腕・手・指の痛みとシビレ

斜角筋のクリニカルマッサージによる手技療法

 斜角筋は胸郭出口症候群に関連する筋肉です。『クリニカルマッサージ』では、胸郭出口症候群の原因を、もっぱら斜角筋の硬結に求めているようです。

 胸郭出口に含まれるのは、斜角筋と第1肋骨、または前斜角筋と中斜角筋との間の通路部分である。腕へと流れていく途中、腋窩動脈と腕神経叢は、前斜角筋と中斜角筋の間を通り、次に第1肋骨と鎖骨との間を通る。この通り道のどこかに前斜角筋と中斜角筋の硬結が存在すると、血管や神経は圧迫されてしまう。斜角筋による関連痛と腕神経叢が圧迫されてしまったことによる痛みの識別は、難しい場合がある。

ストリッピング
・患者は背臥位とする
・術者は患者の頭側に立つ。一方の手を頭の下に差し入れて頭を保持する。
・もう一方の手の指を患者の頚の下に置き、母指を斜角筋の上部に当てる
・しっかりと組織に圧をかけながら、筋肉に沿ってゆっくりと母指を動かす。できるだけ遠くまで指を運び、鎖骨後側の窪みに指がくい込むようにする。同プロセスを繰り返す
・次に中斜角筋を探し出し、同じプロセスを繰り返す
・最後に後斜角筋を探し出す。後斜角筋に続いて、僧帽筋の縁部の前の窪みにできるだけ指がくい込むように母指を動かす
・反対側も同様に行なう
・上記のプロセスは、母指ではなく四指を用いて行なってもよい

深部圧迫
・患者は背臥位をとる
・術者は患者の頭側に立つか座る。首の付け根にある斜角筋に指先を当てる。患者の反対側の胸部に向かって斜めに、深く圧をかける。筋肉がリリースしたと感じられるまで待つ

圧迫
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の横、頭のそばに立つ。患者の首の付け根に手を置く。手根を僧帽筋と肩甲挙筋に当てる
・僧帽筋上で指を丸めて、首の付け根で斜角筋をつかむ
・はじめはやさしく、徐々に圧を強くかけながら、斜角筋がリリースしたと感じられるまでもむ

ストリッピング(2)
・患者は腹臥位をとる
・術者は患者の頭側に、患者の頭の方を向いて立つ
・一方の手で患者の頭をしっかりと保持する。もう一方の手の母指で中斜角筋の上部を探し出す
・僧帽筋の縁のすぐ前の組織をしっかりと押圧しながら、前斜角筋に沿って母指をできる限り遠くまで滑らせる
・後斜角筋に対しても同様に行なう
・上記プロセスは、指関節を用いて行なってもよい

ストリッピング(3)
・患者は座位をとる
・術者は患者の背後に立つ
・母指を中斜角筋の停止部に置く
・しっかりと組織に圧をかけながら、筋肉に沿って起始部まで母指を滑らせる
・前斜角筋、後斜角筋に対しても同様に行なう

 それぞれのストリッピングは体勢が異なるだけで、基本は前・中・後斜角筋に圧をかけて母指を滑らせる手技です。但し(1)(2)が停止部から起始部へ向けているのに対し、(3)のみ停止部から起始部へと逆方向になっています。しかしテキストにある写真をみると、どうも起始部が出発点になっているように見えますが・・・。

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腕神経叢が圧迫される神経型胸郭出口症候群

 脊髄神経は、脊柱管を出た後、前枝、後枝、白交通枝に分かれます。そのうち前肢は分岐して四肢の骨格筋とその皮膚、体幹の腹側と外側の皮膚に分布していきますが、そのときに複雑な網状の神経叢を構成することがあります。神経叢は、頸神経叢、腕神経叢、腰仙骨神経叢などに分類されます。

 腕神経叢は、第5、第6、第7、第8頸神経と第1胸神経から形成されたひとかたまりの束です。脊柱管を出て、前斜角筋と中斜角筋、第1肋骨の間を通り、次に鎖骨の下をくぐり、さらに肩甲骨の烏口突起と小胸筋の間も通ることになります。そして橈骨神経、筋皮神経、尺骨神経、正中神経などに分かれていきます。

 この腕神経叢の通り道が胸郭出口と呼ばれている部分で、鎖骨下動脈と鎖骨下静脈も通っています。この通り道が、斜角筋や小胸筋の硬結、第一肋骨や鎖骨がつながっている関節の変位によって狭くなると、神経や血管が圧迫されて、胸郭出口症候群を引き起こすと言われています。

 特に腕神経叢が圧迫されると、首や肩の痛み、コリ、鎖骨上と前胸の焼けるような痛み、腕の小指側の感覚異常や痛み、母指球または小指球のしびれなどの症状が出てくることがあります。場合によっては、自律神経に異常が出てくることも。

 前斜角筋の場合、停止部が第1肋骨の上内縁、中斜角筋の場合は上外縁にあるので、硬結が続いた場合、筋肉そのものによる神経叢への圧迫とともに、第1肋骨が上内方もしくは上外方変位を引き起こして、胸郭出口をさらに狭くしている場合が多く見受けられます。

 前斜角筋・中斜角筋および小胸筋などを中心に頸肩部諸筋群の調整と、関節の矯正を行なうことで、原因となる問題からは解放することができますが、圧迫によって腕神経叢が炎症を起こしている場合は、症状が改善するまでには時間が必要なようです。

 ただ、胸郭出口症候群の中で最も多いと一般的に言われている肋鎖症候群。第1肋骨と鎖骨の間で神経や血管が圧迫されるということですが、第1肋骨と鎖骨が交叉しているのは胸鎖関節に近い一点だけで、ほぼ接している様な隙間がほとんどない状況ですし、しかも神経や血管は首から腕方向に走っていることをみると、どうも今ひとつ納得がいきません。

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手・足や体幹のシビレ・麻痺、腰痛などの原因には、脊髄腫瘍の場合もある

 トレーニングジムでよく顔を合わす人が、頸椎にある脊髄腫瘍の切除手術を受けることになりました。良性腫瘍らしいのですが、手がシビレて、感覚がなくなり、ボタンをはめるのにも苦労することがあったそうです。

 腫瘍性の疾患は、カイロプラクティックの禁忌症になっていますので、これまであまり関心を持ってこなかったのですが、その症状を聞いてみると、頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなどによる神経障害とよく似ています。

 脊髄腫瘍は、脊髄、神経根、硬膜、脊椎などに発生する主に良性の腫瘍で、いわば「できもの」のようなものです。発生頻度は10万人当たり1~2人、脳腫瘍の1/5~1/10程度ということで、比較的少ない疾患のようです。

 良性の場合は、数ヶ月から数年の経過で症状が進行します。一般的に、手足・体幹の感覚障害から始まって、腫瘍の増大にしたがって、手足の麻痺へと、さらに進行すると排尿や排便障害も現れるようです。また、頸部、胸部、腰部のどこの脊髄に発生するかによって症状が異なります。

 但し、肺ガン、乳ガン、前立腺ガン、消化器ガンなど身体の他の場所にできたガンが脊椎などに転移している場合は、悪性といわれており、特に注意が必要です。良性の場合よりも、症状の進行が早くなるそうです。手・足のシビレや腰痛も、侮ることなかれです。

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右手首を背屈すると痛む

 仕事でパソコンを使うことが多いというBさん(30代 女性)が、「布団など重いものを持ち上げると、右手首が痛い」と訴えて来店されました。

 手根骨の変位の有無を検査すると、右舟状骨を後方(甲側)から圧したときに、強い痛みがありました。フェレンテストでは、すぐ痛みが出るため60秒間姿勢を維持するのはつらいようです。さらに手首を背屈して荷重をかけたときにも、痛みがあるので、舟状骨前方変位が疑われます。

 そこで、まず手根骨前方変位矯正を行ないました。手根管症候群の可能性もあるので、交換神経の緊張を和らげる手首の神経ポイントを刺激し、手首の筋群の緊張をほぐすために、屈伸法、搬法、搖法、抖法、拿法、滾法、頓法、推法、弾法を、さらに血流を促進する擦法を施術しました。

 最後に、念のために手首の痛みに対応するキネシオテーピングを前腕伸筋群などに貼付しておきましたが、四肢の関節痛みは長引くことがあります。まして筋肉や腱、靭帯が損傷しているときは、なおさらです。こういう場合は、如何に自己治癒力を高めていくかが、カギになります。

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文字が書きにくいのは、尺骨神経障害の可能性も

 サイト訪問者の方から、メールをいただきました。

 以前、野球でピッチャーをしていた方のようです。スライダーを投げていて、右腕を痛め、その後、字を書くときに、思うように腕が動かなくなったそうです。20年経った今でも、緊張したときや風邪を引いたときに、文字を書こうとすると、書痙のような症状があって、肩に力が入ってしまうらしい。

 「書痙のような」症状というのが、どのような状態なのか。親指が思い通りに動かなくなるのか。手が震えるのか。力が入りすぎて、うまく指を動かせないのか。それとも、薬指・小指に力が入らないのか。シビレはあるのか。それによって、原因も異なるようです。

 実は、私自身、ついこの間まで、小指と薬指が伸びてしまって文字が書きにくい、言ってみれば「書痙のような症状」がありました。おそらく、仕事で指と前腕に負荷をかけすぎていたためと思われます。施術にツールを使うようになって、最近はかなり改善しています。

 そのことも紹介しながら、訪問者の方の場合、腕を痛めて以来の症状ということですから、筋肉や靭帯を損傷している可能性が考えられるので、原因を見極めるためにもスポーツ専門の整形外科への受診を、また親指が不随意に動く場合は心療内科への受診を勧めておきました。

 メールを返送した後、野球と関連するスポーツ障害について調べていたところ、「後方型野球肘」という障害があったことを思い出しました。ピッチングなどの投球動作で起こることが多いのですが、肘頭周囲に骨棘という出っ張りができて、関節の動きを制限したり、尺骨神経を抑えて指にシビレを生じさせたり、握力を低下させたりする障害です。この可能性も考えられます。但し、尺骨神経障害の場合は、小指・薬指側に症状が出てきます。

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変形性頚椎症急性期での髄節刺激点法でリバウンド現象

 急性期は、激痛が起きてから2~3週間といわれています。変形性頚椎症の痛みやシビレのあらわれ方には、激痛のため夜眠れないほどの急性期をともなう場合と、発症時からそれほど激しくはない場合とがあるようです。

 「8月下旬から、右手の母指・示指・中指にシビレがあって、同じく右側の肩から腕にかけてコリと痛みが続いている」と、Kさん(男性 60代)が来店されました。整形外科でMRI検査をしたところ、「椎間板が少し変形しているようだ」と言われたということです。

 念のため、頚椎圧迫検査をしてみると、右側の首から肩にかけて放散痛があったので、やはり変形性頚椎症が疑われます。手指のシビレは、そのための神経根圧迫。肩の痛みは、肩関節の可動制限や烏口突起に圧痛点が見当たらないので、椎間関節痛の放散痛と考えられます。

 そのため、頸椎椎間関節への軽いモビリゼーションにとどめ、矯正スラストは行いませんでした。その上で、髄節ポイントへの刺激点法による自律神経の調節と、首・肩の諸筋群の緊張をほぐすことに専念しました。

 しかし、うつ伏せでの髄節への刺激点法の段階から、右肩に、その刺激による放散痛があり、さらに右側を下にした側臥位や仰向け状態になると、その姿勢そのものが、肩の痛みを引き出すようでした。初回の施術ではスッキリ改善というには、ほど遠い結果となってしまいました。

 Kさんの場合、発症から1ヶ月弱ですし、症状からみて、まだ急性期の段階にあったようです。そのため、髄節刺激で起こる自己治癒のための血流促進によって、かえって痛みが強くなるという「リバウンド」現象が、顕著に起こったものと思われます。

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改善に向っている 肩の痛みと指のシビレ

 先日来、肩の痛みと右手母指・示指のシビレで来店されているMさん。整形外科では頚椎椎間板ヘルニアとの診断を受けていました。念のため頚椎圧迫テストを行なうと、伸展時に指のシビレが強くなったので、ヘルニアによる神経根圧迫であることを確認することができました。

 肩は、バンザイ検査や外転検査では、180度まで上がり陰性でした。ヘルニアがある椎間板と同じ部位の椎間関節の変位による放散痛の疑いもありますが、肘を90度屈曲して前方に動かすと烏口突起に、上方に動かすと肩甲骨の下側に痛が出るため、肩回旋筋腱板そのものに問題があることも考えられます。

 椎間板ヘルニアは、カイロプラクティックの禁忌症です。そのため、頸椎の関節矯正は行なわず、頸椎から上部胸椎、頭部の交感神経の緊張を和らげることを最優先に施術し、さらに筋肉群の緊張をほぐしました。そして、頸椎抜法・旋法と該当する椎間関節のモビリゼーションを、はじめは軽く、回を重ねていくうちに、様子を見ながら強度を増して行ないました。また、念入りに肩回旋筋腱板の緊張をほぐした後、キネシオテープを貼付しておきました。

 今日4回目です。施術の前に様子をたずねてみたところ、肩に少し突っ張ったような感じが残っているが、動かしてもほとんど痛みがなくなっているとのこと、指のシビレも、気にすると感じることがあるけど、当初と比べて7割方軽くなっているということです。何とか症状を改善したいという、Mさんの粘り強い意欲の賜物ですね。

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関節リウマチの症状をどう見極めるか

 関節リウマチは、関節の滑膜が炎症を起こし、進むと軟骨や骨を溶かして関節を変形させる病気です。膠原病のひとつで自己免疫疾患といわれていますが、その原因はまだ特定されていないようです。関節そのものの構造的変性ですので、カイロプラクティックでは禁忌症とされています。

 しかし、手の関節の痛み、腫れなどの症状は、他の疾患でも起こりますし、倦怠感、微熱、食欲不振、体重減少などの全身症状を伴うこともあってまぎらわしく、場合によっては膝などの大きな関節から症状が起こることもあるので、注意が必要です。

 そのため、関節リウマチを見分けるための基準が、リウマチ学会によって提唱されています。アメリカの学会の診断基準は、次の7項目のうち、4項目以上あてはまると関節リウマチであると判断されるそうです。(1~4項までの症状は6週間以上の継続が条件です)

  1. 朝のこわばりが、少なくとも1時間以上にわたる
  2. 3つ以上の関節に炎症・腫れがある
  3. 手首や手指の付け根の関節、手指の第2関節に炎症・腫れがある
  4. 左右対称の関節に炎症・腫れがある
  5. 皮下結節が肘や膝にある
  6. 血液検査でリウマチ因子が陽性
  7. エックス線検査で、手の関節に骨の萎縮などの変化がみられる

 さらに、日本の学会では、早期発見・早期治療のために、新しい判断基準を提唱しています。次の6項目のうち、3項目以上に当てはまる場合、経過を観察し、その病態に応じて適切な治療を開始する必要があるとされています。

  1. 3つ以上の関節で、指で抑えたり動かしたりすると痛みを感じる
  2. 2つ以上の関節に炎症・腫れがある
  3. 朝のこわばりがある
  4. 皮下結節が肘や膝にある
  5. 血液検査で赤沈に異常、またはCRPが陽性
  6. 血液検査でリウマチ因子が陽性

 関節リウマチの初期症状についは、専門医でも判断が難しいといわれているほどですが、ある程度の自己判断の基準にすることが、できるのではないかと思います。しかし、血液検査やエックス線検査をする段階で、何らかの医療機関にかかわることにはなりますが・・・。

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頚椎椎間板ヘルニアによる椎間関節痛の放散痛

 頚椎椎間板ヘルニアは、神経根症状と脊髄症状が特徴的な症状としてあげられますが、実は、その他にも首・肩のコリ、頸部痛、背部痛、頭痛などの症状を伴うことが多いといわれています。

 それらの症状は、頸椎椎間板がヘルニアにより不安定になるために、椎間関節の動きも不安定になることによって起きる放散痛です。頚椎椎間関節の位置によって、障害を受ける部分が異なります。頭部は第2・3頚椎椎間関節、後頭部は第3・4椎間関節、肩から胸にかけては第5・6椎間関節に若干の重複をしながら分割されています。

 「整形外科で『頚椎ヘルニア』との診断で治療を受けているが、あまり改善しない。ここ3ヶ月ほど、右肩を上にあげて肘を曲げると痛みがでるし、指先にシビレを感じるようになった」とMさん(男性 60代)が来店されました。

 頚椎圧迫検査をしたところ、頸部を伸展圧迫したときに、右指にシビレがでるので、ヘルニアの存在は、確かに疑いないようです。右指のシビレは神経根圧迫による症状。そして、肩の痛みは、自力で外転、伸展が180度可能ですから、おそらく椎間関節の放散痛ではないかと思われます。

 今回は初めてでしたので、慎重を期して、頸椎に対する矯正は一切行なわず、抜法による頸椎の軽い牽引、その他頚部諸筋群と交感神経の緊張を和らげる施術を中心に行ないました。ただ、肩の痛みは肩回旋筋腱に集中していて、筋肉の損傷も考えられたので、Mさんの承諾を得て、キネシオテープを貼付しました。

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親指が勝手に曲がるのは、ジストニア型書痙(しょけい)?

 「2年くらい前から、右手の親指が勝手に曲がるようになって、文字を書くのに苦労している」とMさん(男性 30代)が、来店されました。複数の専門医を受診したそうですが、はじめは書痙、次にはジストニアとの診断があったということです。

 書痙というのは、指や手、腕などの筋肉に不随意な収縮が起こる運動障害で、同じ筋肉を繰り返し使う人によくみられ、文字を書くことが苦痛になり、仕事や社会生活に深刻な影響を及ぼします。原因不明の特発性捻転ジストニアの軽い症状としてあげられています。但し、書痙がすべてジストニアによるものとは限りません。

 ジストニアの発症は、脳に原因があるといわれていますが、書痙がどのようにして発症するかということは、まだ明らかになっていませんでした。ところが、フランスの最近の研究で、書痙を起こしやすい人の小脳には、運動や感覚をつかさどる部位の組織が少ないという構造上の問題があることが分かりました。

 ただ、これは解像度の高い画像技術を用いることで、はじめて異常の存在が明らかになったそうです。これまでの技術では、書痙には、解剖学的な異常が認められないとされてきました。Mさんの場合も、さまざまな検査を行ないつつも、結局は症状にもとづいて診断されたということです。

 ですから、施術するとき、「書痙=脳内の問題」ということにとらわれないことが必要と考えて、頸椎の変位からチェックしてみました。検査すると、第2と第5頚椎(第6頸神経は親指・人差し指の神経を支配)に変位があったので、矯正を行ないました。そして、脳神経への刺激という点から、百会パートや脳パートへの点法を行ない、さらに肩周辺の筋肉の緊張をとるために、肩・首パートへも施術しました。

 施術後、状態を聞いたところ、「身体の調子が良いような感じがする」とのこと。もちろん、1回で直ちに改善というわけにはいきません。これから、Mさんといっしょに、症状の改善に挑戦してみようと思います。

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