クリニカルマッサージ

小胸筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 過外転症候群を引き起こす小胸筋への手技は、これまでもっぱら烏口突起の小胸筋付着部付近を直接押圧する母指点法を行なってきましたが、『クリニカルマッサージ』のテキストを見ると、小胸筋の起始部や筋腹にコンタクトする方法もあるようです。

ストリッピング

  • 患者は背臥位をとり、腕をわずかに外転させ、肘を曲げる
  • 術者は患者の肩の傍に立つ
  • 指先が乳頭の下方に向けて胸部の対角線になるように、四指を乳頭より少し上で、大胸筋外側の胸郭上に置く
  • 小胸筋と第5肋骨の付着部に指が達するまで、胸郭に沿って大胸筋の下で圧迫する
  • 四指で筋肉を押圧し、腕と手を回転させて筋肉に沿って下から上へ指先を滑り込ませる
  • 毎回同じスポットから開始して、移動経路が扇形となり、最後は筋肉の外側縁に沿った経路で終わるように同じプロセスを繰り返す
  • 腋窩の真下の位置まで手を移動し、同じプロセスを繰り返して、最後に四指を大胸筋の下の腋窩に深く入れ、小胸筋と烏口突起の付着部に触れる

圧迫①

  • 患者は、治療する側を上に側臥位になり、腕を斜め上方に上げる。術者は患者の胸部正面を向いて立つ
  • 母指が乳頭の高さで筋肉の一番下の付着部の位置に来るように、その手を胸郭の上に置く。治療を施す四指と母指をもう一方の四指と母指で支えてもよい
  • リリースするまで母指で筋肉を圧迫する
  • 頭側の手を開始位置から3~4cmずらし、同じプロセスを繰り返す
  • 上に移動するときは、最初に母指をそれぞれの高さで外側に滑らせてから、分岐した筋腹上の圧痛点やトリガーポイントを探す
  • 母指が徐々に肩甲骨の烏口突起の方に斜め移動するように、このプロセスを続行する。この移動により、最後に母指は腋窩深くに達する。そこで、腋窩深部にある烏口突起の付着部を慎重に探す

圧迫②

  • 患者は、治療する側を上に側臥位になり、腕を斜め上に上げる。術者は患者の胸部背後に立つ
  • 術者は一方の手を胸部の上に置く
  • 四指で大胸筋を内側に押しながら、乳頭の高さで小胸筋の付着部に触れ、筋肉がリリースするまで圧迫する
  • 頭側の手を開始位置から3~5cmずらし、同じプロセスを繰り返す
  • 上に移動するときは、最初に母指をそれぞれの高さで外側に滑らせてから、分岐した筋腹上の圧痛点やトリガーポイントを探す
  • 四指が徐々に肩甲骨の烏口突起の方に斜め移動するように、このプロセスを続行する。この移動により、最後には指先は腋窩深くに達する。そこで、腋窩深部にある烏口突起の付着部を慎重に探す
  • 背臥位の患者に母指による圧迫を行なうこともできる

圧迫③

  • 患者は背筋を伸ばして座位をとる。術者は患者の背後に立つ。患者の治療する側の前腕を横に下ろし、腕を少し外転および内旋させて大胸筋をゆるめる
  • 一方の手を患者の治療する側と反対側の肩の上に置く
  • もう一方の手を患者の胸郭の上に置き、四指を乳頭の高さで大胸筋の下に滑らせる
  • その高さで筋肉を圧迫し、押さえてリリースする
  • 最後に治療した位置のすぐ上に移動し、同じプロセスを繰り返す
  • それぞれの高さで四指を外側に滑らせ、筋肉のすべての筋腹に触れる
  • 四指が腋窩に入ったら、指先が腋窩の上を指し、最後には筋肉と肩甲骨の烏口突起との付着に達するように、徐々に手を回転させる

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膝蓋腱・膝蓋靭帯へのアプローチ

 膝蓋腱・膝蓋靭帯に直接アプローチする手法として、「クリニカルマッサージ」のクロスファイバー・ストロークを見ていきます。

膝蓋腱と膝蓋靭帯

  • 患者は背臥位をとる
  • 術者は患者の横、脚の位置に立つ
  • 母指を膝蓋腱(膝蓋骨の上)に置く
  • しっかりと組織を押圧し、腱を越えて組織が柔らかくなリ緊張が緩和したと感じられるまで、母指を前後に動かす
  • このプロセスを膝蓋靭帯(膝蓋骨の下)に繰り返す

膝蓋骨深部

  • 一方の手で膝蓋骨を術者から遠ざける方向にずらす
  • もう一方の手の四指を膝蓋骨の下に置く
  • 膝蓋骨を上向きに押圧し、組織が柔らかくなり緊張が緩和したと感じられるまで、四指を前後に動かす
  • このプロセスを内側に繰り返す

注意
 上記の方法は、膝の手術後の患者や手術の予定がある患者には施術しないこと。患者が過去に膝を手術したことがある場合、または膝の痛みを訴える場合は、治療前に患者に詳細な問診を行なう。問題があると思われるときには、治療前にかかりつけの医師の許可を得るよう患者に求める。

 母指および四指を前後に動かすとありますが、テキストにある写真では、母指は、患者からみて左右方向、四指は、患者からみて上下方向に動かしているようです。膝の痛みというと、たいてい膝関節の状態をみることになりますが、状態によっては、膝蓋腱および膝蓋靭帯へのアプローチを考えてみることも必要でしょう。

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斜角筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 斜角筋は胸郭出口症候群に関連する筋肉です。『クリニカルマッサージ』では、胸郭出口症候群の原因を、もっぱら斜角筋の硬結に求めているようです。

 胸郭出口に含まれるのは、斜角筋と第1肋骨、または前斜角筋と中斜角筋との間の通路部分である。腕へと流れていく途中、腋窩動脈と腕神経叢は、前斜角筋と中斜角筋の間を通り、次に第1肋骨と鎖骨との間を通る。この通り道のどこかに前斜角筋と中斜角筋の硬結が存在すると、血管や神経は圧迫されてしまう。斜角筋による関連痛と腕神経叢が圧迫されてしまったことによる痛みの識別は、難しい場合がある。

ストリッピング
・患者は背臥位とする
・術者は患者の頭側に立つ。一方の手を頭の下に差し入れて頭を保持する。
・もう一方の手の指を患者の頚の下に置き、母指を斜角筋の上部に当てる
・しっかりと組織に圧をかけながら、筋肉に沿ってゆっくりと母指を動かす。できるだけ遠くまで指を運び、鎖骨後側の窪みに指がくい込むようにする。同プロセスを繰り返す
・次に中斜角筋を探し出し、同じプロセスを繰り返す
・最後に後斜角筋を探し出す。後斜角筋に続いて、僧帽筋の縁部の前の窪みにできるだけ指がくい込むように母指を動かす
・反対側も同様に行なう
・上記のプロセスは、母指ではなく四指を用いて行なってもよい

深部圧迫
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の頭側に立つか座る。首の付け根にある斜角筋に指先を当てる。患者の反対側の胸部に向かって斜めに、深く圧をかける。筋肉がリリースしたと感じられるまで待つ

圧迫
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の横、頭のそばに立つ。患者の首の付け根に手を置く。手根を僧帽筋と肩甲挙筋に当てる
・僧帽筋上で指を丸めて、首の付け根で斜角筋をつかむ
・はじめはやさしく、徐々に圧を強くかけながら、斜角筋がリリースしたと感じられるまでもむ

ストリッピング(2)
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の頭側に、患者の頭の方を向いて立つ
・一方の手で患者の頭をしっかりと保持する。もう一方の手の母指で中斜角筋の上部を探し出す
・僧帽筋の縁のすぐ前の組織をしっかりと押圧しながら、前斜角筋に沿って母指をできる限り遠くまで滑らせる
・後斜角筋に対しても同様に行なう
・上記プロセスは、指関節を用いて行なってもよい

ストリッピング(3)
・患者は座位をとる
・術者は患者の背後に立つ
・母指を中斜角筋の停止部に置く
・しっかりと組織に圧をかけながら、筋肉に沿って起始部まで母指を滑らせる
・前斜角筋、後斜角筋に対しても同様に行なう

 それぞれのストリッピングは体勢が異なるだけで、基本は前・中・後斜角筋に圧をかけて母指を滑らせる手技です。但し(1)(2)が停止部から起始部へ向けているのに対し、(3)のみ停止部から起始部へと逆方向になっています。しかしテキストにある写真をみると、どうも起始部が出発点になっているように見えますが・・・。

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梨状筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 梨状筋は、その緊張によって「梨状筋症候群」という、坐骨神経の障害を引き起こすことがある筋肉です。『クリニカルマッサージ』「股関節の外旋筋」の項を見ていきます。

 梨状筋は、股関節の主要外旋筋であり、同時に股関節の主要固定筋である。その臨床的意義は大きい。
 坐骨神経は、個人差はあるが、梨状筋の上または下を走り、場合によっては貫通(または一部貫通)する。このため梨状筋の緊張は、その固有の関連痛パターンだけでなく坐骨神経の障害によっても痛みの原因になることがある。この障害を梨状筋症候群という。梨状筋の障害は、バレー・ダンサーには、恒常的にバレーの「ターンアウト」(股関節の外旋)が要求されるため、梨状筋の障害がよく見られる(ママ)。また梨状筋の股関節を固定する役割が原因となる障害もごく一般的である。

圧迫
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の横、腰の位置に立つ
・母指または両手の母指を重ねて大転子と仙骨間の中間点に置く
・しっかりと組織を押圧し、圧痛領域を探す。押さえてリリースする
・このようにして、仙骨縁から大転子への付着部まで筋肉全体を調べる

 これは、圧痛領域を探す検査を含んだ手技のようです。

圧迫とストレッチ
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の腰の位置に立つ
・片方の手の指関節を臀部上、大転子のすぐ内側に置き、前内側方向にしっかり押圧する
・反対の手で患者の足首をつかみ、膝を90°屈曲させる
・梨状筋に対して指関節をしっかり押し当てながら、患者の足を術者の方向に引っ張り、股関節を内旋させる

 このストレッチは、「梨状筋のパッシブ・ストレッチ」とも呼んでいるようです。股関節を内旋させて、梨状筋を伸展させることがポイントになっています。

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大腰筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 大腰筋の障害は、骨盤の前上方変位に関係し、様々な症状を引き起こします。『クリニカルマッサージ』の「骨盤部・大腰筋(腸腰筋)」の項を勉強していきます。

 腰筋は腰椎に付着し、腹腔を通って鼠径部まで下り、そこで腸骨筋と結合し、腸骨の前縁を通って斜め下後方向に走り、大腿骨の小転子に付着する。このように腰筋は腸骨の前縁を滑車として利用して、腸骨に下後方の力を及ぼす。こうして腰椎を前方に引っ張り、腸骨の下前部で下後方に押圧することによって、腰筋は骨盤を前傾させ、腰椎を前弯させる。この作用は、著しい傾斜姿勢と脊柱前弯の傾向がある子供には容易に観察される。一般にこの姿勢傾向は、大人(軽度ではあるが観測可能)になるまで持続する。骨盤前傾の結果の1つとして、腹腔内容の重量が前方に移動し、腹部がせり出すことがある。またこの傾斜によって股関節が後方に押しやられ、膝と足首を制御する筋肉に圧力がかかる。過大な腰椎前弯は、その上に存在するすべての構造の位置補正をしなければならなくなる。
 腸腰筋の臨床的重要性には、間接的なものと直接的なものがある。間接的には、上記の姿勢に影響し、直接的には腰部、腹部、鼠径部、および大腿上部に痛みを起こす。腸腰筋の関連痛パターンには、臓器も含まれる。このため、腸腰筋障害は内臓原発性と同様の痛みを伴うことがある。

 仙腸関節の腸骨前上方変位では、股関節の可動制限、鼠径部、大腿上部、膝などの痛みをチェックしますが、その主な原因と考えられる大腰筋の障害には、内臓への関連痛も含まれることがあるようです。

圧迫
・患者は背臥位をとる。治療する側の股関節と膝関節を約45°屈曲させる
・術者は患者の横、腰の位置に立つ
・患者に近い方の指先を術者に近い方の腹部上、臍の下外方4~5cmに置く
・腹部をゆっくりとしっかり押圧し、円を描くように指先を移動し、臓器をそっと押しのける
・腰筋に触れたら筋肉を押圧して、圧痛領域を探す。押さえてリリースする
・指先が前回の治療スポットのすぐ下に来るように手を下方に移動する
・鼠径靭帯に達するまでこのプロセスを繰り返す
・鼠径靭帯の下の鼠径部に同じプロセスを繰り返す(ここでは円を描く必要はない)
・この腰筋の治療は、患者の反対側から、患者に座位、あるいは立位をとらせてテーブルの方に身体を曲げて実施することができる

付着部の圧迫
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の横、膝の位置に立つ
・重ねた両手の母指を鼠径部から約5cm下、大腿直筋内側の大腿前部に置く
・しっかりと組織を押圧し、小転子への付着部を探す。圧痛点があれば、押さえてリリースする。

 いずれも、漫然と大腰筋に圧をかけるのではなく、圧痛領域、圧痛点を探し出してリリースすることがポイントになっています。「圧迫」の手技に関しては、座位もしくは立位の方が、大腰筋に直接触れやすいようです。

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三角筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 三角筋の手技療法はストリッピングのみなのですが、『クリニカルマッサージ』の三角筋の「概要」にちょっと興味深い記述があったので取り上げることにしました。

 三角筋の3部は、上腕骨頭部の上で肩を覆い、腕の屈曲、伸展および外転運動を開始する力の大部分を担っている。この3部配列により、三角筋の互いに拮抗する前部と後部が形成されている。三角筋中部は、外転に関して棘上筋と密接に協力する。三角筋は一般に障害を起こしやすい部位であるが、ストリッピング・マッサージによって簡単に治療できる。三角筋のトリガーポイントは、滑液包炎(筋肉の下でクッションの働きをする液体が詰まった滑液包の炎症)と解釈されることが多い。

 肩の痛みに関しては、記述のように「滑液包炎」を疑うことが多いのですが、「三角筋のトリガーポイント」の場合もあるようです。回旋筋腱板にばかり目を向けていましたが、三角筋も障害を起こしやすい部位ですか。しかも、その場合は、「ストリッピング・マッサージによって簡単に治療できる」らしい。

ストリッピング
・患者は背臥位をとる。術者は患者の頭側に、治療する側の肩の方を向いて立つ
・指関節、四指、または母指を三角筋前部の最上面、その内側縁の上に置く
・深く押圧し、上腕筋の付着部に到るまで、筋肉上の手を下向きに滑らせていく
・手を外へ向けて同じプロセスを繰り返し、三角筋中部に移動し、必要に応じて手を回旋させる
・手を肩の下へ三角筋後部に向けて移動させ、すべての三角筋の治療が完了するまで宇佐向きに押圧する
・三角筋後部の治療は、患者を腹臥位にして行なうこともできる

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後頚部筋群のクリニカルマッサージによる手技療法

 後頚部の筋肉にアプローチする手技療法を学びます。主に頚部のコリ、緊張型頭痛への対処に用いられます。環椎後頭関節および環軸関節の検査・矯正を行なった上で、痛みなどが残る場合に補足的に行ないます。出典は、『クリニカルマッサージ』です。

ストリッピングと圧迫
・患者は背臥位をとる。
・術者は患者の頭のそばに座る。患者の頭に近い方の手を、患者の頭の下に入れて頭を支える。もう一方の手を患者の頚の下に置く。母指は術者側、他の指は遠い側面に置く
・後頚部、頸椎上部棘突起のすぐ外側に当たる頭蓋底に、母指を押し込む
・組織にしっかりと圧をかけながら、体幹に向かって母指を滑らせる。硬結部または圧痛点を感じたら、そこで指を止め、リリースしたと感じられるまで待つ。首の付け根に沿って、快適に母指を動かせる限り、押圧し続ける
・圧をかけながら頭蓋底まで同じ経路を戻る。硬結部または圧痛点を感じたら、そこで指を止めて、リリースしたと感じられるまで待つ
・母指を外側、つまり術者の方へ移動させ、斜角筋後面までの後頚部全体をカバーするように、同プロセスを繰り返す
・頭蓋底で母指を押し上げるように、かつ後頭下筋に押し込むように深く押圧する
・リリースしたと感じられるまで待つ

四指での移動圧迫
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の頭側、中央に座る。両手を平らにして、四指が胸椎の両側に届くまで肩の両側下に押し入れる
・四指を曲げて、脊柱の両側の筋肉に圧がかかるようにする
・手を自分の方へゆっくりと引く。曲げた四指が脊柱両側の筋肉に圧を加え続ける。指先が頭蓋底に達するまで行なう

クロスファイバー・ストローク
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の頭側に、患者の方を向いて立つ。片方の手を患者の首の下、後頭底部におく。指先を曲げて、後頚部の筋肉の側方に押し当てる
・組織を押し上げるように、かつ組織に押し込むように曲げた指先でしっかりと圧をかけつつ、指先を自分の方に引く。指先が脊柱に達したら止める
・手を首の付け根に向かって下行させる。これを繰り返す
・反対側も同様に行なう

母指によるクロスファイバー・ストローク
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の頭のそばに、首の方を向いて立つ。患者の頭を片手でしっかりと安定させる
・もう一方の手の四指を患者の首の遠い方の側面に置き、母指の先を頭蓋底の頸椎に置く
・首の筋肉にしっかりと圧をかけながら、母指を治療手の四指に向かって動かす(注意:頭蓋底では圧の一部を後頭骨に振り分ける)
・手を首の下方にやく2.5~5cm移動させる。同プロセスを繰り返す。首の付け根に届くまで同様に行なう
・術者は患者の反対側に移動し、反対側にも同様に行なう。

 クロスファイバー・ストロークで、指先を曲げるのは母指以外の四指です。この4つの手技を行なえば、後頚部の硬結はかなり和らぐでしょう。

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僧帽筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 肩こりの主要な筋肉である僧帽筋、その付着部と作用および関連痛については、頭痛に関連する筋肉のところで取り上げましたので、ここでは『クリニカルマッサージ』で紹介されている手技療法について勉強してみます。

 僧帽筋は非常に大きな筋肉で多様な機能を有する。僧帽筋は重要な後頚筋であると同時に、肩部と上背部の筋肉でもある。この筋肉に問題があると、非常な痛みと不快感が生じる。(略)多くの人にとって、僧帽筋は日々の緊張のたまり場となりやすい。
 僧帽筋は後頚部、肩部そして上背部にある他の筋肉に比べると浅層に位置する。そのため、この位置にある他の筋肉の検査ないし治療をしたい場合、おのずと僧帽筋の検査と治療が含まれることになる。上半身の痛みや機能障害の場合、僧帽筋の役割は大きいので、僧帽筋の付着部、作用、関連痛のパターンなどを知っていることが大切である。
 一般に、僧帽筋の頚部の検査と治療は、他の後頚筋の検査と治療を介して行なわれる。肩甲骨周辺の僧帽筋中部についても同様のことが言える。

手技治療
ストリッピング
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の頭側に立ち、患者の肩の首付け根部分に一方の手掌を平らに置く。指は下方を指す
・自分の体重を利用して、組織にしっかりと圧をかける。手は脊柱と肩甲骨の間を通り、第12胸椎まで下行する。体重は主に手根を介して患者に伝える
・同じ手、またはもう一方の手を再び開始点に置く(使いやすい方で構わない)
・同様に体重を利用して圧をかけるが、全体重が手にかからないように足の位置を替える。手は上背部を斜めに下行する。肩甲骨の内側縁の内側を通り、肩甲骨下角を過ぎるまで押圧する。
・先ほどの手から、もう一方の手に替え、替えた手の手根を頸椎下部の外側に置く
・肩甲骨の上縁から肩峰まで、しっかりと圧を加える
・反対側も同様に行なう

ペトリサージュ
・術者は、腹臥位の患者の横、肘の辺りに、患者の頭の方を向いて立つ
・両手を患者の肩(術者の近い方の肩)、僧帽筋上部に置く
・両手を交互に使って組織を握ってはつかみ上げる。始めはやさしく、組織がリラックスしてきたら次第にしっかりと揉みほぐすようにする
・筋肉を片手でつかみ、数回振るわせて終える
・患者の反対側に移動し、同様に行なう

二指圧迫法
・術者は腹臥位の患者の横、肘の辺りに、患者の頭の方を向いて立つ
・患者の肩上部、首の付け根に手を置く
・その部分を、母指と四指でしっかりとつまみ続ける(ホールドする)。やさしく始め、組織の状態を評価する。組織がリリースするにつれて、つまむ力を次第に強くする
・組織のホールディングと、母指と四指で組織を前後に振るわせることを交互に行なう

 ペトリサージュと二指圧迫法は、皮膚を摘み上げる整膚、もしくは筋肉を対象にした中国整体の拿法によく似ていますが、最後に振るわせるところが異なっています。また母指と四指を使うのに「二指」となっているのは、主に示指の指節関節を使うからでしょうか。

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