経済不況が起こる仕組み 「架空の需要」 ㊦
いよいよ、今回の経済危機について見ていきます。きのうに続いて、『しんぶん赤旗 日曜版』の不破哲三・社会科学研究所所長へのインタビュー記事からの抜粋です。
今回の経済危機でも、その引き金となったのは、まさに新型の「架空の需要」です。それを大規模につくりだしたのは今度は金融資本です。購買力のない低所得者に無理やり借金をさせて住宅を買わせた、これがアメリカで破綻(はたん)した「サブプライムローン」の正体でした。「借金してモノを買おう」――これをアメリカの風潮にして、「消費主導の好況」をつくりだした。
マルクスが突き止めたバブルの大本、「架空の需要」を金融資本が総がかりで、しかも意図的につくりだしたのが、今度の特徴でした。危機が爆発してから調べてみると、こうしてつくりだされた家計の過剰債務(余分な借金)は、多めの計算だと8兆ドル、約800兆円にものぼるそうです。日本のGDP(国内総生産)よりもはるかに大きい。この数字を見ると、「架空の需要」の巨大さがわかると思います。
おまけにこの消費バブルを土台に、金融資本がもっと大規模な金融資本バブルを世界に広げた。「サブプライムローン」の破綻でまず起こったのは、金融経済の破綻でしたが、その土台にあったのは、「架空の需要」でふくれあがった消費バブルで、それが一挙に収縮して大変な過剰生産恐慌になった。その過程がいま進んでいる。
こういう見方から、私は今の危機を、「金融危機と過剰生産恐慌の結合」と特徴づけました。「架空の需要」の軌道を走るバブルのなかに恐慌の中心点ありと見抜いたマルクスの分析は、資本主義のいまの段階でも生きているんです。
そういえば、しばらく前に放送されたNHKの番組、アメリカの消費生活のことを取り上げていましたが、経済破綻する前までは、クレジットカードを使うことで、収入にとらわれない買い物をする風潮があったらしい。どうも、これが金融資本のつくりだす「架空の需要」のようです。サブプライムローンは住宅の購入ですから、金額は相当大きくなるでしょう。
「架空の需要」を目当てにした「過剰生産」の仕組みを強引に調整したのが、「派遣切り」や「非正規切り」ということになるようです。なるほど、ガッテン。
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