古代メソポタミア人などによってこの種の技術が活用されていたことがわかる。これが現代医学の源流でもあり、カイロプラクティックの源流でもある。 
 古代文明が、エジプト、メソポタミア、中国などに開化したことは周知のことだが、この文明にはある共通した「思想」があった。
 それは一種のスピリット観で、人間の運命はスピリットによって左右される、という考え方であった。
 古代にあっても「病気」という現象が生起し、この病気を取り除く専門家も出てきた。これらの専門家も当時の思想に規制され、古代の医術もスピリット(Sprit=神聖・精霊・悪魔)説によってなされ、病人は悪魔・悪霊にとり憑かれていると考えられ、それを追い出すことが治療の眼目であったらしい。
 この行為の専門家(当時の医師)が呪師や巫女、そして新官や僧侶などであったことも前期の時代背景により首肯されよう。
 したがって、それらの医術の中には、病人の背中や背骨を叩打したり、突いたり、押したりして、悪霊を追い出そうとする技術があったことは、ある種の必然である。
 その治効理論(スピリット説)は別として、その治療形態はまさにカイロプラクティックであり、オステオパシーであり、スポンディロセラピーであり、整体術である。つまり病人の背や背骨などを①叩打したのは、スポンディロセラピーの脊髄反射療法に、整体術の拳打の術や拳落の技に、按摩法の叩打法に類似し、②突いたのは(その結果、背骨などの骨格が矯正されたと考えると)、カイロプラクティックのスラスト(Thrust-瞬間急圧)や、オステオパシーのスペシフィック・テクニック(specific technique)や、整体術の正骨に、按摩法の督脈の術に類似している。
 このことは逆に、その技術に差があったとしても、古代には洋の東西や民族の違いを問わずに、類似の脊椎手技(spinal manipulation)・骨格矯正手技・骨髄反射手技などが存在していたことを物語っているといえよう。

 カイロプラクティックの技術も含めた「概論」の本なので、古代文明に共通したというスピリット観の思想や背中や背骨をたたく治療法などの歴史的な証明は不十分ですが、それぞれの文明から民間療法などとして受け継がれてきた方法には、共通点はあるようです。

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参考になる「クリニカルマッサージの基本原則」

 『クリニカルマッサージ』のテキストに、「治療家が従わなければならない前提」として、3つの「基本原則」が挙げられ、「医療における自明の公理とみなしても構わないであろう」と述べています。なぜこの3原則に絞られているのか、いまひとつ分かりにくいところもありますが、参考になりそうです。

  1. 個体は有機的全体である:すべてのものがつながりを有し関連している。
     複雑な組織体である体は、部分の単なる寄せ集めではない。すなわち、森(体全体)と木(部分)を観察することがきわめて重要である。本書にはどうしても多少還元主義的きらいがあるが(というのも、部分に対する知識なしで全体を理解することができないし、また部分は、つながった一本の線のように、つながりの中で検査されなければならないからだ)、治療家は部分を全体との関連において捉えることを忘れてはならない。
     たとえば、捻挫した患者は、けがをした方の脚をかばうため、股関節や腰の筋肉が堅くなる。すると背中に生じたアンバランスは、首の筋肉に悪影響を与え、ひいては頭痛を起こす。首の筋肉だけを治療しても問題は解決できない。
       

     施術を行なうにあたって、全体と部分の関係は特に注意したいことです。但し、問題の起こっている局所だけでなく全体的にみていくには、一発勝負ではなく、ある程度の継続が必要です。
      
  2. 短縮した筋組織は力を出せない。
     筋組織は収縮するとき力を出すので、短縮したらもう力を出すことができない。治療家がかかわるのは、過度にまたは病理的に短縮した筋組織である。言い換えれば、たいていは防御的理由から過度あるいは病理的に短縮した筋組織は力を出すことができないし、伸びて元の長さに戻ろうとはしない。
     筋肉は能動的にも受動的にも短縮する。慢性受動短縮(パッシブ・ショートニング)として次の例がある。治療期間中三角巾で腕を固定していると上腕二頭筋に受動的短縮が起こる。また立ったり歩いたりしない乳児の腸腰筋(股関節屈筋)の屈曲も受動的短縮といえよう。姿勢不整列(ミスアライメント)では常に、多数の姿勢維持筋が習慣性受動短縮をする。
     一方、能動的短縮(アクティブ・ショートニング)は筋収縮であり、2種類ある。1つは筋肉が力を発揮する意図的収縮である。もう1つは過労・過負荷、反復運動、あるいは過伸張といった兆しに筋肉が反応する防御的収縮である。筋組織の一部が防御的収縮をする場合、筋肉はそれ以上収縮することができないし、筋力をはっきすることはできない。
       

     確かに、言われてみればそのとおり、筋肉の機能は短縮するだけです。伸展は拮抗筋もしくは重力によってなされます。特に関係があるのは、過労・過負荷、反復、過伸張にたいする防御的収縮の場合ですね。
       
  3. 身体の軟部組織は触れられることに反応を示す。
     なぜ反応を示すかについては種々の説がある。フィードバック回路では、正常な機能を回復させつつ、触覚刺激が干渉を起こすが、フィードバック回路は自己永続的神経筋であり、そういった回路が筋膜痛をもたらすからだという説が最も有力である。徒手療法で平常の機能が回復する。機能障害を起こしている組織に手を用いて干渉することは、フィードバック・プロセスを遮断し、神経反応にある種の変化を引き起こす。したがって、患部自体の機能にもある種の変化が現れる。干渉の方法には、虚血性圧迫、受動的伸張、受動的(短縮性)収縮などがある。またそれらを同時に使っても構わないし、あるいは順次組み合わせて使ってもよい。
       

     フィードバック回路といういのは、何でしょう。「正常な機能を回復しつつ」・・・「筋膜痛をもたらす」ですか。自己治癒による回復過程が痛みをもたらすことがありますが、そのことでしょうか。これは改めて研究してみます。

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浅筋膜と深筋膜

 筋膜には、浅筋膜と深筋膜がありますが、それらの構造をほりさげてみると、筋膜の姿がイメージできそうです。

浅筋膜
 浅筋膜は皮下組織とも呼ばれる。浅筋膜は皮膚のすぐ下にあり、脂肪細胞、筋組織の線維束、皮膚の血管と神経などを含んでいる。体中脂肪のおよそ半分がここに見られる。
 真皮の結合組織(膠原線維)の走行は、ランゲル・ラインと呼ばれる切断線に従う。ランゲル・ラインの方向は部位によってさまざまである。特殊ではあるが、その部分の圧倒的な筋力に対して線維が逆方向に並んでいる部分もある。外科医は傷をなるべく残さないため、手術するときは通常ランゲル・ラインに従って切開する。

深筋膜
 浅筋膜よりも体の深部にある筋膜を総称して深筋膜という。深筋膜と浅筋膜とはつながっている。便宜上本書では、筋肉群を覆う筋膜(包膜)、筋肉を取り囲む筋膜(筋外膜)、筋中の線維束を取り囲む筋膜(筋周膜)、個々の筋線維を取り囲む筋膜(筋内膜)を深筋膜とする。深筋膜の各層はいずれもその下の層の形成にかかわる。深筋膜の役割の1つは、収縮力に方向性を与えて力を増大させるために、収縮中の筋肉の外側に向かう力を制限することである。だが、制限しすぎること、つまり弾力性を限定しすぎることは望ましくない結果を招く場合がある。
 前にも説明したように、筋膜の表面が癒着して、筋肉同士がスムーズに動かなくなるおそれがある。スムーズな、痛みを伴わない動きを取り戻すには、障害となる癒着を取り除く必要がある。(『クリニカルマッサージ』より引用)。 

 これまで、「筋膜=筋肉を包む組織」といった大雑把なとらえ方をしていたようです。しかし、深筋膜という筋膜は確かに筋肉を包んではいますが、包膜、筋外膜、筋周膜、筋内膜と何層にもわたって取り囲んでいるということを、再認識することができました。また、皮下組織も浅筋膜という筋膜として扱われているとは初耳でした。皮膚の下に膜状の組織があり、その密度は、身体の部分によって異なり、手背のように低い部分と、足底のように高い部分があるようです。

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筋膜の癒着と改善 ゲルとゾルとの相互移行

 筋膜の癒着とその改善はどういう仕組みで行なわれるのか。『クニリカルマッサージ』の続きを、読んでいきます。

 筋膜に対するボディワークの有用性を最初に提唱したのはIda Rolfである。筋膜をいくぶんでも注視しているほとんどすべての療法が、ロルフィングにかなりの根拠を置いている。Rolfは、筋膜がコロイド状基質の中にあり膠原線維でできていることに注目した。基質はゲル(コロイド溶液の固体・半固体状態)からゾル(コロイド溶液の液体状態)へと粘性を変化させる。ゲルに(圧あるいは摩擦といった)エネルギーを加えると、ゲルはゾルへと状態を変化させる。Rolfは「手を用いて筋膜にエネルギーを加えると、基質はゲルからゾルへと変化し、膠原線維の方向と分布は柔軟性と適応性を増す」という学説を立てた。
 全身の筋膜は途切れることなくつながっているので、治療家は、深筋膜の固くなった部分をリリースし、また動きを妨げる筋膜同士の癒着部分をはがすようにして、浅筋膜という「身体ストッキング」を調整できる。

 ゾルとゲルの相互移行。にわかに信じがたいような気がしますが、確かに施術をすることによって、身体に物理的エネルギーを加えると、僧帽筋など筋肉の硬くなっていた部分が軟らかくなることは確かです。しかし、それが筋膜の癒着とどのような関係にあるのか。筋膜の構造を別の面から、もう少し詳しく見ていきます。

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筋膜の成り立ちと役割

 カイロプラクティックでも、施術前後に筋肉へのコンタクトをおこなうため、「筋筋膜」という言葉、慣用句のようによく使います。「筋膜」の解剖学的成り立ちと役割について、引き続き『クリニカルマッサージ』に学びます。

 筋膜(fascia)は、「band(帯状の物)」あるいは「bandage(巻く物)」を意味するラテン語に由来する。筋膜は他のどの組織よりも体の隅々まで広がっている組織である。筋膜は体のどこにでも存在し、たとえて言えば、古い建物を覆い尽くす蔦のようだ。筋膜は体のインフラ(基盤)である。筋膜は、内外から諸器官を形作るだけでなく、循環系、神経系、リンパ系といった体の全システムの土台となっている。筋膜を軟部組織の「骨格」とみなしても間違いではない。
 筋膜は一種の結合組織である。結合組織はほかに腱、靭帯、腱膜、瘢痕組織(かさぶた)といった形態をとる。筋膜は場所によって呼び方が変わる。脳や脊髄の周りを覆う場合、髄膜、骨の周りは骨膜、心臓の周りは心膜、腹腔の内膜は腹膜である。皮膚の下にあって全身を包み、筋肉群や筋肉の一部を包んでいる層は筋膜である。
 筋膜は次の役割を果たす。

  1. 形成し保持する。
     筋膜は体および体の構成部分に形を変え、それらを定位置に保つ。
  2. 制限する。
     強固な境界を与えることで、筋肉強度を増加させる。筋膜を取り除いた筋肉は著しくく弱化する。
  3. 道標となり、形作る。
     骨膜を失った場合、骨の障害は回復が遅れる。
  4. 包んで区分する。
     筋膜は体液を包み、体液を(選択的に)通す。感染の広がりを抑えるのに役立つ。
  5. 分岐を繰り返すシステムにとってインフラ(基盤)となる。
     筋膜は、循環系やリンパ系の毛細管や脈管を支え、全身に分岐する神経も支える。
  6. 新しい結合組織を産生する。
     筋膜は結合組織細胞(線維芽細胞)を有する。必要に応じて密生結合組織に分化する。腱や靭帯を正常化し、瘢痕組織を作る。

 皮肉にも、筋膜の回復機能が問題を引き起こしてしまうことがある。蜘蛛が獲物を封じ込めるように、筋膜は組織を囲いつつ、本来別れている構造同士を癒着させてしまうことがある。痛みを伴う、かつ身体の動きの自由を奪う軟骨様の塊(線維過剰増殖)で、筋膜は筋肉の内部構造を変化させる。そのような組織は、時間の経過とともに固くなり萎縮するので、治療はますます難しくなる。

 確かに、慢性的な肩こりの人は、僧帽筋の「肩井」あたりが硬くなっていることが多いようです。ほんとうに軟骨のような組織に触れることもあります。何らかの瘢痕組織のようなものとは思っていましたが、筋膜の回復機能が引き起こした癒着構造だったようです。

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トリガーポイントについて

 James H.Clay/David M.Pounds著『クリニカルマッサージ』という本に、トリガーポイントに関することが、記述されているので、引用して勉強してみます。「Part1クリニカルマッサージの基礎」の「圧痛点、トリガーポイント、リリース」という項です。

 患者を診察するときは、押すと患者が痛みを感じる場所を見付ける。打撲やけがといった痛みの原因が思い当たらない場合、この痛みを感じる場所は圧痛点と呼ばれる。オステオパスのLawewnce Jonesが提唱したストレイン・カウンターストレイン(別名ポジショナル・リリース)治療法によると、圧痛点は系統だった仕組みで現れる。圧痛点を除去するには、圧痛点が現れた筋肉を弛緩状態にさせ、圧痛点が消失するまで受動的短縮を維持する。

 筋筋膜のトリガーポイントは骨格筋組織のピンと張った膜に硬結として現れ、強い圧痛があり、非常に特徴的なパターンの関連痛をもたらす。トリガーポイントは、過労・過負荷、反復運動、あるいは突然の過伸展といった筋肉に対するストレスから生じる。活性トリガーポイントは、突発的に患者に関連痛を引き起こすトリガーポイントである。潜在性トリガーポイントは、触診で圧をかけられたときだけ痛みを生じるトリガーポイントである。原発性トリガーポイントは、筋肉ストレスが引き起こすトリガーポイントである。サテライト・トリガーポイントは、原発性トリガーポイントによって二次的に生じるトリガーポイントである。

 マッサージ師はリリースという言葉を頻繁に用いる。リリースとは施術によって軟部組織を弛緩させ、伸ばすことである。トリガーポイントでは、硬結が軟らかくなり、また硬結の関連痛が止まったとき、リリースと評される。筋肉では施術中筋肉が弛緩すればリリースと評される。筋膜については、治療家が、筋膜が軟らかくなって伸びたと感じたときリリースしたといえる。

 「トリガーポイント」は、「圧痛点」から歴史的に発展してきたカテゴリーのようです。トリガーポイントは、基本的に筋肉に対するストレスが原因で発生すると解説されています。4つの分類は、それぞれが別個に独立したものではないようです。活性と潜在性は質的な区別で、施術時によく見つけることがあります。原発性・サテライトという分類は、前の二者とは別の分類法で、時間的な経過で発生するものを示したものと思われます。後者の分類は、この前の『ためしてガッテン』で取り上げられていた、トリガーポイントの二次的派生にも合致しています。

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静的検査方法を研究する

 『カイロプラクティック・マニュアル』では、触診のときの静的検査方法について、筋肉の痙攣、痛み、炎症を検出することに重点を置いているようです。

 急性の場合、筋肉が「収縮し、触れると熱を帯びていることが多い」。「触診すると無頭が溜まっていて、むくんだ感じがするのが検出される」」。慢性の場合は、「筋肉の腫れはなく、触診すると幾分強張った感じがすることがある」。「深い触診を行なうと痛みのある硬結した箇所がみつかる」。

 そして、脊柱に起きている炎症は、時間がたつと超過敏症を呈することから、その状態を調べるのに、椎間関節触診検査と棘上靭帯検査をあげています。

 椎間関節触診検査は、頚部のみですが、患者座位で、頭部を側屈させて関節を開いて、関節嚢と靭帯に指を当てて触診します。痛みがあると陽性です。また、棘上靭帯検査は、患者は頚部は座位で頚部を屈曲、その他の脊柱は伏臥位で、棘突起と棘突起の間を拇指で押して、痛みの程度をみます。同じく痛みがあれば陽性です。

 いずれも、変位している方向ではなく、炎症があるところを調べる方法です。当面は、ガンステッド・リスティング・システムによる触診と併用しながら行なってみて、いずれ、より良い方法へと、淘汰・選別していけたらと思っています。

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頚椎サブラクセーションの矯正⑥

 グラント・レイド氏のサブラクセーション・タイプ1の矯正法の勉強、腰椎からはじまって、骨盤、胸椎、頸椎と順不同で、見てきました。今回の下部頸椎側屈矯正法で、いよいよ最後です。

下部頸椎側屈矯正法 Lower Cervical Lateral Break

例)LC-R
 PP:仰臥位
 DP:患者の頭側
 CH:中手指節関節
 CP:下部頸椎横突起
 SH:患者の側頭部
 TP:P-A
 LOD:L-M

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:左側屈がある
    SP:右側に痛み
    MP:右側屈で棘突起が左側に移動しない
    ROM:左回旋可動域の減少 
  2. 矯正方法
    ①患者は仰臥位。術者は、患者の頭側。
    ②右中手指節関節を患者の右頚部に置き、患者の後方から前方に皮膚の緩みを取る。
    ③左手を患者の左側頚部に置く。
    ④回旋しないで、患者の頭と首を右側屈させながら、術者は右側に移動する。
    ⑤上部頸椎側屈矯正法より、側屈を多く加える。
    ⑥以下を確認する。
     A)両肘を張る。
     B)両前腕は患者の肩と平行。
     C)両前腕は床と平行。
     D)術者の位置は患者の頭と垂直。
     E)患者の鼻は上方に向ける。
    ⑦関節の最終可動域は側屈。そこからスラスト。

 側屈の減少を検査で見つけたとき、あるいは姿勢で頸椎の側屈が見られたときにこのアジャストを行なう。それ以外ではあまり使用しない。
(参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

 『カイロプラクティック・マニュアル』で紹介されている矯正法のポイントは、矯正する関節の最終可動域の体勢へともっていって、そこからスラストすることです。これまでの施術でも当然、体勢としては行なっていましたが、その意味を改めて、解剖学的に深く学び直すことができました。

 静的検査(SP)の方法とリスティングのとらえ方については、これまで行なっているガンステッド・リスティング・システムと比べながら、もう少し研究を進めてみたいところです。また、矯正法についても、リスティングの取り方によって相違があるので、合わせて検討してみようと思います。

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頚椎サブラクセーションの矯正⑤

 下部頚椎のサブラクセーションに移ります。

 『マニュアル』では、下部頚椎は肋骨で守られている上部胸椎にくらべて可動性が大きいため、椎間板、および僧帽筋、胸鎖乳突筋、斜角筋など周辺筋肉が損傷しやすいと指摘しています。

 下部頚椎の筋肉に関係するものとして、首こり、肩こり、首の根元や背中上部の痛み、筋肉のチクチクする痛みや焼けるような感じ、首の捻挫や寝違え、むち打ち、筋肉が引っ張られるような症状を上げています。

 また、関節の症状としては、腕・肩・手の痛み、チクチク感、腕の痛み、腕・手・指の感覚喪失などを伴なうことが多いとしています。

下部頚椎回旋矯正法 Lower Cervical Rotary Break

例)LC-R
 PP:仰臥位
 DP:患者の頭側
 CH:中手指節関節
 CP:下部頚椎棘突起右側
 SH:患者の側頭部
 TP:M-L
 LOD:P-A

  1. 検査
    症状:右側または両側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は仰臥位。術者は患者の頭側。
    ②患者の頭部を右回旋する。
    ③右中手指節関節を、患者の下部頚椎の棘突起右側に置き、内方から外方に皮膚の緩みを取る。
    ④左手を患者の右側頭部に置く。
    ⑤患者の頭部を伸展しながら、術者の位置を右側に移動する。上部頚椎は、回旋変位より伸展が多い。
    ⑥支点は、術者の右中手指節関節なので、患者の頭部を伸展するときに、支点が動かないようにする。術者の位置は、患者の頭部と垂直。
    ⑦5cmくらい患者の頭部を上げる。必ず動かなくなる位置まで持ち上げる。
    ⑧以下を確認する。
     A)両肘を張る。
     B)両前腕は、患者の肩と平行。
     C)両前腕は、床と平行。
     D)術者の位置は、患者の頭と垂直。
    ⑨関節の最終可動域は伸展と側屈。そこからスラスト。

 Upper Cervical Rotary Breakと同じ手法であるが、関節の最終可動域が伸展・側屈であることが異なる。上部頚椎と違って、下部頚椎は側屈するため、アジャストメントにあたっては、十分側屈させて、皮膚の緩みを取り除くことが必要である。そして、伸展は頚椎全体ではなく、矯正部位だけに行うことに注意すること。
(参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

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頚椎サブラクセーションの矯正④

 坐った姿勢での上部頚椎の矯正法です。

座位での上部頚椎側屈矯正法 Sittng Cervical Lateral Break

例)UC-R
 PP:座位
 DP:患者の後方
 CH:母指
 CP:環椎横突起
 SH:患者の耳を覆う
 TP:S-I
 LOD:L-M

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は座位。術者は、患者の右後方に位置する。
    ②右母指を患者の右乳様突起に置く。左手で左耳を覆う。
    ③右母指を乳様突起から、右横突起に滑らせる。
    ④患者の頭部を右側屈させる。
    ⑤術者は右肘を下げて、左肘を下げる。
    ⑥以下を確認する。
     A)両肘を張る。
     B)両前腕は、患者の肩と平行。
     C)両前腕は、上頚部と垂直。
     D)術者の肩と、患者の肩は平行。
    ⑦関節の最終可動域は側屈。そこからスラスト。

(引用:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

 

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グラント・レイド氏による新しいリスティング

 『カイロプラクティック・マニュアル』の著者、グラント・レイド氏のリスティングのとらえ方は、日本で一般に用いられているガンステッド・リスティング・システムとはかなり異なったものです。レイド氏は、ガンステッドのリスティングは、研究による証明がなされておらず、信頼性に欠けると指摘しています。

 レイド氏の提唱するリスティングは、コンタクトする側を示しており、①痛みのある側 ②炎症のある側 ③フィクセーションまたは可動域の減少がある側であり、関節が変位している側ではありません。そのため、カイロプラクターの主観によって、結果が相違するということが少なく、分かりやすくなるとしています。

 原則は、「①リスティングは、症状および炎症、フィクセーション、可動域の減少、動きの減少に基づくものであり、これら以外のものに基づくことはない。②片側だけに明らかな硬直を認める方が、片側だけに症状が出ている場合よりも確実に多い。③片側だけに症状がある場合の方が、片側だけに可動性の減少がある場合よりも確実に多い。④片側だけに可動域の減少がある方が、フィクセーションがある場合よりも確実に多い」としていますが、少し分かりにくい。

 簡単に言うと、リスティングを決定する手順は、炎症を起こしている関節がないかをまず見て、次に炎症に関連する症状を探し、その上で可動域の減少をチェックして、最後にモーションパルペーションとフィクセーションの検査を行うということになるそうです。

 レイド氏のリスティング法の根底には、椎骨は単独では変位しないし、変位した椎骨をひとつだけ矯正することはできないとするとらえ方があります。これまでは、一個の椎骨の変位がカンパンセーションという擬似変位を他の椎骨に及ぼすことがあり、キーになる椎骨を矯正することで、全体が改善できるという考え方をとってきました。

 レイド氏のリスティング法は、確かに検討に値する方法です。しかし、これは、これまで使ってきたガンステッド・リスティングを大きく変更する、言ってみれば革命的なことになります。レイド氏のサブラクセーション・タイプ2も含めて全体をよく精査して、冷静に検討してみたい思います。

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頚椎サブラクセーションの矯正③

 上部頚椎の側屈矯正法です。通常Neck Kinesio Poitを施術した後、頚部の筋群を調整しながら、頚椎椎間関節の可動制限を見つけたときに、この矯正法を行うことがあります。

上部頚椎側屈矯正法 Upper Cervical Lateral Break

例)UC-R
 PP:仰臥位
 DP:患者の頭側
 CH:中手指節関節
 CP:上部頚椎
 SH:患者の耳を覆おう
 TP:S-I
 LOD:L-M

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:左上側屈
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は仰臥位。術者は、患者の頭側。
    ②右中手指節関節を患者の右上頚部に置き、上方から下方に皮膚の緩みを取り除く。
    ③左手で患者の左耳を覆う。
    ④回旋させないで、患者の頭部を右側屈させながら、術者は位置を右に移動する。
    ⑤以下を確認する。
     A)両肘を張る。
     B)両前腕は、患者の肩と平行。
     C)両前腕は、床と平行。
     D)術者の位置は、患者の頭と垂直。
     E)患者の鼻を上方に向ける。
    ⑥関節の最終可動域は側屈。そこからスラストを行う。

 側屈の可動域減少を検査で認めれば、このアジャストを使用。これ以外はあまり使用しない。(参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクテッィック・マニュアル』)

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頚椎サブラクセーションの矯正②

 上部頚椎の矯正法です。上部頚椎とは、通常C1・C2のことを指しますが、C3を含めることもあります。今回の矯正法は、C1への施術例です。

上部頚椎回旋矯正法 Upper Cervical Rotary Break

例)UC-R
 PP:仰臥位
 DP:患者の頭側
 CH:中手指節関節
 CP:C1後方
 SH:患者の頬
 TP:M-L
 LOD:P-A

  1. 症状:右または両側
    視診:右回旋がある
    SP:右側に痛み
    MP:左回旋でC1横突起が可動しない
    ROM:左回旋可動域の減少
  2. 矯正方法
    ①患者は仰臥位。術者は患者の頭側。
    ②患者の頭部を左回旋する。
    ③右中手指節関節を患者のC1やや右側に置き、内方から外方に皮膚の緩みを取り除く。
    ④左手を患者の左頬に置く。
    ⑤患者の頭を伸展しながら、術者は右へ移動する。
    ⑥支点は術者の右中手指節関節で、患者の頭を伸展するとき、支点が動かないようにする。術者の位置は患者の頭部と垂直。
    ⑦以下を確認する。
     A)両肘を張る。
     B)両前腕は、患者の肩と平行。
     C)両前腕は、床と平行。
     D)術者の位置は、患者の頭部と垂直。
    ⑧関節の最終可動域は伸展。そこからスラストを行う。

 この場合、最も重要なのはアジャストメントする前に、上部頚椎を伸展させておくことである。また、術者のコンタクト側の肘を落として、適切な矯正方向を作ることも重要である。中手指節関節は、支点として使うので、アジャストメントするときにコンタクト部位が動いてはならない。伸展は、中手指節関節の周りで作られるべきである。伸展を行うことで、アジャストメントが簡単に行えるようになる。言葉を変えれば、伸展は矯正を行う関節周囲すべてで、決して頚椎全体を伸展するのではない。
(参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクテッィック・マニュアル』)

 この矯正法は、何度か行ったことがありますが、頚椎に過度の負担がかからない安全な方法です。「UC-R」の例となっていますが、C1右横突起がCPになっているということは、左回旋変位の矯正法のようです。棘突起の動きを軸に考える方法とリスティングの取り方が異なるので、注意が必要です。

 『マニュアル』には、上部頚椎の変位は、頚痛、頭痛、めまい、視覚・聴覚障害、額関節機能不全などを引き起こし、中耳炎、高血圧、てんかん、胃障害、記憶障害、疲労、被刺激症、喘息、仙骨痛、さらに心臓病や糖尿病、赤血球増加症を伴なうこともあると記されてます。これは著者の臨床経験や他の研究書も含めた蓄積にもとづいたものということですが、当店での実際の適用範囲は、今のところせいぜい頚痛、頭痛程度です。

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頚椎サブラクセーションの矯正①

 今度は頚椎の矯正法を勉強します。第1回は、後頭骨の変位。といっても後頭骨とアトラスの関節の変位です。ここの変位は、上部頚椎の疼痛をともない、しばしば頭痛、めまいなどの視覚・聴覚障害、アゴの疼痛などが関連することが多いといわれています。但し、頚椎そのものに問題がある場合にも、似たような症状がみられるので注意が必要です。

後頭骨側屈矯正法 Occipital Lateral Break

例)OCC-R
 PP:仰臥位
 DP:患者の頭側
 CH:母指球
 CP:乳様突起
 SH:患者の耳を覆う
 TP:S-I
 LOD:L-M

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:左上部側屈(時々)
    SP:右側に疼痛
    MP:右回旋で右乳様突起が平行移動しない
    ROM:右側屈可動域の減少
  2. 矯正方法
    ①患者は、仰臥位。術者は患者の頭側に立つ。
    ②術者は、患者の頭部を左回旋する。
    ③術者は、母指球を患者の右乳様突起に置く。
    ④皮膚の緩みを、後上方から前下方に取る。
    ⑤左手で左耳を覆う。
    ⑥矯正方向は、患者の反対側の耳へ向けて。患者が90度回旋ができれば矯正方向は真下。
    ⑦患者の頭部を、左手で右側屈にして。そのとき、術者は、自分の位置を少し右に移動。
    ⑧関節の最終可動域は、右側屈。そこからスラストを行う。
    (参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

 これまで用いたことのない矯正法のひとつです。後頭骨そのものを矯正することはあまり多くないのですが、症状からすると、この変位によるものも少なくないかもいしれません。今後、もっと後頭骨を意識した緻密な検査を行ってみようと思います。

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胸椎サブラクセーションの矯正⑥

 胸椎の矯正法の勉強も、今回で終わり。下部胸椎の矯正です。

下部胸椎矯正法 Modified Transverse Piciform

例)LT-P
 PP:伏臥位
 DP:患者の左側
 CH:両手の豆状骨
 CP:下部胸椎の横突起両側
 SH:CHと同じ
 TP:I-S
 LOD:P-A

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は伏臥位。術者は患者の左側にフェンサーズ・スタンスをとる。
    ②両手を患者の背中に置く。
    ③患者に膝を屈曲させる。そうすると一時的に(約1~2秒)矯正がしやすくなる。
    ④そのため、膝を屈曲させるタイミングは施術の少し前が良い。
    ⑤膝が完全に屈曲してから皮膚の緩みを上方に取り、スラストする。矯正方向は脊柱と垂直。術者の真下ではない。

 下部胸椎は伏臥位で矯正するのは難しい。このレベルは肋骨からの支えがないからである。そのうえ、このレベルでは脊柱起立筋が常に収縮している状態にある。アジャストメントを行なう前に、患者が膝を曲げると、腰椎のカーブが少しの間、増加する。
 このカーブによって3つの有益なことが起こる。1つめは、椎間関節が前部に広がる。そのため、より簡単にアジャストメントができる。2つめは、脊柱起立筋群の長さが短くなるので、背部が一時的にリラックスする。3つめは、脊柱がわずかにベッドと近くなる。一般に脊柱については堅さが増す。

 写真がないと、両手を具体的にどのように配置するのか分かりづらいところですが、これまで回旋変位の矯正を、これに似た体勢で行なっています。しかし、下部胸椎に適用される矯正法ですか。あまりそういった認識はなかったですが、術者の体勢から考えると、確かに妥当な選択と言えるでしょう。

 膝の屈曲が果たす役割。胸椎の下部から腰椎にかけては、確かに脊柱起立筋が張っていることが多い。膝の屈曲が、その緊張を緩める手段になるとは、気がつきませんでした。今度、その他2つのことも含めて実際に検証してみることにします。

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胸椎サブラクセーションの矯正⑤

 今度は、中部胸椎の矯正法です。

中部胸椎矯正法 Double Transvers Pisiform

例)MT-P
 PP:伏臥位
 DP:患者の左側
 CH:両手の豆状骨
 CP:中部胸椎の横突起両側
 SH:CHと同じ
 TP:CW
 LOD:P-A

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は伏臥位。術者は患者の左側にいること。術者の体勢はターグル・スタンス。
    ②術者の両手を前に伸ばす。右手の指を術者の左向きにして左横突起に添え、左手を右手の上に置き、指は上向きにして反対側の横突起に添える。左指は術者の12次の方向を指す。
    ③この形から両手を同時に時計回りと反対の方向に回転させる。中指が9時か10時の位置にくるまで回転させる。
    ④両手を患者の脊柱に置く。
    ⑤10時から12時までの間でしっかりと皮膚の緩みを取る。終わったとき、右手は患者の頭部を指し、左手は患者の脊柱と垂直にあること。
    ⑥以下を確認する。
     A)術者の体が患者の脊柱と垂直になっている。
     B)術者の両肘を曲げない。
     C)正しい矯正方向のため、術者の両腕は患者の脊柱のぴったり上にくる。
    ⑦術者は自分の身体をやや後方に移動させる。
    ⑧術者は前方に身体をすばやく移動して、ボディードロップをして、真下にスラストする。

 胸椎のどこのレベルでもこのアジャストメントが使えるが、中部に使用するのが最も適している。中部レベルの矯正方向は前方。上部と下部の場合は矯正方向がつくりにくい。この場合の中部レベルとは、現実には背中の頂上部分を指す。横から見て、曲線が最も高いところが頂上である。患者によっては下部胸椎がこれに該当することもある。なおティシュー・プルを行なった後で必ず両豆状骨と同じレベルで横突起をコンタクトすること。
(引用:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

 この説明では、ティシュー・プルの取り方が分かりにくいようです。最終的に「右手は患者の頭部を指し、左手は患者の脊柱と垂直に」なるように、事前に両手を配置すれば良いのでしょう。
 そして最後の術者の身体を一度後方へ移動させて、再度前方に戻してスラストするという動作は、もうひとつ納得できません。関節にかけた圧力を一旦緩めて再度押すというのは、コンタクトの正確さを維持することと関節の最終可動域からスラストするという原則から考えるとどうなのでしょう。

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胸椎サブラクセーションの矯正④

 上部から中部の胸椎へも適用できる前方変位の矯正法です。

上中部胸椎矯正法 Anterior Thoracic

例)MT-A
 PP:仰臥位
 DP:患者の右側
 CH:左示指から小指までを屈曲させた部位と、母指を外転させて母指球接触
 CP:中部胸椎の横突起両側
 SH:患者の左上腕
 TP:I-S
 LOD:I-S、A-P

  1. 検査
    症状:右か左または両側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は仰臥位。術者は患者の右頭側に向って、フェンサーズ・スタンスをとる。
    ②患者の右手を患者の左肩に置く。左手も同じように右肩に置く。
    ③両肘をしっかり合わせる。
    ④患者の身体を術者と反対の方向へ回旋させる。
    ⑤左手を熊手にして患者の背部に置き、上方に皮膚の緩みを取る。
    ⑥患者を元の体位に戻す。患者は術者の左手の上で休息している状態であるが、このとき患者に不快感があってはならない。患者が痛がるようなら、術者がこぶしを強く握り締めすぎている可能性がある。
    ⑦術者の右手を患者の左上腕に置く。各指は左の肩に向ける。次に、術者は胸骨を患者の右上腕に置く。アジャストのための力は胸骨と同様に右腕からかける。
    ⑧右腕は患者の左から右へ患者の頭側に向けて押し、術者の胸骨は患者の右から左へ頭側に向けて押す。この「X」を描くようなパターンが矯正方向をつくる。その方向は患者の頭部とベッドに向う方向である。
    ⑨関節を広げると同時に肩の皮膚の緩みを取るために、まずしっかり上方に押す。
    ⑩スラスト方向は上後方で、ボディードロップをする。

 伏臥位で患者の脊柱を矯正するのが難しいケースがある。たとえば胸椎の過後弯や胸椎のカーブが少ない場合や老人の場合など。老人の場合、肋骨が骨折しやすい。これらの場合は、アンテリア・ソラシックによるアジャストメントが非常に役に立つ。また、術者の矯正技能もあまり必要としない。
(引用:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

 これに近い矯正法を行うことがあります。但し、CPは、Aになっているすぐ下の胸椎の横突起にとり、はじめから仰臥位で伸展状態で行なうのではなく、胸椎を一度屈曲させて、屈曲から伸展へ移行させながら変位した胸椎が頂点になるところで、アジャストします。上記矯正法とは、その辺が少し違うようで「術者の矯正技能をあまり必要としない」どころか、タイミングを合わせるのが結構難しい方法です。
 適応症として、「
過後弯や胸椎のカーブが少ない場合」というのは、相矛盾するような気がしますが、前方変位の起こった胸椎の場所によって、弯曲の状態が変わるものと思われます。

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胸椎サブラクセーションの矯正③

 上部胸椎矯正法の第3弾。後方変位した胸椎に、両手の母指球をコンタクトさせて、ボディドロップを用いて急激な圧力を加えます。

上部胸椎矯正法③ Bilateral Thenar

例)UT-P
 PP:伏臥位
 DP:患者の左側
 CH:両手の母指球
 CP:上部胸椎の横突起両側
 SH:CHと同じ
 TP:I-S
 LOD:P-A、I-S

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は伏臥位。術者は患者の左側方。術者の体勢はフェンサーズ・スタンス、左足前方。
    ②術者の両母指球を患者の上部胸椎の横突起両側に置き、上方に皮膚の緩みを取る。しっかり皮膚の緩みを取りながら関節の最終可動域に持っていく。
    ③以下を確認する。
     A)術者の肩が患者の肩と平行になっている。
     B)術者の両肘を曲げない。
     C)術者の腕は床と垂直になっている(脊柱と垂直ではない)。
    ④術者は自分の身体をやや患者の足の方に移動させる。
    ⑤患者の頭側に術者の身体をすばやく移動させ、ボディドロップしながら、スラストを行なう。

 この場合、もっとも重要な要素はティシュー・プルで皮膚の緩みをしっかりと取り除くことである。しっかりとティシュー・プルを行なうと、胸椎の椎間関節が広くなる。そうなるとアジャストメントがしやすくなる。
 矯正方向は椎間板平面より少し患者の頭側。T9かT10までできるが、T7より下側ではティシュー・プルを行なうのが難しいので、上中部胸椎の方が効果がある。
(引用:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

 ガンステッド方式では、後方変位しながら側屈、上方、下方、回旋などの変位を伴っているという考え方で、それぞれの変位に応じたコンタクトポイントとティシュー・プルの方向があります。これに対して、サブラクセーション・タイプ1では、リスティングの考え方そのものが異なるため、施術するポイントや方法も違うようです。
 胸椎の矯正方法が済んだら、もっとベーシックな考え方について、改めて研究してみたいと思います。

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胸椎サブラクセーションの矯正②

 上部胸椎の矯正法、第2弾です。

上部胸椎矯正法② Combinatin Movement

例)UT-R
 PP:伏臥位
 DP:患者の肩付近
 CH:豆状骨
 CP:T1、T2横突起
 SH:患者の耳を覆う
 TP:I-S
 LOD:P-A

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は伏臥位。術者は患者の左肩側に位置する。術者の体勢はフェンサーズ・スタンス、左足前方。
    ②術者の右豆状骨を患者の上部胸椎左横突起に置き、上方に皮膚の緩みを取る。術者の右肘を曲げない。
    ③患者の頭部を左回旋する。
    ④左手で左耳を覆う。
    ⑤頭を伸展する。
    ⑥以下を確認する。
     A)右前腕が患者の脊柱と垂直になっていること。
     B)右肘を伸ばしていること。
    ⑦関節の最終可動域は回旋と伸展。関節の最終可動域からスラストを行なう。

 このテクニックは少々きついので、むち打ち症、スポーツ傷害など炎症がひどい患者には施さないほうが良い。(引用:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

 上部胸椎矯正法①、②はいずれも右回旋変位を矯正する方法です。①は拇指指腹部で棘突起に、②は豆状骨で横突起に働きかけています。患者の頭部を左側に回旋させ伸展させることで、関節を最終可動域に持っていくことがポイントになっています。矯正の方向は、最終可動域の方向とは逆のようですが、関節のフィクセーションを解消する方向です。
 但し、T1の矯正に限っていえば、前方変位を伴っていることが多いので、矯正法①の
Thumb Movementの方が安全かもしれません。

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胸椎サブラクセーションの矯正①

 今度は、胸椎の矯正です。引き続き、グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』に則って、勉強を進めていきます。これまで用いたことのない方法も、紹介されているので楽しみです。

上部胸椎矯正法① Thumb Movement

例)UT-R
 PP:伏臥位
 DP:患者の左肩付近
 CH:拇指指腹部
 CP:T1棘突起右側
 SH:患者の耳を覆う
 TP:L-M
 LOD:L-M

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は伏臥位。術者は患者の左肩の隣でフェンサーズ・スタンスをとる。
    ②術者の右母指の指腹部を患者のT1棘突起右側にコンタクトする。皮膚の緩みを外方から内方に取る。しっかりとコンタクトする。
    ③術者は左手を患者の左側頭部に置く。耳孔を塞がないようにする。
    ④患者の頭部を左回旋し、伸展する。回旋する前に伸展すると回旋がなかなかできないので、必ず最初に回旋する。
    ⑤以下を確認する。
     A)右前腕はほとんど床と平行。
     B)両肘を張る。
     C)術者の両肩が患者の両肩と平行。
    ⑥関節の最終可動域は回旋と伸展。関節の最終可動域からスラストを行なう。

注意)このテクニックは少しきついので、炎症がひどい患者には施さない方が良い。たとえばむち打ち、急性なスポーツによる外傷など。このテクニックはT2およびT3でも使えるが、施術しにくいので、ほとんどの場合、T1で行なわれる。

 この矯正方法は、これまで行なったことがありません。「UT-R]、「ほとんどの場合、T1で行なわれる」ということですから、第1胸椎の右回旋変位への矯正でしょうか。胸郭出口症候群のひとつである肋鎖症候群の改善に、一役担うことになりそうです。但し、T1は前方変位を伴っていることが多いので、「LOD:L-M」を遵守して、決して前方へ力を入れすぎないようにすることが大切なようです。

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仙腸関節サブラクセーションの矯正⑤

 いよいよ、仙腸関節サブラクセーションの矯正法の最後です。今回は、腸骨稜周辺に痛みが出る腰痛や股関節の変調など腸骨の内方変位を矯正する方法のひとつUpper Ilium Pullです。(参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

腸骨下部矯正法 Upper Ilium Pull

例)P-R
 PP:側臥位
 DP:立位で骨盤付近
 CH:示指から環指
 CP:上後腸骨棘内側
 SH:肩
 TP:M-L
 LOD:M-L、P-A

  1. 検査
    症状:右側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は右側を上に側臥位。術者は患者に向って、骨盤付近にターグル・スタンスをとる。
    ②患者の骨盤はベッドと垂直にする。
    ③患者の右股関節と膝関節を屈曲させ、頭側に移動する。術者の大腿の間で右下肢を固定する。
    ④患者の右手関節を持って、術者の方向に腕をしっかり引き、肩からの遊びを取る。このとき患者の脊柱が屈曲する。
    ⑤関節の最終可動域は屈曲。患者の右足をしっかり頭側に移動して、さらに肩からの遊びを取る。
    ⑥患者の右手を左肩に置き、左手を右肩に置く。
    ⑦左膝を患者の右膝に乗せ、患者の身体を術者に向けてわずかに回旋する。
    ⑧右手を患者の右肩に置く。左の示指から環指で患者の右上後腸骨棘内側にコンタクトして、内方から外方に皮膚の緩みを取る。
    ⑨左膝の力を床側に速く入れながら、回転するように左手の力も入れる。

 この方法もめったに行なったことがありません。矯正④のLower Ilium Pullと同じように、術者が引く動作というのは、施術箇所に直接体重を加えることができないため、力が入りにくいように思います。しかし、関節の最終可動域まで持っていたところから、さらに回旋させて矯正方向へ力を加えることがポイントのようです。

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仙腸関節サブラクセーションの矯正④

 梨状筋性のシビレをもたらしたり、脚や腰の動きに制限をもたらしたりすることがある腸骨の外方変位を矯正する方法のひとつLower Ilium Pullです。(参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

腸骨下部矯正法 Lower Ilium Pull

例)P-R
 PP:側臥位
 DP:立位で骨盤付近
 CH:手掌底部(豆状骨)
 CP:上後腸骨棘外側
 SH:肩
 TP:L-M
 LOD:L-A、P-A

  1. 検査
    症状:右側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は左側を上に側臥位。術者は患者に向って、骨盤付近にターグル・スタンスをとる。
    ②患者の骨盤はベッドと垂直にする。
    ③患者の左股関節と膝関節を屈曲して、頭側に移動させる。術者の大腿の間で左下肢を固定する。
    ④患者の右手関節を持って、術者の方向に腕をしっかり引き、肩からの遊びを取る。このとき患者の脊柱が屈曲する。
    ⑤関節の最終可動域は屈曲。患者の左下肢をしっかり頭方に移動して、さらに肩からの遊びを取る。
    ⑥患者の右手を左肩に置き、左手を右肩に置く。
    ⑦術者の右膝を患者の左膝に乗せ、患者の身体を術者に向けてわずかに回旋する。
    ⑧左手を患者の左肩に置く。右豆状骨を患者の右上後腸骨棘と股関節の間にコンタクトして、外方から内方に皮膚の緩みを取る。
    ⑨右膝の力を床側に早く入れながら、右手も回転するように力を入れる。

 ごくまれにしか行なったことのない矯正法です。しかし、これまで勉強した側臥位での矯正法に共通して言えることですが、腰椎に問題がない場合は、関節の最終可動域からスラストするので、かなり効果的な方法だと思います。

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仙腸関節サブラクセーションの矯正③

 仙腸関節矯正の勉強を続けます。今回は、一般的な腰痛のときによく見られる腸骨の後下方変位を矯正する方法のひとつSuperior Ilium Pushです。(参考:グラント・レイド D.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

腸骨上方矯正法 Superior Ilium Push

例)P-R
 PP:側臥位
 DP:立位で骨盤付近
 CH:豆状骨
 CP:上後腸骨棘下方
 SH:肩
 TP:I-S
 LOD:I-S、P-A

  1. 検査
    症状:右側
    視診:なし
    SP:右側で痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は右側を上にして側臥位。術者は患者に向けて、骨盤付近にターグル・スタンスをとる。
    ②患者の骨盤をベッドと垂直にする。
    ③患者の股関節と膝関節を屈曲して、頭側に移動させる。術者の大腿の間で右下肢を固定する。
    ④患者の左手関節を持って、術者の方向に腕をしっかり引き、肩からの遊びを取る。このとき患者の脊柱が屈曲する。
    ⑤関節の最終可動域は屈曲。患者の右下肢をしっかり頭側に移動して、さらに肩からの遊びを取る。
    ⑥患者の右手を左肩に置き、左手を右肩に置く。
    ⑦このとき、術者の体勢はターグル・スタンス。この段階から患者の頭部に向けて体勢を変える。術者の左大腿部を患者の右大腿の同じところに乗せ、左豆状骨を上後腸骨棘下方にコンタクトし、下方から上方(CW)に、皮膚の緩みを取る。
    ⑧右手を患者の右肩に添える。
    ⑨左大腿に力を入れて、身体を下げていき、患者の身体全体を術者に向けて回旋(90度ぐらい)させ、術者は患者の頭部に向くまで体幹を回旋する。
    ⑩矯正方向は患者の前上方。関節の最終可動域から曲線的にスラストする。

 特にコメントすることはありませんが、上記の矯正法は、参考文献の記述のままではありません。執筆者の判断で、術者の体勢やティッシュープルの方向など、少し変更しています。

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仙腸関節サブラクセーションの矯正②

 仙腸関節サブラクセーションの矯正法の続きです。後3回あります。(参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル』)

腸骨下方矯正法 Inferior Ilium Push

 例)P-R
 PP:側臥位
 DP:立位で骨盤付近
 CH:手掌底部
 CP:上後腸骨棘と股関節の間
 SH:肩
 TP:S-I
 LOD:S-I、P-A

  1. 検査
    症状:右側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は右側を上にして側臥位。術者は患者に向って、骨盤付近にターグル・スタンスをとる。
    ②患者の骨盤はベッドと垂直にする。
    ③患者の右股関節と膝関節を屈曲して、頭側に移動させる。術者の大腿の間で右下肢を固定する。
    ④患者の右手関節を持って、術者の方向に腕をしっかり引き、肩からの遊びをとる。このとき患者の脊柱が屈曲する。
    ⑤関節の最終可動域は屈曲。患者の右足をしっかり頭側に移動して、さらに肩からの遊びを取る。
    ⑥患者も右手を左肩に置き、左手を右肩に置く。
    ⑦このときまで術者の位置はターグル・スタンス。この段階から患者の頭方へ向けて体勢を変える。術者の左大腿部を患者右大腿部の同じ部位に乗せ、左手掌底部を上後腸骨棘と右股関節の間にコンタクトして、下方に向けて皮膚の緩みを取る。
    ⑧右手を患者の右肩に添える。
    ⑨術者は左大腿に力を入れて、身体を下げていき、患者の身体全体を術者に向けて回旋(90度くらい)させ、自らは身体が患者の頭部に向くまで回旋していく。
    ⑩矯正方向は患者の前下方。関節の最終可動域から曲線的にスラストする。

 これは、右腸骨の前上方変位の矯正法で、これまで行なってきた方法のひとつ。仙腸関節の形状に合わせて、曲線的にスラストする点が、特徴です。腰椎矯正では腕だけでスラストを行ないますが、仙腸関節矯正に関しては、腕と脚を同時に使うボディドロップを行ないます。

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仙腸関節サブラクセーションの矯正①

 訪問者の方には引き続き退屈させますが、今度は、仙腸関節サブラクセーションの矯正法へと進めます。同じく、『カイロプラクティック・マニュアル』を引用しながら、勉強していきます。今日は、仙骨の矯正法です

仙骨矯正法 Sasral Push

例)S-R
 PP:側臥位
 DP:立位で骨盤付近
 CH:手掌底部
 CP:仙骨
 SH:肩
 TP:I-S
 LOD:P-A

  1. 検査
    症状:右側
    視診:なし
    SP:右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は右側を上にして側臥位。術者は患者に向って、骨盤付近にターグル・スタンスをとる。
    ②患者の骨盤はベッドと垂直にする。
    ③患者の右股関節と膝関節を屈曲して、頭方に移動させる。術者の大腿の間で固定する。
    ④患者の左手関節を持って、術者の方向に腕をしっかり引き、肩からの遊びを取る。このとき患者の脊柱が屈曲する。
    ⑤関節の最終可動域は屈曲。患者の右下肢をしっかり頭方に移動し、さらに肩からの遊びを取る。
    ⑥患者の右手を左肩に置き、左手を右肩に置く。
    ⑦このとき術者の体勢はターグル・スタンス。この段階が終わってから患者の頭部に向くように体勢を変える。術者の左大腿部を患者の右大腿部の同じ部位に乗せ、左手掌底部で、仙骨やや右側にコンタクトする。CW(CCW)に皮膚の緩みを取る。
    ⑧右手を患者の右肩に添える。
    ⑨左大腿に力を入れる。身体を下げながら、患者の身体全体を術者に向けて回旋(右側に90度くらい)させ、術者は身体が患者の頭部に向くまで回す。
    ⑩矯正方向は、L5の椎間板と平行に、スラストする。

 側臥位で仙骨に手掌底部を置いて矯正するこの方法は、あまり行なったことがありませんが、仙骨の左右後方変位だけでなく、仙骨基底部の矯正にも使えそうです。

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腰椎サブラクセーションの矯正④

 『カイロプラクティック・マニュアル』の腰椎矯正法の続きです。ブログ訪問者には退屈な勉強記ですが、腰椎編はこれが最後になります。

下部腰椎矯正法② Lunbar Pull

例)LL-R
 PP:側臥位
 DP:立位で骨盤付近
 CH:豆状骨
 CP:下部腰椎の乳頭突起
 SH:肩
 TP:CWまたはCCW
 LOD:P-A

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:なし
    SP:棘突起または右側に痛み
    MP:なし
    ROM:左側屈可動域の減少
  2. 矯正方法
    ①患者は右側を上に側臥位。術者は患者に向って、骨盤付近にターグル・スタンスをとる。
    ②患者の骨盤をベッドと垂直にする。
    ③患者の右股関節と膝関節を屈曲して、頭側に移動させる。術者の大腿の間で固定する。
    ④患者の左手関節を持って、術者の方向に腕をしっかり引き、肩からの遊びを取る。このとき患者の脊柱が屈曲する。
    ⑤屈曲の最終可動域まで移動したら、患者の右下肢をしっかり頭方に移動して、さらに肩からの遊びを取る。患者の右手を左肩に置き、左手を右肩に置く。
    ⑥左膝を患者の右膝の上に乗せ、患者の身体を術者の方に少し回旋する。
    ⑦右手を患者の右肩に置く。左豆状骨で患者の右乳頭突起にコンタクトし、CCWに皮膚の緩みを取る。
    ⑧正しい方向にアジャストするため、患者の身体全体を術者に向けて回旋する。
    ⑨左膝の力を床側に入れる。
    ⑩関節の最終可動域は屈曲、側屈、そして回旋。左膝を下げると側屈および回旋する。
    ⑪関節の最終可動域でスラスト。

 Lumbar Pushと途中までそっくりです。アジャストの方向LODは同じになっていますが、ティッシュープルの仕方が逆になっています。Pushの場合は、少し足方に向けて押すようにして上方変位を、Pullの場合は、頭方へ向けて引き上げるような感じで下方変位を矯正しています。

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腰椎サブラクセーションの矯正③

 『カイロプラクティック・マニュアル』の腰椎矯正法の続きです。

下部腰椎矯正法① Lunbar Push

 例)LL-R
 PP:側臥位
 DP:立位で骨盤付近
 CH:豆状骨
 CP:下部腰椎の乳頭突起
 SH:肩
 TP:CWまたはCCW
 LOD:P-A

  1. 検査
    症状:右または両側
    視診:なし
    SP:棘突起または右側に痛み
    MP:なし
    ROM:左側屈可動域の減少
  2. 矯正方法
    ①患者は右側を上に側臥位。術者は患者に向って、骨盤付近にターグル・スタンスをとる。
    ②患者の骨盤をベッドと垂直にする。
    ③患者の右股関節と膝関節を屈曲して、頭側に移動させる。術者の大腿の間で固定する。
    ④患者の左手関節を持って、術者の方向に腕をしっかり引き、肩からの遊びを取る。このとき患者の脊柱が屈曲する。
    ⑤屈曲の最終可動域まで移動したら、患者の右下肢をしっかり頭方に移動して、さらに肩からの遊びを取る。
    ⑥患者の右手を左肩に置き、左手を右肩に置く。
    ⑦このとき、術者の体勢は、ターグルスタンス。この段階が終わってから、体勢を患者の頭方へ向ける。術者の左大腿前部を患者の右大腿の同じ部位に乗せ、左豆状骨で下部腰椎の右乳頭突起にコンタクトする。CWに皮膚の緩みを取る。
    ⑧右手は患者の右肩に添える。
    ⑨左大腿に力を入れる。身体を下げながら、患者の身体全体を術者の方に回旋させ、術者は右に(90度くらい)患者の頭側に向くまで身体を回旋させる。
    ⑩⑨が終わったらすぐにスラストする。

 下部腰椎の最終可動域は、70%の屈曲、20%の側屈、10%の回旋によってつくられるということで、この体勢になるようです。これは、次のLumbar Pullでも同じ原理です。
 関節の最終可動域まで動かして遊びを取ることが、この体勢のポイントです。ここで示されている患者の姿勢になってみると、最終可動域というか、これ以上動けない体勢になっていることが分かります。

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腰椎サブラクセーションの矯正②

 今日も、『カイロプラクティック・マニュアル』から、腰椎サブラクセーションの矯正法についての学習を続けます。

上中部腰椎矯正法 Lumbar Specific
 例)L3-R
 PP:側臥位
 DP:立位で患者の骨盤付近
 CH:示指、中指、拇指
 CP:上中部腰椎の棘突起
 SP:上中部腰椎の棘突起
 TP:L-M
 LOD:P-A

  1. 検査
    症状:右側
    視診:なし
    SP:棘突起または右側に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は左側臥位。術者は患者に向って、骨盤付近にフェンサーズ・スタンスをとる。
    ②患者は骨盤とベッドを垂直にする。
    ③患者の右股関節と膝関節を屈曲し、上方に移動させる。術者の大腿の間で固定する。
    ④患者の左手関節を持って、術者の方向に腕をしっかり引き、肩からの遊びを取る。この操作で患者の脊柱が屈曲する。
    ⑤関節の最終可動域は屈曲と回旋。患者の右足をしっかり上方に移動させて、さらに肩からの遊びを取る。両方を行なうことで脊柱が屈曲する。
    ⑥術者の左膝を患者の右膝の上に乗せ、やや患者の身体を術者の方に回旋する。
    ⑦患者は右手で左前腕付近を握り、左手も同じように右前腕を握る。
    ⑧術者は患者が組み合わせている前腕と体幹の間に右腕を通し、L2棘突起右側に拇指を置き、示指を中指を反対側に置く。左拇指をL3棘突起の右側に置く。
    ⑨術者の左膝でさらに患者を回旋して、関節の最終可動域でスラストする。

 これは、腰椎の回旋変位を矯正する方法ですが、下部腰椎は容易に回旋しないため、もっぱら、L1~3の上部腰椎を対象にしています。
 これによく似た矯正方法に、「回旋スイッチ」という方法があります。違うのは棘突起への拇指の置き方です。回旋スイッチの場合は、足方手拇指をL2棘突起の右側に置いた頭方手拇指の上に置き補強します。その上で足方手の中指・示指をL3棘突起左側に置いて引っ掛け、患者の右腸骨上においた前腕を引いて身体を回旋させながらスラストします。膝は使いません。

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腰椎サブラクセーションの矯正①

 それでは、腰椎サブラクセーションの矯正法について、『カイロプラクティック・マニュアル』に基づいて学びます。「あおぎりカイロプラクティック」で現在行なっている施術とは、若干異なるものもありますので、これからの参考にしたいと思います。

上部腰椎矯正法 Anterior Lumbar
 例)UL-A
  PP:座位
  DP:患者の右側
  CH:左示指から小指までを屈曲させた部位と拇指を外転して母指球接触
  CP:上部腰椎の横突起両側
  SH:患者の左上腕
  TP:I-S
  LOD:A-P

  1. 検査
    症状:両側
    視診:なし
    SP:棘突起に痛み
    MP:なし
    ROM:なし
  2. 矯正方法
    ①患者は、座位。術者は、患者の右側で頭側に向けて、フェンサーズ・スタンスをとる。
    ②患者は、後頭部で両指を組み合わせる。
    ③術者は、患者の両肘をしっかり合わせる。
    ④術者は、右前腕で患者の左前腕外部を抱え込み、術者の胸骨部を患者の右前腕前方に置く。
    ⑤術者は、左脇をしっかり閉め、左手を熊手にして患者の上部腰椎にコンタクト。皮膚の緩みを上方に向けて取る。
    ⑥術者は、術者の肩と患者の肩は平行にする。
    ⑦患者の身体を倒しながら、術者の位置を患者の頭方に移動していく。
    ⑧左手がベッドに接触すると、次第に患者の体重がCHに加わる。一番重く感じる位置がスラストする一番良い位置となる。
    ⑨関節の最終可動域は屈曲位で、患者の脊柱をしっかり屈曲する。
    ⑩スラストの力は右前腕と胸骨で加える。

 これは、胸椎前方変位の矯正に用いる上中部胸椎矯正法 Anterior Thorasicを、腰椎に適用したものですが、患者の腕の組み方が異なるようです。患者の身体か硬い場合は、後頭部で指を組んだ場合、両肘が前で着かないことが多いので、腰椎の場合も左右の肩に交互に右左のを置いて肘を交叉するようにしたほうが無難かもしれません。
 第5腰椎にまで適用できるそうですが、あまり下部の方ですと、コンタクトハンドに患者の体重が、かなりかかるようになるので、術者の手が痛いかもしれません。
 『マニュアル』では、上中部胸椎矯正法の方は、「術者の矯正技能もあまり多くを必要としない」としていますが、しかし、これはチェスタードロップ法という使い慣れないと結構難しい技術です。これに対して、上部腰椎矯正法については、「矯正方法は説明するのは簡単だが、習得するのは難しい」としていますが、こちらが正解でしょう。

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仙腸関節の整形外科検査

  1. ゲンズレン・テストImgp2371_edited
    方法:患者はベッド端に仰臥位で、端側の下肢をベッドから下ろす、反対側下肢の股関節・膝関節を屈曲する。術者はそれぞれの下肢に圧力をかける。
    メカニズム:伸張。片方の仙腸関節を過度に伸展させると同時に、反対側を過度に屈曲させる。その間、腰椎には影響を与えないため、疼痛の原因が、腰椎由来か、仙腸関節由来かを鑑別できる。
    注意:患者に、検査で再現される疼痛部位を示してもらうこと。仙腸関節に疼痛がない場合は、陽性と判定できない。
    仙腸関節の変位(通常は伸展側に変位)。仙腸関節の捻挫。
  2. ナクラス・テストImgp2372_edited
    方法:患者は伏臥位。術者は片方の膝関節を同側臀部へ屈曲する。
    メカニズム:伸張。踵を臀部まで屈曲することによって、大腿四頭筋が伸張するため、骨盤が前方回旋し、仙骨が寛骨から分離する。
    注意:ゲンズレン・テストと同じ
    仙腸関節の変位。仙腸関節の捻挫。
  3. ヨーマン・テストImgp2373_edited
    方法:患者は伏臥位。術者は、患者の仙骨上に手置く。もう一方の手で、患者の膝関節を屈曲させて、下肢を持ち上げる。
    メカニズム:伸張。柔軟性の高い患者の場合、ナクラステストでは、大腿四頭筋を十分に伸張できないため。
    注意:ゲンズレン・テストと同じ。
    仙腸関節の捻挫。
  4. ヒッブ・テストImgp2374_edited
    方法:患者は伏臥位。術者は、患側膝関節を屈曲・外旋させて、股関節を内旋する。
    メカニズム:伸張。仙腸関節が伸張して外側に分離する。
    注意:ゲンズレン・テストと同じ。内側から外側へと動かす点が異なる。
    仙腸関節の変位。仙腸関節の捻挫。
  5. イリアック・コンプレッション・テストImgp2375_edited
    方法:患者は側臥位。術者は股関節の高さで、骨盤を床方向へ押さえる。
    メカニズム:直接圧。
    注意:股関節に問題がある患者の場合は、股関節をはずして、他の場所を押さえる。
    仙腸関節の変位。仙腸関節の捻挫。

 参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック・マニュアル 脊柱編』

 仙腸関節の検査には、もっぱら直接カイロプラクティック検査を行なっています。これまで、整形外科テストはゲンズレン・テスト以外行なっていませんでした。ガンステッド・リスティングとの整合性を考えると、ゲンズレン・テストでの伸展位、ナクラス・テスト、ヨーマン・テストでは、腸骨の前上方変位。ゲンズレン・テストでの屈曲位では後下方変位。ヒッブ・テストでは、外方変位。イリアック・コンプレッション・テストでは、内方変位が、いずれも陽性の場合に該当するようです。

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腰椎の整形外科検査

  1. ミルグラム・テスト Imgp2365_edited_2
    方法:患者は仰臥位。術者は患者の両足をベッドから25cmくらい持ち上げる。患者に、しばらくそのままの位置を保ってから、ゆっくりと下肢を下ろさせる。
    メカニズム:間接圧。患者が両足を持ち上げた状態を保とうとすると、腹腔内の圧力が増し、脊柱の間接にかかる圧力が増加するため、炎症がある部位または椎間板ヘルニアがある部位の痛みが増大する。
    注意:ヘルニアの場合、テストを行なうのが困難な場合が多いので、術者は、いったん両足を上げ終えたら、ゆっくりと離すようにする。
    腰椎椎間関節変位。椎間板ヘルニア。
    (腹筋が弱い人には、向いていないかもしれない)
  2. 下肢伸展挙上(SLR)テスト Imgp2367_edited_2
    方法:患者は仰臥位。術者は、患者の膝関節を伸展させたまま、股関節を屈曲させ、下肢を持ち上げる。
    メカニズム:伸張。坐骨神経を伸ばす。
    注意:神経圧迫を判断するためには、ブラガードテストも合わせて行なうことが必要。SLRテストはブラガードテストを行なうための角度を決定することにある。
    坐骨神経痛。椎間板ヘルニア。仙腸関節疾患。腰仙部、仙腸関節の変位。あるいは下肢筋群の過伸張。
    (これまでの定番検査。しかし、これだけでは不十分だったようです)
  3. ブラガード・テスト Imgp2368_edited_2
    方法:SLRテストが陽性の場合、その角度から5度下げて、足首を背屈させる。
    メカニズム:下肢または臀部の筋群を、緊張させることなく、坐骨神経を伸張する。
    注意:陽性の場合、WLRテストを行なう。
    坐骨神経痛。腰椎椎間間接変位。
    (下肢・臀部筋群を緊張させないのが特徴か? 判別に使える)
  4. 交差下肢挙上(WLR)テストImgp2369_edited_2 
    方法:片側のみに坐骨神経痛がある場合に、反対側の下肢を持ち上げる。健側下肢を持ち上げても、患側下肢に痛みがでるならば陽性。
    メカニズム:伸張。椎間板ヘルニアにより、神経が圧迫されているとき、健側の神経を伸張すると、炎症を起こしている患側の神経が引っ張られる。
    注意:正確に椎間板ヘルニアの有無を判別することができる。
    椎間板ヘルニア。腰椎椎間関節の変位。
    (これが陽性いなるほどの場合は、検査しなくても症状で判別できそう)
  5. ケンプ・テスト Imgp2370_edited_2
    方法:座位または立位で行なう。術者は片方の前腕で患者の両肩を後方から支える。反対側の手拇指を患部において、中程度より弱い圧力をかける。患者の上体を回旋、わずかに伸展させる。術者は患者の背中に直接圧力をかける。
    メカニズム:直接圧。
    注意:術者は下方に押しているときに、腰部を伸展させすぎないようにする。
    捻挫、椎間板ヘルニア。腰椎椎間関節の変位。
    (捻挫の鑑別にも使える)

 参考:グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック マニュアル 脊柱編』

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仙腸関節のサブラクセーション

  「腰椎の疼痛と骨盤の疼痛を鑑別するのは至難の技である。患者に問いかけたり問診するだけで、サブラクセーションの場所を突き止めることはできない。坐骨神経痛と仙腸関節サブラクセーションの症状は同じようにみえることが多い。椎間板ヘルニアによる疼痛は仙腸関節の上方に集中する場合がある。したがって、症状の検査は、骨盤の症状と、腰椎の症状を同じとみなして行なう。両者で異なるのは、骨盤の場合は、腎臓、結腸、およびその他の内臓の症状と関係しないという点である。これ以外では、両者を鑑別するには検査が必要となる。
 以前は、骨盤はサブラクセーションを起こすと考えられていた。ガンステッドは骨盤を4つの型のサブラクセーション(ただし、仙骨は別のサブラクセーション)に分類した。トンプソン、アクティベーター法、SOT、およびその他の多くのテクニックは仙腸関節サブラクセーションをその技術の要(あるいは基本)とみなしている。しかし、研究により、この関節が実は2㎜を超えるサブラクセーションを起こすことはなく、回旋も1度であることが明らかとなった。さらにごく稀なケースは別として、この関節はアジャストしても空隙化しないこともわかった」・・・「しかしながら興味深いことに、カイロプラクターが仙腸関節にアジャストすると症状が改善することがわかっている」(グラント・レイドD.C.著『カイロプラクティック マニュアル』より)

 まず、腰椎に問題がある場合と仙腸関節に問題がある場合の鑑別を、検査によって行なうことが必要であること。これに関しては、すでに症状の聞き取りからはじめて、オーソぺディック検査などを行なって鑑別をしていますが、その方法をもっと深めて見たいところです。

 そして、仙腸関節のサブラクセーションは、小さく2㎜を超えることがないが、アジャストすると症状を改善することができるということ。これは、日々施術をしながら、実感していることです。確かに仙腸関節の変位はごくわずかで、触診しないと分かりませんし、アジャストしても、クリック音は出ません。

 カパンディ著『関節の生理学』には、「仙腸関節の可動域は小さく、またこの関節の機能や分娩中の動きとの関連については研究者の間で意見の一致をみていない」と記されています。この本の原著は20世紀半ばに書かれたようですが、その後どのように発展したのでしょう。医学分野では、腰痛に関して仙腸関節を問題にすることはあまりないようですから、まだ統一した見解はないのかもしれません。

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カイロプラクティックも繰り返し学ぶことが必要

 ある特殊な症状の原因とそれに有効な施術を調べるために、カイロプラクティックの専門書やノートなどを引っ張り出してみました。残念ながら、求めていたことは見当たりませんでしたが、久しぶりに読んでみると、新しい発見があります。

 ひと通りは読んでいたつもりですが、以前と違った気持ちで紐解いてみると、読み過ごしていたことや、同じことでも新鮮に感じることがます。ある程度の期間、カイロプラクティックの技術を用いて施術を行ない、そこそこ改善できるようになると、すべてが分かっているように錯覚してしまうようです。

 しかし、まだまだ研究を深めないと、カイロプラクティックの本質はつかみきれないような気がします。やはり、地道に繰り返し学ぶ姿勢が大切なようです。しかも、ただ延々とした繰り返しではなく、問題意識を持ったときが、チャンスではないかと思います。

 「あおぎりカイロプラクティックの施術日誌+α」では、本来、勉強の記録も書くことにしていますので、これから専門書のまとめなどに、少し重点を置いて記していきます。カテゴリーとしては、「施術研究」です。但し、読みものとしては、面白くない、退屈なものになると思います。

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感覚的に共感するのが難しい症状もある

 あおぎりカイロプラクテッィックに来店される方は、様々な症状を訴えてこられます。できるだけ、その痛みやシビレに共感して、改善に手を尽くしたいと心がけています。しかし、これまで自分が体験したことがあることやそれに似た症状は、だいたい分かるのですが、未体験の痛みやシビレなどは、残念ながら分かりにくいことがあります。

 たとえば、「腰が抜けそうになる」という腰痛の訴え、以前腰椎がズレ落ちそうになる感覚は体験したことがありますが、抜けそうになったことはありません。「抜けそう」というのは、肩の痛みを表現するときにも使われることがありますが、どうも感覚的に分かりづらいところです。

 今日は、「腰がシビレる」と訴えて来られた方がありました。手や脚のシビレはイメージすることができますが、腰のシビレとなると、もうひとつピンと来ません。おそらく、チリチリした痛みがあるのだと考えられますが、腰の場合ははじめてです。

 また、広島弁で、重い痛みを表現する「ニガル」という言葉があります。広島に永く住んでいますが、これもなかなか、分かったようで分かりにくい。もうひとつ、「ハル」あるいは「ハリがある」という訴え、これはよく使われるのですが、実は経験がないので、実際の感覚としてはよくつかめない症状なのです。

 そうはいっても、自らその症状を引き起こして、体験するということはできませんから、来られた方の主訴を丁寧に聞くことに努めて、できるだけその症状に寄りそって、施術することを心がけたいと思っています。

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使える 仙腸関節のオーソぺディックテスト

 「自動車を長く運転していると、腰の右後と右側の鼠径部が痛くなる」とKさん(男性 30代)が、来店されたので、先日勉強した仙腸関節のオーソぺディックテスト(整形外科検査)を行ないました。

 鼠径部に痛みが生じるのは、仙腸関節に問題がある場合、腸骨の前上方変位または内方変位が考えられますが、「坐った姿勢を続けていることから起こる痛み」という状態からは、いずれか判断しかねます。下肢挙上検査は、陰性でした。

 カイロプラクティックの検査をなった後、ゲンズレン検査とニュートン検査を行ないました。カイロプラクティック検査では、右腸骨の内方変位および後下方変位という結果がでました。次いで行なったゲンズレン検査は、前上方への変位はないことが、さらにニュートン検査では、内方変位があることが確認できました。

 カイロプラクティック検査だけでも十分なのですが、オーソぺディックテストを併用すると変位の方向が一層はっきりします。「疼痛誘発テスト」ですので、関節の可動制限が曖昧で分かりにくい場合は、特に活用できそうです。

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仙腸関節のオーソぺディックテスト ②

 昨日に続いて、仙腸関節の整形外科検査(オーソぺディックテスト)第2弾です。これは、主に、腰痛および股関節痛の原因が、仙腸関節にあるかあるいは股関節にあるかの見極めに用いる方法です。

  1. フェィバー・パトリック検査(Faber(フェィバー)とは、股関節のflexion(屈曲)、abduction(外転)、external rotation(外旋)の略称)
     患者は仰臥位。一方の下肢を自然伸展位、検査側の下肢の膝関節・股関節屈曲、さらに股関節を外転・外旋。検査側の脚をもう一方の下肢・膝の少し頭方に置く。
     検者は、一方の手で検査しない側のASS付近を固定し、もう一方の手で、患者の屈曲した膝を上方より抑えて、軽く床方向へ押す。
     ⇒腰部に疼痛が出る場合、変形性股関節症、股関節炎。
       鼠径部に痛みが出る場合は、完骨臼部の退行性萎縮の可能性あり。
       膝関節に痛みが出る場合は、膝関節内側に異常の可能性あり。
       下肢(屈曲または伸展している)に疼痛がある場合、仙腸関節の異常。
  2. アリス検査
     患者は仰臥位。両膝を屈曲して立て、足底をぴったり床につける。左右の膝の高さを比較する。
     ⇒膝の高さの低い側に股関節脱臼の可能性がある。

 これまで、仙腸関節、股関節に対する整形外科検査は、あまり行なってきませんでしたので、カイロプラクティックの関節検査と照らし合わせながら試行します。そして、取捨選択して適切なものを取り入れ、より確実な検査ができるようにしたいと思います。

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仙腸関節のオーソぺディックテスト ①

 仙腸関節の異常をチェックする整形外科検査(オーソぺディックテスト)です。これまで、カイロプラクティック検査を主として用いてきましたが、より確実に検査を行なうために、補足的に用いてみることにします。痛みが出れば、陽性で、仙腸関節に異常があります。

  1. ゲンズレン徴候
     患者仰臥位で、膝を屈曲しさらに股関節を過度に屈曲させる。または患者伏臥位で、股関節を伸展させる。
    (屈曲陽性・・・腸骨後下方変位。伸展陽性・・・腸骨前上方変位)
  2. ポンプ・ハンドル検査
     患者仰臥位で、下半身を捻転させて、骨盤と上半身を逆に捻る。
    (陽性側の腸骨外方変位)
  3. ニュートン徴候
     第1法 患者仰臥位。両側のASSを両手で外側から圧して仙腸関節を離開、もしくは内側から圧して仙腸関節を圧迫する。または恥骨結合部を手掌で静かに押す。
    (離開陽性・・・腸骨外方変位。圧迫陽性・・・腸骨内方変位)
     第2法 患者側臥位。大転子付近を圧迫し、仙腸関節に圧を加える。
    (陽性側の腸骨内方変位)
     第3法 患者伏臥位。仙骨下部ないし尾骨部を圧迫、仙腸関節を回旋させる。
    (陽性側の腸骨前上方変位)
  4. ルーイン・スパイン検査
     患者仰臥位。膝を押さえて、下肢を伸ばしたままで起き上がる。
    ⇒起き上がれなかったら、坐骨神経痛、腰椎椎間関節炎、腰椎仙骨間関節炎、仙腸関節炎、腰部筋炎などが疑われる。
    (いわゆる脚伸ばし腹筋ですよ。この動作は、腹直筋が弱っていると難しいのでは? それに腰に負担がかかりそうですね。実際には使えそうにない)
  5. 下肢挙上検査
     患者立位。患者のPSSに両母指をあてる。膝をゆっくり挙上してもらう。
    (これは、めったにしませんが、カイロプラクティック検査でも行なわれます)
    ⇒正常ならば、挙上した下肢側のPSSが下へ動きますが、異常があると、動かないか、もしくは上へ上がります。
    (陽性・・・腸骨前上方変位)

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腰痛・脚痛・坐骨神経痛 問診項目を作りました

 腰痛の問診に関して、かなり前には「BS-POP 慢性腰痛質問表」を、最近は「RDQ 腰痛特異的QOL尺度 調査項目」を使っていました。しかし、前者は心因性の慢性腰痛をチェックするものであり、後者も腰痛によるQOL(生活の質)を追跡調査するものですので、腰痛の原因を、この調査票で追究するには、どうも使い勝手がよくありませんでした。

 そこでこのたび、仙腸関節の変位を基礎にした「腰痛・脚痛・坐骨神経痛」特定の調査項目を新たに作成しました。心因性の原因を問うものは入れていません。QOLに関するものも、関節変位による腰痛の原因と結びつくものだけに限定しました。

 これを用いることで、来店者の主訴をあまねく聞くことができると期待しています。もちろん使っていく過程で、無駄なものは取りやめ、必要と気づいたものは新たに取り入れるようにして、絶えず進歩させようと思っています。

 来店された方の話をよく聞いて、考えられることはすべて行なっているつもりでも、さまざまな症状の方がありますから、時として「あの検査をした方が良かったかも」とか「別の施術の方が適切だったかも」など、後で反省することもあります。腰痛だけでなく、その他の箇所に関しても、検査方法も含めた問診調査票を、作ってみるのもいいかもしれません。

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民間療法では十分に活用できないRDQ

 「RDQ(Roland-Morris Disability Questionnaraie) 腰痛特異的QOL尺度 調査項目」という腰痛の状況と改善の具合を示す指標があります。ある代替医療専門誌に紹介されていましたので、翻訳されたものを取り寄せて、しばらく使ってみました。

 紹介記事には、腰痛の機能障害と治療による改善の状況を客観的に示すことができるものとして、医学の立場から使われているが、今後カイロプラクティックにおいても、治療効果の比較・研究に使うべきであると提言しています。

 しかし、民間療法ではどうも使い勝手が悪いようです。一般の医療でも同じようなことがあるかもしれませんが、改善した人が状況報告のために再来店することは、ほとんどありません。そのため、日常生活における改善の結果を調査することは困難です。

 また、質問項目は、いくつかは重複しているようなものがあって、必ずしも腰痛の多様な状態を明らかにすることになっていません。ポイントを絞り込むことにならないため、残念ながら十分矯正や施術に活用することがでず、別途聞き取りが必要になります。ただ、これはあくまでQOL(生活の質)尺度の調査ですから、仕方がないですかね。

 もっと、腰痛の状況を正確に把握して、矯正・施術に活用できるように、この調査項目を参考に、独自の調査項目を考えてみようと思います。客観的な改善の比較や研究という点では役に立たないかもしれませんが、腰痛の改善が第一です。

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施術用ツール(ピットイン)を使うことにしました

 これまで、あおぎりカイロプラクティックでは、「機械や道具を使わない」手技一本での施術をセールスポイントにしてきましたが、一大決心をして、施術の中にピットインという道具(写真参照)を取り入れることにしました。Imgp1833_edited 施術用につくられた金属性の道具で、さまざまな施術に応用できそうです。

 というのは、特に髄節パートを施術する場合、指だけでは圧力が限られているため、十分な刺激が加えられないからです。確かに指の方が、施術をしながら経穴の位置をとらえたり、周辺の組織の状態を見るのには良いのですが、そこは事前に指で、位置を確認して、周辺組織の状況も観察しながら使うことで補足します。

 それと、このところ右手首がオーバーユース症候群になっているのか、1ヶ月以上痛みが続いていので、できるだけ負担を少なくして、長く仕事を続けられるようにしたいと思ったからです。基本的にカイロプラクターは、指で関節の変位を検査するので、感覚を鈍磨させないために指の酷使はしないことが原則です。しかし、筋肉の調整を行なうのに中国整体を併用しているため、どうしても指や手首を使わざるをえないという矛盾を抱えていました。

 それらの問題を解決する手段として、ピットインを使うことにしました。おかげ様で、お客さんの反応も良いようです。但し、体型に応じて、押圧する時間を調整したり、力の加減をしたりしています。場合や施術箇所によっては、指を使うこともあります。まだ使い方がぎこちないのですが、道具は使いこなすことが大事ですから、無理をせず状態に応じて臨機応変に使っていきたいと思っています。

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姿勢の歪みは肥満の原因になるのだろうか?

 昨日あるテレビ局から、あおぎりカイロプラクティックに取材の打診がありました。いろいろやりとりしている内に、どうも取材のテーマは、「姿勢の歪みとダイエット」にあることが分かりました。残念ながら当店では、ダイエットは扱っていませんし、姿勢矯正とも結びつけていないので、その旨を話したところ、相手の方から引いていきました。

 ウェートコントロールは、適度な運動(有酸素運動と無酸素運動の組み合わせ)と摂取エネルギーの調整以外にないでしょう。「骨盤矯正ダイエット」も「耳ツボダイエット」も、よく調べてみると、施術と合わせて運動と食事の指導を行なっているところが多いようです。

 脊柱関節の変位によって神経が圧迫され、さまざまな症状を引き起こすというのが、カイロプラクティックの古典的な考え方ですが、神経圧迫による発症自体、未だに科学的な証明がなされておらず、経験医学の域を出ていない状況です。さらにそれが肥満に結びつくかどうかよく分かりません。

 「骨盤矯正ダイエット」というのは、ここ最近考え出されたコンセプトです。「姿勢の歪みとダイエット」というのも、その辺から派生してきたものだと思います。特に肥満、というよりスタイルに関連すると思われるのは、左右の腸骨が開いた状態=「ダブルEX」が思い浮かびますが、本来正常な靭帯等で結合している骨盤ではあり得ないことと言われています。

 デトックスバスやマイナスイオンのように、すぐ化けの皮が剥がれるのも困ったものですが、そうは言っても、「骨盤ダイエット」もこれほど一世風靡しているのですから、姿勢矯正との関連も含めて、折を見て虚心坦懐に研究してみるのもいいかもしれません。 

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痛圧刺激法の施術パートの系統的分類

 痛圧刺激法は、『無血刺絡の臨床』(長田裕著)にもとづいて行なっています。現在、施術に活用しながら学んでいるところです。施術を行なうパートおよびポイントについて、整理してみました。

 8分割傍脊椎髄節パート(One 8th Dvided Para-spainal Dermal Segmental Part):①百会パート(Hyakue Part)、②脳パート(Brain Part)、③首パート(Neck Part)、④肩パート(Shoulder Part)、⑤背パート(Thoracic Part)、⑥肝胃パート(HepatoGastric Part)、⑦腰パート(Lumbar Part)、⑧仙骨パート(Sacral Part)。

 ここまでは、脊柱から骨盤にかけての基本的な体幹のパートです。自律神経を調整するのにな施術上とても重要な箇所ですから、すでに施術に応用しています。これに対して、これから後の部分は、かなり細かい部分で、基本パートを行なったうえで施術すれば、改善を早めるという位置づけになっています。一部には取り入れているところもありますが、おいおい研究していることろです。

 その他髄節刺激パート(Other DermalSegmental Part):耳パート(Ear Part)、眼パート(Eye Part)、鼻パート(Nose Part)、口腔パート(Oral Part)。

 局所髄節パート(Focal Dermal Segmental Part):膝パート(Knee Part)、脛骨神経パート(Tibial Nerve Part)、足パート(Foot Part)、肩関節パート(Shoulder Joint Part)。

 末梢神経刺激ポイント:上肢帯 ①腕神経叢ポイント(Brachial Plexus Point)、②SCMポイント(Sternocleidomastoid Point)、③腋窩神経ポイント(Axillary Point)、④橈骨神経ポイント(Radial Nerve Point)、⑤内側前腕皮神経ポイント(Medial Antebrachial Cutaneous Nerve Point)、⑥筋皮神経ポイント(MusculoCutaneous Nerve Point)、⑦橈骨神経手首ポイント(Radial Nerve at the Wrist Point)、⑧正中神経ポイント(Median Nerve Point)、⑨尺骨神経ポイント(Ulnar Nerve Point)。

 末梢神経刺激ポイント:下肢帯 ①大腿神経ポイント(Femoral Nerve Point)、②外側大腿皮神経ポイント(Lateral Femoral Cutaneous Nerve Point)、③伏在神経ポイント(Saphenous Nerve Point)、④総脛骨神経ポイント(Common Peroneal Nerve Point)、⑤浅腓骨神経ポイント(Superficial Peroneal Nerve Point)、⑥深腓骨神経ポイント(Deep Peroneal Nerve Point)、⑦後脛骨神経ポイント(Posterior Tibial Nerve Point)、⑧腓腹神経ポイント(Sural Nerve Point)。

 末梢神経刺激ポイント:腰部帯 ①上殿皮神経ポイント(Superior Cluneal Nerve Point)、②中殿皮神経ポイント(Middle Cluneal Nerve Point)、③胸腰筋膜ポイント(Thoracolumbar Fascia Point)。

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腰痛に、RDQの活用を検討しています

 昨年10月の記事で、RDQのことに触れ、改善の状況を客観的に評価するスコアとして、研究してみたいと書きました。少し時間が経過しましたが、ようやく福原俊一教授(京都大学大学院医学研究科医療疫学)編著『RDQ 日本語版マニュアル』を入手することができました。

 RDQというのは、Roland-Morris Disability Questionnaireの略で、腰痛特異的QOL尺度のことです。当日の時点での日常生活における腰痛の具合や影響を調査します。整形外科診療(リハビリを含む)のみならず、鍼灸あんまや整体などの代替医療その他も活用できる場面とされています。そしてRDQの活用方法として、次の項目が挙げられています。

  1. 腰痛が患者にどれくらいの負担になっているかを定量的に評価する
  2. 腰痛と関連すると考えられる要因と患者のQOLとの関連を検討する
  3. 腰痛の治療やケアが有効であったかどうかを縦断的に評価・比較する
  4. 患者の自己評価と臨床医などによる他者評価との違いを明らかにする

 さらに、RDQは、断面研究、コホート研究、臨床試験など様々な研究に使用できるとして、基準値とか偏差得点の算出方法とかが解説されていますが、これらは、おいおい勉強してみるにしても、施術には直接関係ないようです。

 代替医療でしかも民間療法の場合、RDQを使う一番の問題点は、一度改善した方は、再発したり、他のところに症状が出たりしないかぎり再来店されないということです。そのため施術の効果を確認できるのは、基本的に施術直後しかありません。質問項目をみると、施術直後には答えられない内容です。その後の日常生活での腰痛の影響を調査するのはちょっと困難かもしれません。

 そうなると初志が貫けないことになりますが、少し工夫をしてみる必要がありそうです。しかし、RDQは、改善状況の確認のためだけではなく、これまで行なってきたいわゆる腰痛に関する問診を、客観的な指標にもとづいて行なうことに活用できそうです。

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下肢挙上(SLR)テストの鑑定方法

 腰痛で来店された初回の方には、必ず下肢挙上(ストレイト・レッグ・ライジング:SLR)テストを行なうようにしています。脚部や臀部にシビレがある場合はもちろん、腰痛のみ訴えられる場合も、椎間板ヘルニアなどによる腰椎神経根圧迫の可能性があるからです。

 SLRテストは、仰向きに寝て膝を伸ばした状態で、検者が下肢全体を上げて行きます。臀部から膝下に痛みがでると、腰椎5番と仙骨1番の間の神経根に異常がある可能性があります。難しいのはハムストリングスと下部腰椎の牽引痛との区別です。

 ハムストリングス・下部腰椎の牽引痛の場合は、痛みが出た角度を維持したまま股関節を内転・外転を行なっても、痛みは変わりません。ところが神経根障害による坐骨神経痛がある場合は、内転時に痛みやシビレが増強し、外転時に緩和します。さらに脚を下げるときにも痛みやシビレがある場合は、明らかに陽性反応です。

 そのほかにも、ボンネットテストというSLRテストで陽性反応の出た角度で股関節を内転・内旋させて、痛みやシビレの増強を確認するものもあります。また神経の反射を調べる検査もあります。膝を叩くと足が上がる膝蓋腱反射の検査は、この反射が低下していると第4腰椎神経の神経根が傷害されている可能性があります。また、第1仙骨第神経の障害を調べるための、アキレス腱を叩く検査もあります。

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無血刺絡との融合を検討する

 長田裕さんの大著『無血刺絡の臨床 通圧刺激法による新しい臨床治療』を入手し、いま研究しています。「無血刺絡法」は、「安保免疫学」に基づいて、デルマトーム理論と東洋医学を組み合わせた新しい方法です。神経支配域にあるツボを刺激することによって、様々な疾患の原因となる交感神経の過緊張を抑えます。

 デルマトーム理論も諸説あって、まだ完全に統一されてはいないようですが、カイロプラクティックの椎間神経による神経支配は、その理論に基づいています。カイロプラクティックの施術は、整形外科的な疾患に対応するものとみられがちですが、実はそれに限らず、脊椎の神経支配の及ぶところはすべて改善の対象となっています。

 また、当店の中国整体は、筋肉や関節の調整・矯正を中心とした施術体系ですが、経穴経絡を刺激する手法も含まれています。刺絡というほど繊細で鋭利な刺激ではありませんが、指を使った技法がありますので、それを応用できるのではないかと考えています。

 「無血刺絡法」は、Pressing Pain Stimulation Technique(痛圧刺激法)と英訳されていますが、文字通り「痛圧刺激法」として、カイロプラクティック・中国整体と融合させて応用できないものかと検討しています。もちろん、刺抜きセッシという先の尖ったピンセットの使用や血液採取による白血球の成分分析をせずに応用する方法です。

 本来の「無血刺絡法」ほどの効果は期待できないかもしれませんが、自律神経をコントロールすることによって痛みや痺れを、これまで以上に和らげることができれば。さらにカイロプラクティックでは、禁忌症とされている関節や骨そのものの変形である器質的な疾患から来る症状にも、対応できるようになればと思っています。

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SNAGS 持続的椎間関節自然滑走法

 ブライアン・マリガンの代表的な手技のひとつに、SNAGS(Sustained Natural Apophyseal Glides 持続的椎間関節自然滑走法)があります。頚椎から胸椎、腰椎、仙腸関節のみならず、四肢関節にも応用することができます。

 関節に対するモビライゼーションですが、振動法ではなく、自動運動をともなう持続的滑走法です。しかも、座位や立位など体重を関節に負荷した状態で行なうため、回復した機能を持続することができます。また、自動運動をともなうため、最終可動域でオーバープレッシャーを加えて、改善を補助することも可能です。

 しかも、施術にあたって痛みを出さないことこそ、障害に適応している証拠ですので、安心です。痛みを誘発する場合は、施術する方向、箇所もしくは施術そのものが適していないことを示していますので、直ちに方向修正、または中止することになります。

 カイロプラクティックの方が有効と思えるような手技もありますが、関節に対する瞬間急圧矯正(スラスト)を行なわない、いわゆるソフトな施術です。ですから、骨粗鬆症気味の方や構造上の問題がある方にも適用できるのではないかと考えています。

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興味深い『マリガンのマニュアルセラピー』

 ニュージーランドの理学療法士、ブライアン・マリガンの著書『マリガンのマニュアルセラピー』を勉強しています。

 カイロプラクティックのスラストという瞬間的な手技と違って、自動運動とモビライゼーションの併用や振動的モビライゼーションという関節を繰り返し滑らす方法など、読んでいてとても参考になります。

 横になった状態で施術をうけると、重力負荷がないため、施術の後で立ち上がったときに効果がうすれるという弊害をなくすため、脊柱に重力負荷のかかった立位・座位での施術を中心に展開しています。

 カイロプラクティックにも、座位で行なうものがあります。これまであまり意識せずに行なっていましたが、改めてその有効性を確認することができました。

 ただ、マリガンメソッドには、患者を固定する特別なベルトを使ったり、助手が必要な技術が多いので、内容をよく検討して、応用できたらと思っています。さらに、理学療法の手技なので整形外科医との連携が基本になっているためか、独自の検査がありません。ここはカイロプラクティック検査の出番でしょう。

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腰椎の椎間関節矯正を学びなおす

 ものごとを身につけるためには、繰り返しが必要です。頭で分かっただけでは、すぐ忘れることが多い。カイロプラクティックの検査や矯正も同じです。しかし、目的が明確にならないと、なかなか学習のモチベーションが続きません。

 ところが、来店される方の症状が簡単に改善しないとき、何とか他に手段はないものか、これまでの方法が見当はずれになっていなかったかなど考えさせられ、これがいいキッカケになります。何とか改善したいという思いが、再学習の意欲になります。

 このところ、椎間関節性腰痛について考えています。これまで、もっぱら腰痛といえば、もっぱら仙腸関節の変位を中心に施術してきました。もちろん、腰椎椎間関節の変位を検査して矯正することもありましたが、副次的な扱いをしてきました。

 しかし、この間、仙腸関節の変位だけでなく、腰椎椎間関節の変位で、放散痛が起こることを改めて認識しました。このことは、ネット上でも、椎間関節痛を取り扱ったページがあまり多くないことや、椎間板ヘルニアと混同をしているところも見られますので、比較的新しい知見ではないかと思います。

 これまで、なかなか根本的な改善に至らなかった「慢性腰痛」」の中にも、ストレスが原因と決めつけられないものがあったのではないかと思っています。そのためにも、腰椎椎間関節の検査と矯正を、もっと緻密に行なう必要性を感じています。X線検査で異常がないという場合も含めて、慎重な態度で臨みたい。

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当店では、マッサージは行なっておりません

 マッサージを業とするためには、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」の第一条で、「医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業とする者は、それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を受けなければならない」と決められています。

 ときどき、はじめての方で「お宅は、マッサージ1回でいくらですか」とか、「身体のズレを治して、マッサージをしてもらいたいのですが」といって、照会してこられる方がいらっしゃいます。残念ながら当店では、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師免許は、いずれも持ち合わせておりません。施術は、「カイロプラクター」と「中国整体士」の民間資格で行なっております。

 ホームページその他宣伝において、一番関心の高い「腰痛・肩こりの改善」を強調することも多いですし、手技を用いることは共通していますので、一般にカイロプラクティック・整体と、あん摩・マッサージ・指圧との区別が、十分にご理解いただけていないのではないかと思います。

 問い合わせがあったときには、できるだけ説明させていただくよう心がけておりますが、あまりにも正面からマッサージを要求されると、困ってしまいます。無免許施術の違法行為になりますので、申しわけございませんが丁重にお断りせざるをえません。

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もっと深めたい「無血刺絡療法」

 長田裕氏の『無血刺絡療法 自然治癒力を引き出す未来の医療』を読みました。ただ、この本は、無血刺絡療法を広く知らせる入門書的な本のようですので、具体的な方法については、あまり詳しく述べられていないのが残念です。

 無血刺絡療法というのは、長田氏の創案した治療法で、「東洋医学のツボと西洋医学のデルマトームをミックスさせ」て、鍼を使わずにツボ刺激をする「髄節刺激療法」という治療方法です。その刺激によって、自律神経反応を導いて自然治癒力たかめ、疾病を改善・治癒します。肩こり、腰痛、神経痛から、関節リウマチ、パーキンソン病、膠原病、果ては癌にいたるまで様々な疾患の改善が報告されています。

 これを当店の施術に応用できれば、素晴らしいと思いますが、無血刺絡療法には、少し壁があります。長田氏は医師の立場から、血中のリンパ球の割合を検査して、改善の度合いをチェックすることができます。さらに、交感神経を刺激する服薬を中止させたり、制限することができますが、民間療法ではそうはいきません。

 それに、本書の冒頭に、「さて読者の皆さんは、爪揉みでパーキンソン病が改善したと聞いたら、『うそでしょ』とか『本当だろうか?』と疑うと思います」と述べられています。爪揉み療法は、無血刺絡療法の前段階ともいえるものだと思いますが、今はまだ私のとらえ方も、その「読者の皆さん」の段階と大差ありません。

 しかし、病気を治すのは最終的には、自己(自然)治癒力ですから、それを大切にしたいという思いは強くあります。医師や鍼灸師でなくとも応用できるかどうかという懸念もありますが、もっと深めて「無血刺絡療法」の真髄を知りたいですね。 

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できれば施術は、一番つらいところ1ヶ所に限定したい

 来店される方の痛みや不調で困っておられるところが、腰や首・肩、膝や腕など一ヶ所にとどまらないことはよくあることですが、施術する側としては、一番つらいところに限定してあたりたいというのが本音です。初めての方の場合は、特にそうです。

 カイロプラクティックの場合、検査を重視しています。どの関節がどの方向に変位しているのは、見極めることからはじまります。その上で、矯正を行ないますが、当店の場合はその検査の結果によって、中国整体の施術方法も決めています。それで改善しない場合は、施術しながら、関節の変位を確かめて別方向から矯正します。

 かなりの集中力と時間を要しますので、できれば1ヶ所に限定させていただきたい。ここも、あそこもというふうになると、十分に改善するところまで施術できないことがあります。もちろん全身が疲れているという方には、それに対応した中国整体での全身疲労回復施術を行いますし、それはそれで満足していただいていますが、しかし、局限的な痛みには、十分に対応しきれないこともあります。

 これは、カイロプラクティックという施術の内容を、必ずしも十分理解いただいてないことからくることだと思います。そういう点ではこちらに責任があることです。今後、より完璧な改善をめざして、ご来店いただいた方の一番つらいところに、焦点をあてた施術を第一にさせていただきます。そして、余裕があれば、他のところもみさせていただくようにしたいと思います。

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「無血刺絡療法」の勉強をはじめました

 「安保免疫学」を臨床に適用した長田裕氏の『無血刺絡療法 自然治癒力を引き出す未来の医療』を勉強しています。実際の治療という側面から「安保免疫学」を見ることができます。

 やはり交感神経にも副交感神経にも偏らない自律神経の中庸を保つことによって、自然治癒を促す方法です。肩こりや腰痛、シビレ、だるさはもちろんのこと、これまで当店の施術では、手が付けられなかった、パーキンソン病や脳神経系の疾患、リウマチなどの自己免疫疾患を治癒したことも紹介されています。

 数ヶ月から1年くらい長期の治療でリンパ球の量を比較するなど、方法としては、医師による鍼灸系の治療のようです。まだ勉強は、緒に就いたばかりですが、当店でも何か生かすことができないか、興味しんしんです。

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改善の状況は、率直に言っていただいた方がやりやすい

 Kさん(20代 男性)が、「仰向けになると腰が痛い。寝るときには腰にマクラをあてて、なんとかしのいでいます」と、久しぶりに来店されました。

 下肢挙上検査では、両側とも挙上45度あたりで、ハムストリングスの張りとともに足先までのシビレがありました。坐骨神経痛症状の訴えはありませんでしたが、椎間板に障害がある疑いがあるので、慎重に施術しました。

 関節の検査をしたところ、右腸骨の後下方変位と第5腰椎の右前方変位があったので、うつ伏せの状態で軽く矯正しました。さらに背柱起立筋と臀部筋群、ハムストリングスなどの調整を行いながら、Kさんに様子を聞いてみると、「だいぶん良くなったけど、まだ左側のお尻あたりに、痛みが残っている」との応えがありました。

 「それでは」と、もう一度、仙腸関節の左腸骨の動きをチェックしてみたところ、はじめははっきり分からなかったのですが、外側への動きに制限があり微妙に内方変位があることが判明しました。早速、同じくうつ伏せで矯正を行なったところ、Kさんは、身体を動かしてみて、「すっかり調子が良くなった」とのこと。

 症状によって、一度の矯正ですっかり改善する場合もありますし、すぐには改善せず何回か来店いただくような場合もありますが、施術後の問いかけには、遠慮したり気を使ったりせず、Kさんのように「まだここが痛い」と、率直に状況を言っていただけたら幸いです。

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「安保理論」も現在研究中

 「マイナスイオン」の件で、Tさんに「安保理論」にもとづいた説明をしましたが、「安保理論」そのものについては、まだ確信がもてていません。ただいま研究中といって良いでしょう。

 確かに、交感神経と副交感神経という自律神経のバランスが大切で、いずれかが優位の状態が継続すると免疫機能に偏りができて、それがベースとなって病気を発症する可能性があることは分かりますが、すべての疾患をそれで片付けていいのか。

 働きすぎなどの交感神経優位の状態やゆったりした運動不足の副交感神経優位の状態が長期間続くのではなく、適度に働いて適度に休んでいれば、確かに病気になる確率は下がるかもしれません。

 しかし、それですべての病気が根絶できるのか、現代医学の治療法を否定できるのかといえば、まだ疑問が残ります。消炎鎮痛剤の多用は問題なのかもしれませんが・・・。

 それに安保徹教授の医学的な専門書は別として、一般向けの本では、特に社会認識の分野で、科学者に似つかわしくない独断が多いような気がします。しかし、基本的には免疫力・自然治癒力を重視した非常に興味深い考え方ですので、もっと研究してみようと思っています。

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客観的に追究してみたい改善の程度

 当店に来店された方に施術した後、症状の具合をたずねると、ほとんどの方が来店時より「楽になった」とか、「痛み(シビレ)がなくなった」、「身体が軽くなった」と言われます。

 関節のフィクセーション(固着)やサブラクセーション(亜脱臼)、筋肉の硬直などの改善については術後検査をすれば分かるのですが、痛みやシビレがどうかということについては、症状を訴えておられる方にしか分かりません。

 施術後の声を聞くと、少しでも痛みを軽減することができたようで、嬉しい限りなのですが、主観的な感想なので、どの程度改善されたのか、客観的に評価してみたい思いがあります。

 しかも、改善された状態が、どの程度続くのか、今後の施術方法を考える上でも、また施術者の技量レベルの向上を図る上でも知りたいところです。

 幸いにも、腰痛に関しては、医学的に研究・開発されたRDQという質問項目に答えてもらうことで、改善の状況がわかるスコアがありますので、これから、研究してみようと思います。 

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己の欲する所を人に施せ

 孔子の『論語』に、「己の欲せざる所は人に施すこと莫れ」という言葉があります。もともと、どのような流れの中で使われた言葉かという考察は、省きますが、この言葉だけから汲み取れる意味は、「自分がして欲しくないことを人にするな」ということでしょう。

 自分がして欲しくないことは、他の人もして欲しくないでしょうから、当然のことですね。でも、人と接するにあたっては、よく考えて注意していないと、つい悪意はなくても無意識に、己の欲せざるところを人に施してしまうことがあります。

 そこで、常にわたしはこの反対のこと、つまり「己の欲する所を人に施せ」を意識して施術しています。「この筋肉が硬直しているから、ここを按法で圧せば気持ち良いだろうなぁ」とか、「ここを滾法や推法でほぐしたら、痛みが楽になるだろうなぁ」とか考えながら、同時に施術を受ける方にも伺いながら、すすめていきます。

 ですから、自分が調子が悪いときには、分身ができて、自分がして欲しいところに関節矯正や筋肉の調整をしてもらえたらどんなにいいだろうと、できもしない妄想を抱くことがあります。「己が欲する所を己に施す」・・・良いなぁ。

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カイロプラクティックでは、股関節脱臼の修復はできません

 昨日、「はじめてなんですけど、股関節を脱臼したかもしれないので、みてもらえますか」と電話が入りました。残念ながら、脱臼の修復は医療行為であり、民間療法であるカイロプラクティックでの施術は認められていません。「カイロプラクティックでは脱臼の治療はできませんので、まず整形外科を受診してください」と、丁寧にお断りしておきました。

 カイロプラクティックは、関節が部分的あるいは不完全に脱臼した状態(亜脱臼)や可動域が減少した状態を改善することを基本にした手技です。

 一般の方には、脱臼も亜脱臼も関節の故障ですから、その区別はなかなか分かりにくいところだと思いますが、脱臼は、関節から骨が飛び出した状態であり、亜脱臼は少なくとも関節の中に、骨がまだ納まっていて正常な位置からズレた状態です。

 お断りせぜるを得なかったのは心苦しいことでしたが、困ったときに、当店を頼りにしていただいたことは嬉しかったです。

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