姿勢のゆがみ

気になる肩の高さの左右差

 「長時間自動車を運転したり、坐り続けたりすると、腰が痛くなるけど、左肩が下がっていて、姿勢がゆがんでいるのが原因かもしれない」と、Kさん(男性 30代)が来店されました。少年期に側弯症の診断を受けたこともないということです。また、来店時には、腰の痛みやその他の症状などは、ありませんでした。

 早速姿勢の状態を調べてみると、右肩の肩鎖関節が盛り上がって、右側だけ、いわゆる「いかり肩」体型になっています。肩の傾斜角度の左右差が10度以上です。念のため前屈姿勢の側弯検査、および胸鎖関節・肩鎖関節の位置をチェックしましたが、はっきりとした左右差はありませんでした。ところが、仙腸関節の検査をすると、腸骨が後下方に変位して、仙骨が左側へ傾いていることが分かりました。

 そこで、上部胸椎椎間関節と仙腸関節の矯正するとともに、脊柱の不整列を整える施術を行ない、脊柱起立筋、多裂筋・回旋筋などの脊柱深筋群の緊張をゆるめました。さらに肩甲胸郭関節をストレッチして、同時に胸鎖・肩鎖関節の可動性を高める施術を行ないました。

 施術後、肩の傾きを測定してみると、左右差は5度程度に治まっていました。しかし、身体の傾きは微妙ですので、しばらく時間を置いて、何度か施術と計測を続けてみなければ、改善したかどうか、断言することはできません。しかも、Kさんの場合、来店時に痛みなどの症状がなかったので、ますます実感しにくいのではないかと思います。

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「百学は一客に如かず」

 「百聞は一見に如かず」という言葉があります。中国の『漢書』という歴史書に出てくるらしい。漢の皇帝が、将軍趙充国に、匈奴の反乱を鎮める方法をたずねたときに、この言葉を使って、すぐ現地に行って調査し作戦を立て、反乱を鎮めたということです。「如かず」というのは「及ばない」という意味です。

 最近つくづく感じることに、この言葉「百聞は一見に如かず」を、「百学は一客に如かず」と言いかえることができるのではないかと思うようになりました。「百学」とまではいきませんが、何度か本で読んだり、人から学んだりしても、なかなか知識は頭の中に留まっていません。ところが、実際に一人のお客さんに出会ってはじめて、症状とその原因や改善の方法をより深く究明することができます。「何とか改善したい」という思いが、大切ですが・・・。

 今日も、「以前から猫背気味で、背筋を伸ばすと背中・肩・鳩尾に痛みが出る」とHさん(男性 20代)が来店されました。話をよく聞いてみると、痛むのは胸骨の中央部で、肩こりもあるとのことでした。上部胸椎の変位で胸骨の上部にあたる胸骨柄に痛みでることは知っていましたが、中央部が痛いという方ははじめてです。

 その時、即座には「背中の痛み」と、「肩こり」に意識が集中してしまって、頸椎と関節矯正と頸部および脊柱傍筋群の調整する施術に重点を置きました。胸骨痛に対しては、胸骨そものものへのモビリゼーションと、肋骨の不整列を調整する胸郭合法を三段階に分けて施術しました。これはこれで十分有効なのですが、ポイントを絞った施術ではありません。

 後から、「胸骨の痛み」について調べてみると、胸骨痛は第3胸神経の支配域に入っていることが分かりました。また胸骨への肋骨の接合部をよく観察すると、胸骨柄に付いているのは、第1肋骨と第2肋骨、その下の胸骨には第3肋骨以下が付いています。ですから、第3胸椎以下の変位の仕方によっては、胸骨に痛みが出ることは十分考えられます。Hさんが次に来られた時には、胸椎を緻密に検査させていただこうと思います。

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早めの発見と対処が必要な特発性脊柱側弯症

 姿勢のゆがみのひとつである脊柱側弯症には、機能性と構築性の側弯があります。姿勢の悪さや、脚・腰に痛みがある場合に起こるのが機能性側弯で、カイロプラクティック等の施術で改善することができます。しかし、脊柱を構成している椎骨や椎間板に変形があって起こる構築性側弯は、残念ながら手技療法で改善することはできません。

 構築性側弯のうち80~90%が、原因となる病気がはっきりしない「特発性側弯」で、側弯がはじまる年齢によって分類されています。乳児期(3歳まで)、学童期(4~9歳)、思春期(10歳以上)の3タイプで、思春期にはじまるものが80%を占めています。

 どのタイプも、初期の段階では痛みなどの自覚症状がなく、発見が遅れることがしばしばあるため、昭和33年に学校保健法施工規則で健康診断の際に注意するよう決められ、さらに53年に文部省(当時)より「脊柱側わん症の早期発見について」という学校保険課長通知が出されました。

 治療は、側弯の度合いによって異なります。側弯の度合いが軽度の場合、姿勢に関する筋肉を強化するトレーニングと経過観察。軽度ないし中等度の場合、装具をつけて姿勢を矯正します。重度の場合は、基本的に10歳以上で手術をします。成長が終了すると、かなり重度なものでないかぎり進行は止まるといわれています。

 日本側弯症学会のホームページでも述べられていますが、多くの側弯は軽度のままで、成長の終了を迎え、将来的に何の障害も残しませんので、軽い側弯を心配しすぎることはないということです。

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脊柱弯曲異常の原因と対処

 カイロプラクティックでは、椎間関節や仙腸関節の変位にもとづく姿勢のゆがみを改善することができますが、原因によっては、対応できない場合もあります。

 脊柱の弯曲異常は、機能性と構築性の二つのタイプに分類されます。

 機能性弯曲異常とは、脊椎に変形がなく一時的に起こる現象です。姿勢の悪さや腰痛・坐骨神経痛などの痛みから避けるために生じることがあります。反対方向に身体を曲げたり、姿勢を正す体操をしたり、原因となる痛みを解消したりすると改善できます。

 慢性的な姿勢の悪さや筋肉の退行変性・アンバランスで、椎間関節や仙腸関節に変位を引き起こしている場合は、機能性弯曲異常の一形態であり、カイロプラクティックの適応症です。

 構築性弯曲異常とは、脊柱を構成している椎骨や椎間板が変形して起こります。この場合は、身体を逆の方向へ曲げても弯曲を改善することはできません。弯曲の程度が一定程度以上になったとき、左右への弯曲の場合「脊柱側弯症」、後方への弯曲の場合「変性後弯症」「骨粗鬆症による圧迫骨折」が疑われます。

 椎骨のくさび形変形や骨折、椎間板の変形が原因です。カイロプラクティックでは、施術によって悪化する恐れもあるため、禁忌症とされいます。

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