坐骨神経痛

梨状筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 梨状筋は、その緊張によって「梨状筋症候群」という、坐骨神経の障害を引き起こすことがある筋肉です。『クリニカルマッサージ』「股関節の外旋筋」の項を見ていきます。

 梨状筋は、股関節の主要外旋筋であり、同時に股関節の主要固定筋である。その臨床的意義は大きい。
 坐骨神経は、個人差はあるが、梨状筋の上または下を走り、場合によっては貫通(または一部貫通)する。このため梨状筋の緊張は、その固有の関連痛パターンだけでなく坐骨神経の障害によっても痛みの原因になることがある。この障害を梨状筋症候群という。梨状筋の障害は、バレー・ダンサーには、恒常的にバレーの「ターンアウト」(股関節の外旋)が要求されるため、梨状筋の障害がよく見られる(ママ)。また梨状筋の股関節を固定する役割が原因となる障害もごく一般的である。

圧迫
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の横、腰の位置に立つ
・母指または両手の母指を重ねて大転子と仙骨間の中間点に置く
・しっかりと組織を押圧し、圧痛領域を探す。押さえてリリースする
・このようにして、仙骨縁から大転子への付着部まで筋肉全体を調べる

 これは、圧痛領域を探す検査を含んだ手技のようです。

圧迫とストレッチ
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の腰の位置に立つ
・片方の手の指関節を臀部上、大転子のすぐ内側に置き、前内側方向にしっかり押圧する
・反対の手で患者の足首をつかみ、膝を90°屈曲させる
・梨状筋に対して指関節をしっかり押し当てながら、患者の足を術者の方向に引っ張り、股関節を内旋させる

 このストレッチは、「梨状筋のパッシブ・ストレッチ」とも呼んでいるようです。股関節を内旋させて、梨状筋を伸展させることがポイントになっています。

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梨状筋症候群(Piriformis syndrome)の原因と検査

 梨状筋症候群は、ランニングなどのトレーニング中に現れることが多い症状です。股関節の屈伸を繰り返す運動によって外旋筋群が疲労し、慢性的に柔軟性がなくなり硬くなることが原因となります。特に外旋筋のひとつである梨状筋は、坐骨神経のすぐ近くにあるため、神経を摩擦したり圧迫したりして、炎症を起こすことで、臀部やハムストリングス、ふくらはぎなどにシビレや鈍い痛みを発症します。

 坐骨神経と梨状筋の位置が原因になる場合もあります。通常は、坐骨神経が骨盤から臀部後方に出るときには、梨状筋の下を通りますが、梨状筋を貫通したり、上と下を挟んでいる場合もあり、そういう場合は梨状筋の緊張によって神経が圧迫されやすくなると言われています。

 腰椎椎間板ヘルニアでも、梨状筋症候群とよく似た症状がみられますが、梨状筋諸侯群の場合は、特に股関節に力を入れて外旋したときや、他動的に内旋したときに、シビレや痛みが発生するという特徴があります。

 そのため、簡単な見極めには、まず下肢伸展挙上検査をしてみます。陽性の場合、坐骨神経の圧迫を確認できるため、梨状筋症候群、腰椎椎間板ヘルニア、いずれの可能性もあります。次に、股関節を外旋させて持ち上げると、外旋筋群が緩むため、症状が消えます。そうなると梨状筋症候群の疑いが強くなります。また、フライバーグ検査が陽性の場合も梨状筋に問題がある可能性が大きくなります。

 但し、坐骨神経痛の原因は、梨状筋症候群にあることは稀で、もっぱら腰椎椎間板ヘルニアにあるとする説もあるようです。そのため、素人判断せずに、整形外科を受診して、MRI検査などに基づいて、原因を明らかにすることがまず先決でしょう。民間療法の出番が考えられるは、その後です。

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痛みの改善具合を聞きながら真の原因をつきとめる② 梨状筋症候群の場合

 「長く坐っていると、お尻の左側がピリピリ痛い」と、これまで何回か来られたことのあるNさん(50代 男性)が、「前よりだいぶん良くなっているけど、また左側に少し痛みが出てきた」と来店されました。

 以前行った病院での検査では、腰椎椎間板にヘルニアは認められなかったとのこと。久しぶりなので、念のために下肢伸展挙上検査をしましたが、やはり陰性でした。前回も梨状筋症候群による坐骨神経痛が疑われたので、今回も仙腸関節の変位もみながら、筋肉と神経の過緊張を和らげることを重点に施術しました。

 ひととおり施術を行った後、Nさんに改善の具合をたずねてみたところ、「軽くなったけど、まだ腰の左側に、微妙な違和感が残っている」との回答です。再度ベッドに戻ってもらって、腸骨の変位を再検査してみると、左腸骨がやや外方に変位しているのが分かりました。そこで、直ちに横向きになってもらって、プッシュ&プルの両側面から矯正を行いました。

 その上で、もう一度Nさんに、状態をたずねてみたところ、違和感がなくなっていました。梨状筋症候群の場合は、筋肉と自律神経の過緊張を緩和することで、症状が改善することが多いのですが、仙腸関節の変位に原因があるときには、やはり関節の矯正が痛み改善の必要条件になるようです。

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尾骨周辺の神経性の痛み 改善に一歩近づく

 「尾骨の周辺に、モゾモゾ動くような痛みがある」と、何回か来店しているNさん(70代 女性)。仙骨の可動性を取り戻し、自律神経と大臀筋・梨状筋などの筋群の緊張を和らげる施術を行なっても、残念ながら一進一退で、めざましい改善ということになっていませんでした。

 そこで、これからの施術方針を立てるために、今日は、改善の度合いと痛みの具合を詳しくたずねてみました。「やっぱりモゾモゾした動きは止まらない」、「尾骨から右側鼠径部にかけて、尺取虫が動くような感じがする」、それも「皮膚を内側から破るような痛み」ということで、相当な痛みのようです。

 これまで、もっぱら仙骨と尾骨を中心に考えていたのですが、鼠径部にも痛みがあるとなると、恥骨結合の変位も考えられます。早速、Nさんに承諾をいただいて、検査を行なって見ました。すると、前方から圧しても、下方から圧しても痛みがあります。どうも右側の恥骨が陥没しているようです。

 この状態では、恥骨側からの矯正は難しいので、仙腸関節を再検査してみると、微妙ですが、右側腸骨に外方変位と、さらに前上方変位があることが分かりました。矯正を行ない、いつものように自律神経と筋群の緊張を和らげる施術を行なっていると、突然Mさんが首を上げて「動くのが止まった」と言うではありませんか。

 どうも、仙尾関節よりも恥骨結合の変位が第一義的な問題のようです。このまま「動き」が治まれば、良いのですが、長期間にわたる慢性的症状ですから、まだ油断はできません。しかし、改善の方向が見えてきたようです。

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下肢挙上検査の判定だけでは、判断が難しいことも

 「腰を伸ばすと、右側の腰から踵にかけてピリッとした痛みが出る」と、Kさん(50代 男性)が久しぶりに来店されました。1ヶ月くらい前から症状が出はじめたらしく、寝返りを打つときにも右側が痛むそうです。

 前回来られたときと、痛み方が若干異なるので、改めてオーソぺディック検査を行ないました。下肢挙上検査をしたとき、右側のみ70度あたりで足首付近に痛みが出ました。神経圧迫の疑いも捨て切れませんが、少し角度が大きいようです。

 そこで、視点を変えて、仙腸関節をチェックしたところ、右腸骨に前上方・外方変位があるのを見つけました。そのため、腰椎での神経圧迫の可能性も考慮にいれながら、ひとまず仙腸関節と関連する関節も含めて矯正し、神経と筋肉の緊張を和らげる施術を行ないました。

 施術の後、Kさんに痛みのポーズをしてもらいました。寝返りでの痛みは取れていました。さらに、腰を伸展してみると、右足のピリッとした痛みもなくなっていました。念のため、再び下肢挙上検査をしてところ、挙上時の痛みもなく陰性でした。

 おそらく、この痛みは、腰椎性の神経圧迫によるものではなく、仙腸関節の変位からくる梨状筋症候群が原因ではないかと思われます。オーソぺディック検査は、主観的な痛みに基づいて判断することになるので、施術の方向を決めるためには、一つの検査だけではなく、いくつかの検査を行なって、総合的に考える必要があります。

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臀部のピリピリした痛み・・・梨状筋症候群が原因

 大型車両を運転しているMさん(50代 男性)が、「長く運転すると、左尻の下側にピリピリした痛みが出てくる」と来店されました。仕事で使う車は、アクセルが重い上に、道路状況によってはクラッチ操作が頻繁になることがあるため、けっこう脚に負担がかかるそうです。

 少し前に、整形外科を受診したときに、腰椎椎間板ヘルニアではないといわれたそうですが、痛みの原因は特定されなかったらしい。時間が経過しているので、念のため下肢挙上検査と腰椎椎間関節の検査などを行なったところ、やはり陰性でした。また、腰痛や歩くときに、ときどき立ち止まったりすることもないということです。

 Mさんの状態を、総合的に考えると、仙骨から大腿骨大転子にかけて付着している梨状筋の緊張による坐骨神経への圧迫、いわゆる梨状筋症候群が原因となっている疑いが大きいようです。さらに、仙腸関節の検査をしたところ、仙骨が右側に傾いていました。これも左側梨状筋の緊張に関係している可能性も考えられます。

 そこで、仙腸関節の矯正を行なうとともに、梨状筋を中心に、ハムストリングスをはじめ後脚部の筋肉の緊張と神経の興奮を和らげる施術を行ないました。施術の後、Mさんに状態を聞いてみると「軽くなった」との応え。かなり改善したようです。しかし、これからも、仕事で脚、腰への負担が続くようですから、調子が悪いときには適切なケアが必要でしょう。

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症状の緩和が難しい右脚のシビレ

 右脚のシビレ・鈍痛で来られたことのあるTさんが久しぶりに来店されました。初回来店時の下肢挙上検査が陽性だったので、整形外科での検査をすすめたところ、腰椎椎間板ヘルニアとの診断を受け、治療を受けていたそうです。ところが、症状があまり改善しないため、あらためて別の病院で精密な検査をすると、ヘルニアではなく第5腰椎にできた骨棘による神経根圧迫が原因と診断されたそうです。

 それまで行なっていた仙骨ブロック注射では顕著な効果が見られなかったので、神経根へのブロック注射に切り替えたらしいのですが、注射の痛みに比べて、症状があまり改善されなかったそうです。そこで、医師に相談してみると、「整体で椎間を拡げてもらうのは良い」と言われたということで、再来店になりました。

 今日は、中国整体の手法をもちいて、腰椎から仙骨部の椎間を拡げるとともに、神経の興奮を和らげ、脚後部の筋肉のコリをほぐす施術を中心に行ないました。後から痛みの様子を尋ねると、「脚の筋肉の緊張が取れて楽になった」という応えでしたが、しかし、腰部を屈曲するのが良くないようで、立った姿勢からイスに坐ってみると、「大腿の内側にシビレが出てくる」ということでした。

 腰椎の骨棘形成も、椎間板ヘルニアと同じく構造的変性になりますので、整体の手技も保存療法に対応したものなります。筋肉や交感神経の過興奮を和らげ、痛みを抑えることによって、そのまま改善することも多いのですが、神経根を圧迫している原因の状態や位置によっては、残念ながら、直ちに症状の「安定的」な改善の成果を出すことは、難しい場合もあるようです。

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尾骨から肛門周辺部にかけての痛み

 腰痛を訴えてMさん(70代 女性)が来店されたので、どのような状態で、どこが、どのように痛むのか、詳しい状況を聞いてみました。すると、2年くらい前から、尾骨から肛門辺りにかけて痛みがあるとのこと。寝ていると痛みが出て、坐ると治まる。立っているときには痛みを感じないそうです。また、排便や排尿には、異常を感じたことはないということでした。

 肛門部周辺を支配する第5仙骨神経が、何らかの圧迫を受けている可能性があります。下肢挙上検査、腰椎椎間関節検査は陰性でしたが、ニュートン検査で腸骨を上から圧迫したとき右側に痛みがありました。さらに、仙腸関節の検査を行なうと、やはり同じく右腸骨に後下方・内方変位があるのを発見。

 まず、変位の改善をと思いましたが、初回ですし年齢のことも考えて、できるだけ腰に負担がかからないよう、うつ伏せの状態で軽く調整を行ないました。そして、仙骨パートに重点をおいて腰部から大腿・下腿後部にかけて髄節刺激点法を、さらに腰椎椎間関節を離開する推法・抖法を施術しました。

 施術後、Mさんは「軽くなった」と明るい顔で話しておられました。しかし、仙腸関節の内方変位もしくは後下方変位と、第5仙骨神経の圧迫との関係はどうなっているのか。尾骨筋あるいは仙結節・仙棘靭帯の過伸展が関わっているのかどうか、明確ではないので、しばらく様子を見ていただくことにしました。

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腰椎椎間板症と下肢症状の関係

 先日、年配者の方に多く見られる腰部脊椎症のひとつである腰椎椎間板症について、「下肢症状は希」ということに疑問を呈しておきましたが、その関係を少し見てみます。

 腰部椎間板症は、椎間板のみのが変形する段階で、腰部脊椎症の初期症状として現れてくるようです。そして、やがて椎間関節の摩耗から骨棘の形成へと進み、それが脊柱管狭窄症を招くことがあります。

 脊柱管は、脳から腰へと椎骨と椎骨の間を通って神経が通っている管です。腰部脊柱管狭窄症は、生まれつき脊柱管が狭いことが根本的な要因と言われているようですが、加齢変性による、椎間板症から椎間関節の摩耗、骨棘の形成などによって、さらにその脊柱管が狭くなり、神経根や馬尾神経が圧迫されるようになるそうです。

 そうなると、神経根型や馬尾型の下肢症状が出るようになります。ヘルニアの場合とは違って、脊柱管の背面から圧迫を受けるので、腰を反らせると症状がひどくなり、前屈すると楽になるようです。痛みやシビレ脱力感などで、長く歩き続けることができなくなる間欠性跛行が現れるのが特徴です。

 確かに、椎間板症が原因で、脊柱管狭窄症に深化して、下肢症状を示す場合があることは分かりました。しかし、来店者の中には、明らかに腰部脊椎症の症状がある方でも、下肢挙上検査を行なうと陽性反応を示すことがあります。これは椎間板ヘルニアの反応と言われていますが、やはり椎間板症ではなくてヘルニアなんでしょうか。

 椎間板症といういのは、どの程度椎間板が変形をするのか。上下がいびつになる圧縮変形だけなのか。それとも場合によっては、椎間板ヘルニアの膨隆型程度に変形して神経根や馬尾神経を圧迫がするということはないのか。もっと追求してみたいですね。

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腰の痛みと右脚のしびれ・・・腰椎椎間板ヘルニアの疑い

 「1週間ほど前から腰痛がひどく、右の臀部からふくらはぎにかけて鈍い痛みのようなシビレがある」と、Tさん(男性 40代)が来店されました。寝て安静にしているときには痛みはないけど、前かがみになったり、しゃがんだり、立ち上がる動作で痛みが出るそうです。

 下肢挙上検査をすると、左側は90度まで上がりますが、右側では30~40度あたりで、臀部からふくらはぎにかけて痛みが出ました。ニュートン検査で、腸骨を離開させたときと、腰椎椎間関節の検査にも、陽性反応です。腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症と梨状筋症候群の合併症の疑いがあります。

 さらに緻密に仙腸関節のモーション検査を行なったところ、右腸骨に後下方変位と外方変位があったので、腰椎に負担をかけないよう注意して矯正。そして、腰部と仙骨部の髄節ポイントに刺激点法を施術して、交感神経の緊張を和らげ、脊柱起立筋から臀筋、梨状筋、ハムストリングス・腓腹筋など後脚部の筋・腱をほぐしました。

 施術後の様子を聞いてみると、「来店した時より、右脚のシビレは軽くなったけど、まだ腰に痛みが残っている」とのこと。念のためもう一度、下肢挙上検査を行なったところ、やはり陽性です。さらに椎間関節の変位を矯正する施術を行ない、キネシオテープを貼付しておきました。

 Tさんには、痛みの様子を、しばらく時間をおいて見てもらうことにしましたが、長引く場合は、腰椎椎間板ヘルニアが原因となっている疑いが強いので、整形外科を受診して、MRIなどの検査を受けてみることをすすめました。原因を特定することで、より適切な施術が可能になります。

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