膝・股関節の痛み

症状が似ている変形性股関節症と腸骨内方変位

 変形性股関節症は、女性に多く見られる症状と言われています。原因は加齢や体重増加で関節軟骨がすり減る一次性のものと、股関節に臼蓋形成不全や発育性股関節脱臼があるために起こる二次性のものに分けられます。日本では、9割が二次性の変形性股関節症です。

 初期症状として、歩き始めや長く歩いた後にハムストリングスや臀部に痛みや違和感。そして、痛みがある足をかばって引きずったりするうちに、筋力が低下したり、左右の脚の長さに差が出たりすることがあります。さらに進行すると、アグラをかくことができない。足の爪きりや靴下の着脱、和式トイレの使用が困難になるなど股関節の可動制限が現れてきます。
参考:『きょうの健康』(2009年12月号)

 腸骨の内方変位は、上後腸骨棘が背面内側へ固着し、仙腸関節の外方への可動が制限された状態です。骨盤上部(腸骨稜)に痛みが出たりしますが、坐骨が前上方へ傾くため、股関節可動域が制限されて、鼠径部の痛み、アグラをかくときに片膝が降りないなど、変形性股関節症によく似た症状が現れます。

 変形性関節症の方は、10歳代、20歳代から徐々に進んで、40~50歳代になるとさらに変形が進行し痛みが強く現れるようになります。これに対して、腸骨内方変位の方は、年齢には関係なく、急性症状として起こることが多いようです。

 整形外科検査として、仙腸関節の異常を確認するものに、ゲンズレン・テスト、ナクラス・テスト、ヨーマン・テスト、ヒッブ・テストなどが。そして股関節をチェックする検査には、側臥位で股関節を圧迫するイリアック・コンプレッション・テスト、仰臥位で股関節を片方ずつ屈曲するトーマステストさらにトレンデレンブルグ・サインなどがあります。

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膝関節の痛みと腫れ 滑液包炎

 膝関節が痛くなって、水がたまって腫れ、さらに可動制限を引き起こす疾患は、変形性膝関節症だけではありません。膝関節の滑液包炎にも、よく似た症状があるようです。滑液包炎について、『メルクマニュアル医学百科』の「滑液包炎」の項を調べてみました。

 滑液包とは、関節の皮膚、筋肉、腱、靭帯などと骨がこすれる部分にある平らな袋で、内部に少量の滑液という液体が含まれていて、摩擦を減らす役割を果たしています。ところが、関節に無理な力が加わったり、仕事やスポーツで酷使したりすると、滑液包に痛みを伴う炎症が起こりります。それに伴って滑液の量が増え、腫れてしまうことがあります。

 その他、痛風、偽痛風、関節リュウマチあるいは、黄色ブドウ球菌などによる感染症が原因となることもあるようです。滑液包炎というと、すぐに五十肩などの肩関節周囲炎を思いつきますが、肘、股関節、骨盤、膝、つま先、かかとなどの関節でもよく起こるとされています。

 突然発症する急性滑液包炎の場合は、炎症が起こっているところを、動かしたり触ったりすると痛みます。滑液包が皮膚に近いところにあるときは、赤く腫れることもあります。特に、痛風などが原因の場合は痛みが激しく、さわると熱く感じることもあるようです。

 急性症状の発作や怪我を繰り返すと、滑液包は炎症を起こし再発しやすくなり、慢性化することがあります。場合によっては、滑膜の内部が肥厚して、カルシウムなどが沈着したり、痛みや腫れが長く続くと関節の可動制限がおこり、筋肉の萎縮がおこります。

 非感染性の滑液包炎には、急性の場合、安静、関節固定、アイシングそして薬物療法が有効なようです。慢性化している場合、カルシウムの沈着状況によっては、注射器による滑液の抜き取りや手術が必要になることも。また、関節の可動域を回復させたり、筋力を強化するためには、運動療法が効果的です。

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膝蓋腱・膝蓋靭帯へのアプローチ

 膝蓋腱・膝蓋靭帯に直接アプローチする手法として、「クリニカルマッサージ」のクロスファイバー・ストロークを見ていきます。

膝蓋腱と膝蓋靭帯

  • 患者は背臥位をとる
  • 術者は患者の横、脚の位置に立つ
  • 母指を膝蓋腱(膝蓋骨の上)に置く
  • しっかりと組織を押圧し、腱を越えて組織が柔らかくなリ緊張が緩和したと感じられるまで、母指を前後に動かす
  • このプロセスを膝蓋靭帯(膝蓋骨の下)に繰り返す

膝蓋骨深部

  • 一方の手で膝蓋骨を術者から遠ざける方向にずらす
  • もう一方の手の四指を膝蓋骨の下に置く
  • 膝蓋骨を上向きに押圧し、組織が柔らかくなり緊張が緩和したと感じられるまで、四指を前後に動かす
  • このプロセスを内側に繰り返す

注意
 上記の方法は、膝の手術後の患者や手術の予定がある患者には施術しないこと。患者が過去に膝を手術したことがある場合、または膝の痛みを訴える場合は、治療前に患者に詳細な問診を行なう。問題があると思われるときには、治療前にかかりつけの医師の許可を得るよう患者に求める。

 母指および四指を前後に動かすとありますが、テキストにある写真では、母指は、患者からみて左右方向、四指は、患者からみて上下方向に動かしているようです。膝の痛みというと、たいてい膝関節の状態をみることになりますが、状態によっては、膝蓋腱および膝蓋靭帯へのアプローチを考えてみることも必要でしょう。

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大腰筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 大腰筋の障害は、骨盤の前上方変位に関係し、様々な症状を引き起こします。『クリニカルマッサージ』の「骨盤部・大腰筋(腸腰筋)」の項を勉強していきます。

 腰筋は腰椎に付着し、腹腔を通って鼠径部まで下り、そこで腸骨筋と結合し、腸骨の前縁を通って斜め下後方向に走り、大腿骨の小転子に付着する。このように腰筋は腸骨の前縁を滑車として利用して、腸骨に下後方の力を及ぼす。こうして腰椎を前方に引っ張り、腸骨の下前部で下後方に押圧することによって、腰筋は骨盤を前傾させ、腰椎を前弯させる。この作用は、著しい傾斜姿勢と脊柱前弯の傾向がある子供には容易に観察される。一般にこの姿勢傾向は、大人(軽度ではあるが観測可能)になるまで持続する。骨盤前傾の結果の1つとして、腹腔内容の重量が前方に移動し、腹部がせり出すことがある。またこの傾斜によって股関節が後方に押しやられ、膝と足首を制御する筋肉に圧力がかかる。過大な腰椎前弯は、その上に存在するすべての構造の位置補正をしなければならなくなる。
 腸腰筋の臨床的重要性には、間接的なものと直接的なものがある。間接的には、上記の姿勢に影響し、直接的には腰部、腹部、鼠径部、および大腿上部に痛みを起こす。腸腰筋の関連痛パターンには、臓器も含まれる。このため、腸腰筋障害は内臓原発性と同様の痛みを伴うことがある。

 仙腸関節の腸骨前上方変位では、股関節の可動制限、鼠径部、大腿上部、膝などの痛みをチェックしますが、その主な原因と考えられる大腰筋の障害には、内臓への関連痛も含まれることがあるようです。

圧迫
・患者は背臥位をとる。治療する側の股関節と膝関節を約45°屈曲させる
・術者は患者の横、腰の位置に立つ
・患者に近い方の指先を術者に近い方の腹部上、臍の下外方4~5cmに置く
・腹部をゆっくりとしっかり押圧し、円を描くように指先を移動し、臓器をそっと押しのける
・腰筋に触れたら筋肉を押圧して、圧痛領域を探す。押さえてリリースする
・指先が前回の治療スポットのすぐ下に来るように手を下方に移動する
・鼠径靭帯に達するまでこのプロセスを繰り返す
・鼠径靭帯の下の鼠径部に同じプロセスを繰り返す(ここでは円を描く必要はない)
・この腰筋の治療は、患者の反対側から、患者に座位、あるいは立位をとらせてテーブルの方に身体を曲げて実施することができる

付着部の圧迫
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の横、膝の位置に立つ
・重ねた両手の母指を鼠径部から約5cm下、大腿直筋内側の大腿前部に置く
・しっかりと組織を押圧し、小転子への付着部を探す。圧痛点があれば、押さえてリリースする。

 いずれも、漫然と大腰筋に圧をかけるのではなく、圧痛領域、圧痛点を探し出してリリースすることがポイントになっています。「圧迫」の手技に関しては、座位もしくは立位の方が、大腰筋に直接触れやすいようです。

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なぜO脚を内反膝、X脚を外反膝というのか

 O脚のことを内反膝、X脚のことを外反膝とも言いますが、語感からするとどうも逆をイメージしてしまいがちです。O脚は膝が外方に曲がっているのに内反膝、X脚は内方に曲がっているのに外反膝です。日常的な感覚では、何となく違った感じを持ってしまいます。

 しかし、考えてみると、母趾の付け根が内側に飛び出しているにも拘わらず、母趾が外方に反っていることから外反母趾と言います。これと同じように、身体のまん中を通る正中線を基準にして、膝関節を構成している脛骨が、内方か外方かのどちらに反っているかということから考えると分かりやすいようです。

 つまり、内反膝の場合、膝関節の内側の半月板や関節軟骨が摩耗、剥離、損傷など変形することで、関節内側の間隔が狭くなり、脛骨先端が内側に傾いてきて、膝が外側に張り出して曲がった状態になります。同じように外反膝の場合は、膝関節の外側が狭くなり脛骨が外側に傾くため、膝が内側に張り出して曲がったような状態になります。

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膝を笑わせない山の下り方

 山歩きをしたとき、登りではそうでもないけど、下っていると途中から「膝が笑う」ことがあります。膝がガクガクして、力が入りにくくなる現象です。これもあまり無理を続けると、膝が炎症を起こして、熱が出たり、腫れたりすることもあるようです。

 原因として、膝蓋骨を保持している大腿四頭筋に疲労が蓄積してくると、バランスを維持できなくなって、膝がガクガクするようになるともいわれていますが、しかし、特に長い階段や山道などを下るときによく起こる現象ですので、膝関節への過大なストレスの方が大きな割合を占めるのではないかと思います。

 『信州山学クラブHomePage』に掲載されている「中高年者の安全登山の方法(技術)」に、膝が笑う状態にならないための「下り坂の歩き方」が紹介されています。

 急な下り道を歩くときには、姿勢は、腰を伸ばしてすっきりと立ち、登りより若干前傾を少なくして、重心を心もち後へ置く。足は腰を支点に、大股にならないようにして、足首を伸ばさずにつま先から着地する。足首と膝を活用して着地のショックを吸収することがポイント。また高低差をとりすぎて、膝を深く折り曲げたりすると、余分な負担をかけてしまうそうです。

 読んでイメージしてみると、スクワットの姿勢に似ています。腰を伸ばして、腰椎の前弯を保ちながら大腿部で前傾させる。膝は大腿が床と平行になる程度に曲げて、膝頭をつま先より前に出さない。スクワットは、大腿四頭筋や臀筋を鍛えるトレーニング種目ですが、正しいフォームで行なえば、膝や腰への無理な負担はほとんどありません。山歩きをする人は、姿勢の矯正と筋肉の強化のために、日常のトレーニングに取り入れたら良いかも。

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膝の内側が痛む内側側副靭帯損傷

 先日、「階段を下りていたとき、膝を捻挫した」、「歩くのには差し障りはないけど、膝を内側に捻ると痛む」とNさん(男性 70代)が、来店されました。整形外科へも通院しているとのことです。

 どこに問題があるのか、Nさんからは診断結果について、ハッキリしたことが聞かれませんでしたが、状態を聞いて、痛いところに触れてみると、内側側副靭帯を損傷している疑いがあります。この疾患は、サッカーやアメリカンフットボール・格闘技などコンタクトスポーツや交通事故が原因となることが多いのですが、高齢者の場合は、ちょっとしたケガで起こることもあるようです。

 損傷の程度については、整形外科で、外反ストレスレントゲン撮影による検査を行なうことが必要です。膝を20度曲げた状態で外側にストレスを加えて膝関節の内側を開き、その隙間の程度をみます。健側より3~5mm広い場合は、捻挫程度の軽度損傷例(Ⅰ度)、6~10mmは、部分断裂の中程度損傷例(Ⅱ度)、11mm以上は、完全断裂の高度損傷例(Ⅲ度)です。

 痛みと腫れが激しい間は、アイシングを行ない、添え木やサポーターをして安静にします。ほとんどの場合は、保存療法だけで改善しますが、Ⅲ度の場合は、靭帯が緩くなったり、半月板損傷や十字靭帯損傷を併発していたりすることがあるので、手術が必要になることもあるようです。

 Nさんの場合、炎症が治まった後に、まだ部分的に痛みが残っている状態ですので、膝のトリガーポイントへ痛圧点法を行ない交感神経の緊張と、大腿四頭筋を中心に周囲の諸筋群の緊張とを緩める施術を行なっておきました。一般的に、靭帯が自己修復するまでには、軽(Ⅰ)度で1~2週間、中(Ⅱ)度で2ヶ月、高(Ⅲ)度で3ヵ月程度といわれているようですが、完全に痛みが取れるまでには、もっと時間が必要なようです。

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根気と時間が必要な膝と股関節の可動改善

 3年ほど前に何回か続けて来られたことのあるKさん(女性 80代)から、久しぶりに予約電話をいただいたので、待っていたところ、何と車椅子に乗って来店されました。話を聞いてみると、7ヶ月前に左大腿骨頭と大腿骨を続けて骨折し、入院していたそうです。

 「立つと股関節が痛い」ということが主訴でしたが、触診してみると、左脚の大腿四頭筋をはじめ、脚全体の筋群が萎縮しています。さらに膝蓋骨が外側に向き、足関節が底屈し硬直、そのため左脚の股関節と膝関節には可動制限があり、自力では、立つことができない状態です。

 今日は、Kさんに痛みの具合をたずねながら、股関節と膝関節に抜法、旋法、抖法を施術して、関節を離開するとともに可動域をひろげるようにしました。そして関節のツボと合わせて百会パートに痛圧刺激を行ない、交感神経の緊張をとる施術を。さらに脚の筋力を取り戻すことが大切ですので、筋力強化のトレーニング方法を指導しておきました。

 病院でもリハビリを受けていたそうですが、なかなか思わしい改善には、至らなかったようです。リハビリの開始が遅かったのか、早めにしてもこうなってしまったのか分かりませんが、現在のこの状態は、かなり重度といえるでしょう。ほうっておくと、「大腿骨頭骨折による寝たきり」になるパターンです。Kさんの場合、ある程度の機能回復は可能と思われますが、根気と時間が必要です。

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1ヶ月前につまづき転びそうになって以来、右膝に痛み

 「1ヶ月ほど前に、床にスロープがあることに気づかず、つまづいて転びそうになって以来、右膝が痛い」とFさん(女性 50代)が来店されました。整形外科でX線検査をしたところ、「いわゆる変形性膝関節症だが、軟骨はそんなに磨耗していない」との診断を受け、湿布と痛み止めを処方されたそうです。

 膝の痛みが、つまづいたことからはじまっていることや症状が長引いているので、はじめに仙腸関節を検査してみました。すると微妙でしたが、右側の腸骨に前上方変位が確認できたので、うつ伏せの姿勢で矯正し、さらに大腿四頭筋のストレッチを行ないました。

 次に、右膝関節の癒着を取り除き、可動性を改善する施術を、特に膝関節の外側に痛みがあるということなので、関節外側を離開する施術を行ないました。平地を歩くときではなく、階段を降りるときに痛みが出ることが多いということで、残念ながら改善の具合を直ちに確認することはできませんでした。そのためFさんの了解を得て、念のために膝痛対策のキネシオテーピングを貼付しておきました。

 いずれにしても膝痛の改善には、多少時間がかかるかもしれませんが、変形性膝関節症の進行防止と予防には、大腿四頭筋の強化が必須です。そこでFさんには、『あおぎり通信』№16を渡して、トレーニング法を指導させていただきました。

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坐骨神経痛の根源的な原因は椎間板ヘルニアでした

 右股関節(鼠径部)から膝下にかけての痛みで、総合病院に入院していたAさん(女性 70代)、明後日退院することになったそうです。ブロック注射が効を奏して、痛みも全くなくなり退院の日を待ちわびていたようです。

 今回は、徹底的に検査をして原因をハッキリさせたいと、入院時のX検査からはじまって、MRI検査、さらに造影剤を注入して椎間板の検査まで行なったそうです。その結果、痛みを引き起こす直接的な元凶は、L4とL5間の椎間板ヘルニアによる第4腰椎神経根の圧迫にあったようです。腰椎の変形とみられていたL4の脊椎すべり症は、以前からあったもののようで、このたびの痛みの直接の原因ではないそうです。

 ブロック注射による痛みの改善ですので、今後再発する可能性もないとはいえないそうですが、ひとまず安心です。それに、検査では脊髄腫瘍など悪性のものは、みられなかったとのことです。良かった、良かった。

 それにしても、手技療法だけでは、原因の究明という点では不十分ですね。関節の機能的変位を見つけるのは得意ですが、構造的な変形などの問題になると、変形や可動性障害はわかりますが、細部にわたって検査することはなかなか難しい。

 確かに、医学的検査で異常がないのに痛みがある場合など、手技療法は効果を発揮することが多いのですが、ある程度手を尽くしても改善の目途が立たないときは、医学(専門医)との連携を行なう必要があります。

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