交感神経の緊張が痛みの悪循環を生み出す
慢性痛について調べていると、NTT東日本関東病院ペインクリニック科の塩谷正弘部長が著した『痛みの専門外来 ペインクリニックがわかる本』という本を見つけました。痛みを治療する専門の医療部門であるペインクリニックは、神経ブロックがその中心的な治療法となるようです。
そのなかに、交感神経の緊張と痛みに関して、興味深い記述がありました。交感神経ブロックは、痛みの悪循環を断ち切り、自然治癒力を高める技術ということです。あおぎりカイロプラクティックで行なっている髄節点法も、髄節ポイントを刺激することで、交感神経の過緊張を和らげることを狙っていますから、ベースになる考え方は共通しているようです。
ペインクリニックの神経ブロックが、局所麻酔薬や神経破壊薬、あるいは高熱や冷凍によって、神経そのものに直接作用させるのに対して、皮膚ポイントを刺激する髄節点法は、知覚神経からの反射によって、交感神経に働きかけていくことになっています。民間療法ですから、刺激も穏やかで、安全ですが、作用はかなり緩慢になります。
ペインクリニックの存在理由は、単に痛みをとめることにあるのではないのです。
痛み止めの薬と同じように、効果の持続期限がくれば数時間単位でまた痛くなる、というのでは、ペインクリニックが存在する意味はまったくありません。痛みそのものの根元を断つ効果がある点こそ、ペインクリニックの最大の特徴のひとつです。
例えば、急性の椎間板ヘルニアの場合、数回の神経ブロックで、しばしば痛みから解放されます。それも、もっともよく使う薬は二、三時間たてばすっかり効力を失ってしまう局所麻酔薬なのですが、薬が効き目をなくしてしまっても痛みは取れたままです。
なぜなのかというと、神経ブロックは、悪循環に陥っている痛みの反射路(痛みが中枢に伝わる道)を断ち切ってしまうからです。体は痛みがあると、それに対する防御反応として交感神経などが緊張し、血流が悪くなったり筋肉が緊張したりします。すると、本来なら血液が運んできてくれる酸素が不足し、血液が運び去ってくれるはずの代謝物質はたまってしまいます。
こうして体内の秩序が乱れると、乱れた部分で新しい痛みが生まれます。痛みは長く続くと、どんどんその度合いが増してくるように感じることがあります。それはまさに、痛みの悪循環のせいです。神経ブロックは、最初の痛みをおさえることで防御反応としての交感神経の緊張をやわらげ、この痛みの悪循環を防ぐのです。
『痛みの専門外来 ペインクリニックがわかる本』より引用
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